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プロローグ
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人々が賑わうクリスマスイブの深夜、
真っ暗な道路に数本の光が射す。
「あおー! 楽しいなー!」
特攻服に身を包み単車に跨る男が声を上げる。
「ああ。お前らと走れて良かったよ」
そう答えたのはヘルメットから金色とピンク色の髪をなびかせた小柄な人。
「あおちゃん寒くない?」
車の助っ席から顔を出したのは茶色い髪の毛を束ねた男。
「大丈夫だよ! 桜玖(サク)! 後ろ乗る?」
「俺は車で大丈夫! ありがとー!」
桜玖と呼ばれた男は手を振ると後部座席の窓を閉めた。
「やばっ! サツがきた! 撒くぞ!」
最後尾で単車を走らせてた男が叫ぶと一斉にスピードを上げた。
脇道などを通りどうにか撒いたようだ。
本日はクリスマス暴走。
彼らは龍華──全国No.1の暴走族。
このクリスマス暴走を境に彼らの人生は一変する。
楽しい日々がずっと続くと誰もが思っていた。
まさかあんな事が起こるとは誰もが予想していなかった。
* * *
「お母さん、私……龍華の11代目総長になるよ」
夕食を終え、リビングのソファーでくつろいでいると、まだ幼さが残る彼女の口から突然告げられた。
「そう、あなたもあたしと同じ道を行くのね。
ひとつだけ約束して。決して自分を見失わないで。強い人っていうのは何かを守ることができる人。
ただ、闇雲に喧嘩してたらいつか壊れる……いつかのあたしのように」
彼女の隣に座る、母と呼ばれる女性は一瞬影を落とすと淡々と口にした。
「お母さん?」
彼女はいつもと話し方が違う母に戸惑いつつも問いかける。
「今から昔話するから聞いてくれる? きっとあなたの役に立つと思うの」
「うん、お母さんとお父さんの出会いも聞きたい」
彼女は母と父の馴れ初めを聞くことが余程嬉しかったのか、目を輝かせていた。
この時は、母の辛い過去を知ることになるとは思ってもみなかっただろう。
──これは今から20年前、ある母と父との出会いのお話。
真っ暗な道路に数本の光が射す。
「あおー! 楽しいなー!」
特攻服に身を包み単車に跨る男が声を上げる。
「ああ。お前らと走れて良かったよ」
そう答えたのはヘルメットから金色とピンク色の髪をなびかせた小柄な人。
「あおちゃん寒くない?」
車の助っ席から顔を出したのは茶色い髪の毛を束ねた男。
「大丈夫だよ! 桜玖(サク)! 後ろ乗る?」
「俺は車で大丈夫! ありがとー!」
桜玖と呼ばれた男は手を振ると後部座席の窓を閉めた。
「やばっ! サツがきた! 撒くぞ!」
最後尾で単車を走らせてた男が叫ぶと一斉にスピードを上げた。
脇道などを通りどうにか撒いたようだ。
本日はクリスマス暴走。
彼らは龍華──全国No.1の暴走族。
このクリスマス暴走を境に彼らの人生は一変する。
楽しい日々がずっと続くと誰もが思っていた。
まさかあんな事が起こるとは誰もが予想していなかった。
* * *
「お母さん、私……龍華の11代目総長になるよ」
夕食を終え、リビングのソファーでくつろいでいると、まだ幼さが残る彼女の口から突然告げられた。
「そう、あなたもあたしと同じ道を行くのね。
ひとつだけ約束して。決して自分を見失わないで。強い人っていうのは何かを守ることができる人。
ただ、闇雲に喧嘩してたらいつか壊れる……いつかのあたしのように」
彼女の隣に座る、母と呼ばれる女性は一瞬影を落とすと淡々と口にした。
「お母さん?」
彼女はいつもと話し方が違う母に戸惑いつつも問いかける。
「今から昔話するから聞いてくれる? きっとあなたの役に立つと思うの」
「うん、お母さんとお父さんの出会いも聞きたい」
彼女は母と父の馴れ初めを聞くことが余程嬉しかったのか、目を輝かせていた。
この時は、母の辛い過去を知ることになるとは思ってもみなかっただろう。
──これは今から20年前、ある母と父との出会いのお話。
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