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第2話 出会い
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「あっそ。あ、昼食べる奴いなかったら理事長室来いよ」
「理事長室?」
葵は小首を傾け問いかける。
「ああ、本当は朝来たら理事長室行く予定だったのに、お前があまりにも遅いからそのまま教室直行」
「え、そうなの……。それはごめん。
てか、理事長室行ってなかったの大丈夫なの? 柊真怒られちゃう?」
先程まで微笑んでいた顔から焦りが見えた。
「大丈夫、大丈夫。俺の心配より自分の心配しろよ。お前もよく知ってる奴だから」
「あたしは別にいいの。それよりあたしのせいで柊真が怒られるのは嫌だ。
てか、理事長あたしの知ってる人?……誰だろ?」
「まあ、楽しみにしてろ」
柊真はそう言うと葵に背を向けると右手を上げ歩き出した。
「(知ってる人……誰だろ。とりあえず戻るか)」
葵は教室に入り、自分の席へ向かった。
「(あ、席が埋まってる。またカラフルだな)」
葵の視線の先には先程まで空席だった窓際の席が綺麗に埋まっていた。
特に目もくれず席着く。
「え、女の子だ! 転校生?」
隣に座る生徒が話しかけてきた。
笑顔を浮かべた彼の髪の毛はクルクルとした栗色、まるで子犬のようだった。
「そうだけど」
「隣だねよろしく。僕は平川日向(ヒラカワ ヒナタ)。名前なんていうの?」
「西山葵」
「葵ちゃんか」
ぶっきらぼうに答えた葵に対し、笑顔の日向。
「日向の隣の女誰?」
そう問いかけたのは日向の後ろの席に座る赤髪の生徒。
耳にはたくさんのピアスが付いていた。
「転校生だって。西山葵ちゃん」
「へえ」
赤髪はあまり興味もないのかそう一言口にした。
「あ、葵ちゃん今のが相沢蓮(アイザワ レン)だよ」
「へえ」
葵も蓮の真似をしたのか、はたまた興味がないのかそう答えた。
「で、蓮の隣で葵ちゃんの後ろの席が瀬戸柚佑(セト ユウスケ)ね」
「よろしく」
黒髪メガネの彼、柚佑は貼り付けたような笑顔を浮かべた。
葵は一瞬眉間にシワを寄せぺこりと会釈した。
「はい、席つけ。……席につけって言ってんだろ!」
少しすると柊真が教室に入ってきた。
葵は前を向き柊真に視線を向ける。
「(柊真、殺気でてる。あ、みんな顔色やばいけど大丈夫?)」
と、葵はそんな心配をしていた。
柊真の担当科目は数学だ。
「(柊真勉強できたんだ。知らなかったな。昔は勉強してる所なんて見たことなかったのに)」
葵は懐かしそうに柊真を見ていた。
柊真が怖いのかみんな真面目に授業を受けていた。
もちろん葵も。
***
「(よし、柊真のところ行こう。理事長室だっけ?)」
午前中の授業が終わると葵は席を立った。
「(まずは柊真探してからのがいいかな)」
職員室により柊真探す葵。
職員室を見渡すも皆知らない顔ばかりだ。
「誰か探してるの?」
男の先生が葵に問いかけた。
「あ、と……平岡先生いますか?」
「平岡先生なら理事長室だと思うよ」
「ありがとうございます」
葵はそう告げると同じ階の一番端にある部屋へ向かった。
茶色のドアには"理事長室"と書かれたプレートが貼られていた。
職員室や理事長室の場所は予め柊真から聞いていた為、迷わずに来れた。
「(あたしの知ってる人……誰だろ?)」
拳で軽くドアをノックする。
「はい、どうぞ」
中から低めの声が聞こえてきた。
「(え、この声……)」
その声は葵のよく知る声だった。
「失礼します」
そして、ドアを開けると──
「理事長室?」
葵は小首を傾け問いかける。
「ああ、本当は朝来たら理事長室行く予定だったのに、お前があまりにも遅いからそのまま教室直行」
「え、そうなの……。それはごめん。
てか、理事長室行ってなかったの大丈夫なの? 柊真怒られちゃう?」
先程まで微笑んでいた顔から焦りが見えた。
「大丈夫、大丈夫。俺の心配より自分の心配しろよ。お前もよく知ってる奴だから」
「あたしは別にいいの。それよりあたしのせいで柊真が怒られるのは嫌だ。
てか、理事長あたしの知ってる人?……誰だろ?」
「まあ、楽しみにしてろ」
柊真はそう言うと葵に背を向けると右手を上げ歩き出した。
「(知ってる人……誰だろ。とりあえず戻るか)」
葵は教室に入り、自分の席へ向かった。
「(あ、席が埋まってる。またカラフルだな)」
葵の視線の先には先程まで空席だった窓際の席が綺麗に埋まっていた。
特に目もくれず席着く。
「え、女の子だ! 転校生?」
隣に座る生徒が話しかけてきた。
笑顔を浮かべた彼の髪の毛はクルクルとした栗色、まるで子犬のようだった。
「そうだけど」
「隣だねよろしく。僕は平川日向(ヒラカワ ヒナタ)。名前なんていうの?」
「西山葵」
「葵ちゃんか」
ぶっきらぼうに答えた葵に対し、笑顔の日向。
「日向の隣の女誰?」
そう問いかけたのは日向の後ろの席に座る赤髪の生徒。
耳にはたくさんのピアスが付いていた。
「転校生だって。西山葵ちゃん」
「へえ」
赤髪はあまり興味もないのかそう一言口にした。
「あ、葵ちゃん今のが相沢蓮(アイザワ レン)だよ」
「へえ」
葵も蓮の真似をしたのか、はたまた興味がないのかそう答えた。
「で、蓮の隣で葵ちゃんの後ろの席が瀬戸柚佑(セト ユウスケ)ね」
「よろしく」
黒髪メガネの彼、柚佑は貼り付けたような笑顔を浮かべた。
葵は一瞬眉間にシワを寄せぺこりと会釈した。
「はい、席つけ。……席につけって言ってんだろ!」
少しすると柊真が教室に入ってきた。
葵は前を向き柊真に視線を向ける。
「(柊真、殺気でてる。あ、みんな顔色やばいけど大丈夫?)」
と、葵はそんな心配をしていた。
柊真の担当科目は数学だ。
「(柊真勉強できたんだ。知らなかったな。昔は勉強してる所なんて見たことなかったのに)」
葵は懐かしそうに柊真を見ていた。
柊真が怖いのかみんな真面目に授業を受けていた。
もちろん葵も。
***
「(よし、柊真のところ行こう。理事長室だっけ?)」
午前中の授業が終わると葵は席を立った。
「(まずは柊真探してからのがいいかな)」
職員室により柊真探す葵。
職員室を見渡すも皆知らない顔ばかりだ。
「誰か探してるの?」
男の先生が葵に問いかけた。
「あ、と……平岡先生いますか?」
「平岡先生なら理事長室だと思うよ」
「ありがとうございます」
葵はそう告げると同じ階の一番端にある部屋へ向かった。
茶色のドアには"理事長室"と書かれたプレートが貼られていた。
職員室や理事長室の場所は予め柊真から聞いていた為、迷わずに来れた。
「(あたしの知ってる人……誰だろ?)」
拳で軽くドアをノックする。
「はい、どうぞ」
中から低めの声が聞こえてきた。
「(え、この声……)」
その声は葵のよく知る声だった。
「失礼します」
そして、ドアを開けると──
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