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第65話 朔と柑太の思い
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***
「今の葵? どうだった?」
菖人と葵が電話している途中、部屋に入って来た桃李。
ソファーに腰掛ける桃李は菖人の電話が終わると問いかけた。
「あー龍華には戻れないって。でも、ちゃんと話せた。あと……朔と柑太のことやっぱり自分のせいだって思ってた」
菖人は言いにくそうに目を伏せると口を開いた。
「やっぱり……。菖人の反応からしてそうなんだろうなって思ったけど。でも、あれはどう考えても葵のせいじゃないだろ!」
菖人の言葉を聞いた桃李は感情的に言い放つ。
「ああ。あおを殴ろうとした黒猫が鉄パイプに突っ込んで崩れて来たんだからな……」
「うん。葵が巻き込まれそうだったのを助けたのが朔だったね……」
桃李とは裏腹に落ち着いた口調の菖人。
それの影響か桃李は静かに口を開いた。
その唇は僅かに震え、膝に置かれた拳はきつく握りしめられていた。
そう、あの日──葵は積まれた鉄パイプを背に黒猫の1人と向き合っていた。
男が葵に殴りかかった瞬間葵は避けた。
すると、殴る対象がいなくなった男はそのまま積まれた鉄パイプに突っ込んだ。
鉄パイプが崩れた瞬間、朔は走り出し、近くにいた葵を手で押しのけた。
押された葵は鉄パイプの下敷きなることはなかったが━━そこには朔の姿があった。
「ああ。下敷きになった朔にあおが寄り添ってたら黒猫が……あおを刺そうとした」
「うん。葵の前に飛び出したのが柑太。2人とも、ただ葵を助けたかっただけなんだよ……。だから葵のせいじゃないのに……!」
「ああ」
俯いていた菖人は桃李に視線を移す。
その視線の先には静かに涙を流す桃李の姿があった。
鉄パイプが崩れ落ちた後━━
ナイフを持った男が走りだす。
その視線の先には鉄パイプの下敷きになった朔に寄り添う葵の姿があった。
そんな無防備な所を狙うのが黒猫だ。
気が動転して周りが見えていなかった葵。
柑太に呼ばれ葵が振り向くと、そこには刺された柑太の姿があった。
倉庫には葵の泣き叫ぶ声が響いていた。
すぐに病院へ行ったが柑太は出血量が多く助からなかった。
朔は10ヶ月経った今も目が覚めないままだ。
「今の葵? どうだった?」
菖人と葵が電話している途中、部屋に入って来た桃李。
ソファーに腰掛ける桃李は菖人の電話が終わると問いかけた。
「あー龍華には戻れないって。でも、ちゃんと話せた。あと……朔と柑太のことやっぱり自分のせいだって思ってた」
菖人は言いにくそうに目を伏せると口を開いた。
「やっぱり……。菖人の反応からしてそうなんだろうなって思ったけど。でも、あれはどう考えても葵のせいじゃないだろ!」
菖人の言葉を聞いた桃李は感情的に言い放つ。
「ああ。あおを殴ろうとした黒猫が鉄パイプに突っ込んで崩れて来たんだからな……」
「うん。葵が巻き込まれそうだったのを助けたのが朔だったね……」
桃李とは裏腹に落ち着いた口調の菖人。
それの影響か桃李は静かに口を開いた。
その唇は僅かに震え、膝に置かれた拳はきつく握りしめられていた。
そう、あの日──葵は積まれた鉄パイプを背に黒猫の1人と向き合っていた。
男が葵に殴りかかった瞬間葵は避けた。
すると、殴る対象がいなくなった男はそのまま積まれた鉄パイプに突っ込んだ。
鉄パイプが崩れた瞬間、朔は走り出し、近くにいた葵を手で押しのけた。
押された葵は鉄パイプの下敷きなることはなかったが━━そこには朔の姿があった。
「ああ。下敷きになった朔にあおが寄り添ってたら黒猫が……あおを刺そうとした」
「うん。葵の前に飛び出したのが柑太。2人とも、ただ葵を助けたかっただけなんだよ……。だから葵のせいじゃないのに……!」
「ああ」
俯いていた菖人は桃李に視線を移す。
その視線の先には静かに涙を流す桃李の姿があった。
鉄パイプが崩れ落ちた後━━
ナイフを持った男が走りだす。
その視線の先には鉄パイプの下敷きになった朔に寄り添う葵の姿があった。
そんな無防備な所を狙うのが黒猫だ。
気が動転して周りが見えていなかった葵。
柑太に呼ばれ葵が振り向くと、そこには刺された柑太の姿があった。
倉庫には葵の泣き叫ぶ声が響いていた。
すぐに病院へ行ったが柑太は出血量が多く助からなかった。
朔は10ヶ月経った今も目が覚めないままだ。
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