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そうこうしている内に、門まであともう少しの所まで来る。
相変わらずかなり注目されているけれど一定の距離は保たれているし、ソランツェががっちり横にいるからか何かされるとかいう事は無かった。頼もしいねえ。
「あれ?ソランツェさんじゃないですか?」
順番が早く来ないかなと待っていると門の方から若い門兵が一人こちらへ近付いてきた。ソランツェを知っているらしく人懐こい感じの声で声をかけてくる。
「ああ、ユーゴか」
「何かあったんすか? 三日前くらいに出て行ったばかりなのに」
「大事な用が出来たんで戻って来た」
結構親しげに声をかけてくるユーゴという緩いウェーブのかかった短髪赤毛の人物とソランツェのやり取りをぼんやり横で見ていると、
「え! だ、だだ誰っすか?! この人!? も、もも、もしかして……」
俺に気付いたらしいユーゴは大袈裟とも思える驚きの声を上げた。
鼻息荒く興奮した様子でグイッと距離を詰められそうになって思わず体が逃げそうになるも、そうなる前にソランツェが間に入ってくれる。
「近いぞ」
「あ、すんません!……あの、でもっ!」
「彼は貴人だ。むやみに近づくな。切り捨てる事も躊躇わないぞ」
ソランツェが剣のグリップに手を添え、彼に対していきなり威圧的な態度を取ったので戸惑ってしまう。貴人って?俺、貴人って事になったの?いつの間に?
ソランツェの陰から顔を出してユーゴの方を見ると、先程の感じは消え顔を青ざめさせていて、ついでに俺達を見ていた周りにいた人たちの顔色も良くない気がする。
「申し訳ございませんでした!」
ソランツェの言う事を信じたのか彼はザッと数歩下がり平伏して謝罪してくる。そのまま、頭を上げず動かないのでどうしたらいいのか判らない。ソランツェを見ると無言で頷くだけなので、一応俺から声をかける。
「あの、ちょっと驚いただけなんで……頭上げて、立って下さい。気にしないで」
「あ、ありがとうございます!」
彼はすぐさま立ってその場に直立する。ソランツェも威圧するのを止めたので、周りに漂っていた緊張感も幾分和らいだ。注目は相変わらずされているけど。
ソランツェに小声で俺まで戸惑ってしまったと言うと、彼には悪いが丁度良かったからなと言われた。
興味津々に見てくる人達へのアンサーにわざと利用したんだね……ここで目撃した事は中に入った後ですぐに広めるだろうし。ていうか、なんでそういう事するかな……。俺は目立たない穏やかな旅が希望なんだけどなあ?
「リヒト。彼はララタス周辺警備隊の人間でユーゴという。俺がララタス滞在中に知り合ったやつで、まあ善良なやつだ」
「雰囲気で判るよ……。ユーゴくん怖がらせちゃってごめん。初めまして。俺はリヒト・ソメヤって言います、出来るだけ普通な感じでよろしくね」
「よろしくお願いします!ララタス周辺警備隊第三分隊所属、ユーゴと申します!」
「それで、ユーゴは門から離れてどうした?」
「あっ、えっと、何か並んでる人たちの様子がそぞろな感じで……列の後方ばかりを気にしててなんかおかしいから見て来いって。まあ理由は判ったんですけど」
「俺達の存在だな」
「町の中に入ってからも門の所に溜まってる人が多くて……その……」
「え?俺の珍しい見た目とかってだけでそんな事に?」
「あ、あの、も、勿論そうだと思われますが、あと、ソランツェさんも有名な方なので」
「そうなの?」
「そんな事はないと思うがな?」
首を傾げるソランツェに呆れた顔を見せたユーゴを見て、ああ間違いなく有名人なんだなって理解した。
++++++
ユーゴは一旦門の所へ戻り報告をして戻って来た。特例って事で俺達はユーゴに先導されて移動する。
門兵の詰所まで誘導されてそこで手続きをしてもらう。
字は読めるが書けなかったのでソランツェが全部やってくれた。そういえば、言葉が通じる事に疑問を持ってなかったや。はいはいアシュマルナのおかげおかげ。
手続きも出来たので、ようやく町の中だ~!ギルド行った後市場とか行ってみたいな!と内心ウキウキしていたらソランツェからまだ待つ様に言われる。で、出鼻がっ。
「ユーゴ、悪いが教会まで到着したと使いを出せないか?」
「それならユーゴ行って来い、ここは私が入る」
ソランツェがユーゴに頼み事をしているとユーゴの返答の前に、同時のタイミングくらいで詰所に入って来た四十歳くらいの淡い水色の髪をオールバックにした男の人がユーゴにそう指示を出す。うわあ、見るからに役職持ちっぽい。
その人は座る俺に無言で軽く礼をしてすぐに入り口付近の壁際に立つソランツェの傍に行くと小声で訊ねる。
「門の所が騒がしいと来てみれば……。ルーダル殿、この方の詳細は?」
「後で話すが、まずは教会に行かなければならない」
ん?
そういえば、さっきも教会って言ってたけど、教会行かなきゃならないって初めて聞きましたけど?!
どういう事だとソランツェを見ると、スッと目を逸らす。いや、マジでどういう事?
それでも、ソランツェをじーっと見ていると、思い付いた様に男の人の紹介を始めだした。ララタス周辺警備隊の副隊長さんだそうだ。
「カクラードと申します。よろしくお願いします」
「リヒト・ソメヤです。こちらこそよろしくお願いします」
俺が一応「貴人」となっていても、俺の詳細が判らないからか普通な感じの挨拶だった。
いや、めっちゃくちゃ怪しんでる?視線。でしょうね。副隊長にまでなってる人だもん、すぐに信用する訳ないよね。ソランツェと一緒だからとりあえず大丈夫って扱いをしてやってるぞってのが丸分かりだ。
もしかすると、ソランツェいないと町にすら入れない可能性あったのかも?入れても大変な感じだったんだろうなと思われる。
ありがとう、ソランツェ!と目線を向けると、なぜだかいきなり機嫌が直っている俺に首を傾げていた。
相変わらずかなり注目されているけれど一定の距離は保たれているし、ソランツェががっちり横にいるからか何かされるとかいう事は無かった。頼もしいねえ。
「あれ?ソランツェさんじゃないですか?」
順番が早く来ないかなと待っていると門の方から若い門兵が一人こちらへ近付いてきた。ソランツェを知っているらしく人懐こい感じの声で声をかけてくる。
「ああ、ユーゴか」
「何かあったんすか? 三日前くらいに出て行ったばかりなのに」
「大事な用が出来たんで戻って来た」
結構親しげに声をかけてくるユーゴという緩いウェーブのかかった短髪赤毛の人物とソランツェのやり取りをぼんやり横で見ていると、
「え! だ、だだ誰っすか?! この人!? も、もも、もしかして……」
俺に気付いたらしいユーゴは大袈裟とも思える驚きの声を上げた。
鼻息荒く興奮した様子でグイッと距離を詰められそうになって思わず体が逃げそうになるも、そうなる前にソランツェが間に入ってくれる。
「近いぞ」
「あ、すんません!……あの、でもっ!」
「彼は貴人だ。むやみに近づくな。切り捨てる事も躊躇わないぞ」
ソランツェが剣のグリップに手を添え、彼に対していきなり威圧的な態度を取ったので戸惑ってしまう。貴人って?俺、貴人って事になったの?いつの間に?
ソランツェの陰から顔を出してユーゴの方を見ると、先程の感じは消え顔を青ざめさせていて、ついでに俺達を見ていた周りにいた人たちの顔色も良くない気がする。
「申し訳ございませんでした!」
ソランツェの言う事を信じたのか彼はザッと数歩下がり平伏して謝罪してくる。そのまま、頭を上げず動かないのでどうしたらいいのか判らない。ソランツェを見ると無言で頷くだけなので、一応俺から声をかける。
「あの、ちょっと驚いただけなんで……頭上げて、立って下さい。気にしないで」
「あ、ありがとうございます!」
彼はすぐさま立ってその場に直立する。ソランツェも威圧するのを止めたので、周りに漂っていた緊張感も幾分和らいだ。注目は相変わらずされているけど。
ソランツェに小声で俺まで戸惑ってしまったと言うと、彼には悪いが丁度良かったからなと言われた。
興味津々に見てくる人達へのアンサーにわざと利用したんだね……ここで目撃した事は中に入った後ですぐに広めるだろうし。ていうか、なんでそういう事するかな……。俺は目立たない穏やかな旅が希望なんだけどなあ?
「リヒト。彼はララタス周辺警備隊の人間でユーゴという。俺がララタス滞在中に知り合ったやつで、まあ善良なやつだ」
「雰囲気で判るよ……。ユーゴくん怖がらせちゃってごめん。初めまして。俺はリヒト・ソメヤって言います、出来るだけ普通な感じでよろしくね」
「よろしくお願いします!ララタス周辺警備隊第三分隊所属、ユーゴと申します!」
「それで、ユーゴは門から離れてどうした?」
「あっ、えっと、何か並んでる人たちの様子がそぞろな感じで……列の後方ばかりを気にしててなんかおかしいから見て来いって。まあ理由は判ったんですけど」
「俺達の存在だな」
「町の中に入ってからも門の所に溜まってる人が多くて……その……」
「え?俺の珍しい見た目とかってだけでそんな事に?」
「あ、あの、も、勿論そうだと思われますが、あと、ソランツェさんも有名な方なので」
「そうなの?」
「そんな事はないと思うがな?」
首を傾げるソランツェに呆れた顔を見せたユーゴを見て、ああ間違いなく有名人なんだなって理解した。
++++++
ユーゴは一旦門の所へ戻り報告をして戻って来た。特例って事で俺達はユーゴに先導されて移動する。
門兵の詰所まで誘導されてそこで手続きをしてもらう。
字は読めるが書けなかったのでソランツェが全部やってくれた。そういえば、言葉が通じる事に疑問を持ってなかったや。はいはいアシュマルナのおかげおかげ。
手続きも出来たので、ようやく町の中だ~!ギルド行った後市場とか行ってみたいな!と内心ウキウキしていたらソランツェからまだ待つ様に言われる。で、出鼻がっ。
「ユーゴ、悪いが教会まで到着したと使いを出せないか?」
「それならユーゴ行って来い、ここは私が入る」
ソランツェがユーゴに頼み事をしているとユーゴの返答の前に、同時のタイミングくらいで詰所に入って来た四十歳くらいの淡い水色の髪をオールバックにした男の人がユーゴにそう指示を出す。うわあ、見るからに役職持ちっぽい。
その人は座る俺に無言で軽く礼をしてすぐに入り口付近の壁際に立つソランツェの傍に行くと小声で訊ねる。
「門の所が騒がしいと来てみれば……。ルーダル殿、この方の詳細は?」
「後で話すが、まずは教会に行かなければならない」
ん?
そういえば、さっきも教会って言ってたけど、教会行かなきゃならないって初めて聞きましたけど?!
どういう事だとソランツェを見ると、スッと目を逸らす。いや、マジでどういう事?
それでも、ソランツェをじーっと見ていると、思い付いた様に男の人の紹介を始めだした。ララタス周辺警備隊の副隊長さんだそうだ。
「カクラードと申します。よろしくお願いします」
「リヒト・ソメヤです。こちらこそよろしくお願いします」
俺が一応「貴人」となっていても、俺の詳細が判らないからか普通な感じの挨拶だった。
いや、めっちゃくちゃ怪しんでる?視線。でしょうね。副隊長にまでなってる人だもん、すぐに信用する訳ないよね。ソランツェと一緒だからとりあえず大丈夫って扱いをしてやってるぞってのが丸分かりだ。
もしかすると、ソランツェいないと町にすら入れない可能性あったのかも?入れても大変な感じだったんだろうなと思われる。
ありがとう、ソランツェ!と目線を向けると、なぜだかいきなり機嫌が直っている俺に首を傾げていた。
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