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「おはよう、リヒト」
ぼんやりと意識が浮上し、肌に当たる寝具の感触に違和感を覚え目を開けると、ソランツェの顔があった。ああ、そうだったこんなに狭いのに離れたくなくて抱き合ったまま寝たんだったなと思い出して、寝ている間にほんのわずかだけ離れてしまった距離を取り戻すべくソランツェに擦り寄り胸に顔を埋める。より距離が近付いたおかげか、ふわっと香った俺の好きなソランツェの匂いをここぞとばかりに堪能していると
「まだ寝ぼけてるのか?」
なんて、笑いながらほら起きろと俺の頭や肩を撫で頭に何回もキスして邪魔して来る。
「……寝ぼけてなんかないよ」
首筋にある俺と繋がる痣の部分をガジッっと甘噛みして顔を上げると、改めておはようとの挨拶とともにキスをされた。
「好きな匂い、もっと嗅ぎたかっただけ」
「っ、リヒト……」
「あはっ」
「……朝から可愛い事ばかりだな」
「おはよ、ソランツェ」
自分からもキスを返して身を起こす。
寝具の肌触りに違和感を覚えたのは裸で寝てたからだ、アシュマルナ製は最高品質だしなと思いながら身支度をしようとして思い出した。
「ソランツェの着替えも魔法でやってみていい?」
「ん?どういう事だ?」
「まあ、いいからいいから」
自らも身支度を整えようと体を起こしたソランツェを止め、アシュマルナ~服お願い~!と魔法を使うと瞬時に服が現れた。
「?!」
「おー、かっこいい!」
「これは……」
「魔法でやったらアシュマルナどんな服にしてくれるんだろうって」
アシュマルナがソランツェに用意したのは俺と同じ色のスタンドカラーのライダースジャケットみたいなやつだった。
中は襟のない白いシャツで細身の黒のパンツに黒ブーツで、手袋やソードベルトなんかも一新されていて、所々俺の服の刺繍と同じデザインの柄が入っている。
あと、ソランツェの鎧が無くなっていたので、もしかしてと思ってソランツェの新しい服を”鑑定”してみたらジャケットに対物・対魔半減効果が付与されていた。服にもそういう効果付与できるんだな。俺にも出来るかな?
「似合ってるよ! かっこいい」
「リヒトも少し変わったな」
「え? あ、本当だ! って、えぇー……」
ソランツェの方ばかり見ていて全く自分の事に気付かなかったけど、ワンピースの丈が短くなって普通のシャツくらいの丈に変わっていた。
――のはいいけれど、多分シルクっぽい光沢のある生地に変わり胸元の合わせ部分にフリルが付いていて胸元を留めるリボンまであるし、レギンスもスキニーパンツに変わっているけど側面に少しだけ金糸で刺繍が施されているやつに……。
髪型はアップスタイルのままでフード付きローブも変わっていないけど、めちゃくちゃ派手な人みたいになってしまった。確かに違うデザインの服着たいって思ってたけど絶対にこれじゃない。
「あいつマジなんなの?俺をどうしたいの」
「麗しさが増したな」
「はい、それ望んでないやつ」
「似合ってるぞ。綺麗だし可愛いし、そんなリヒトを常に視界に入れられるのは幸せだ」
「ひぇ……」
ふわぁぁぁ……ソランツェが強いよぉ……。
++++++
朝ご飯は冒険者ギルドに行く途中の広場に屋台があるらしいのでそこで買う事にした。
出発するかと部屋のドアを開けると丁度隣の部屋の男性も出たところで、おはようございますと挨拶すると相手側も返してくれたが目は泳ぎつつも俺を全身見て顔を赤くし、そわそわと様子がおかしくなり逃げる様に去って行った。
「どうしたんだろ?」
「もしかして昨日結界張ってなかったのか?」
「……あ? あ、あああっ!」
うわあああ!忘れてた!!もうあれ絶対、聞こえてたじゃん!!!ごめん!聞かせて!!
あー、もう恥ずかし過ぎてぶっ倒れそう……。無理、ダメ。
ソランツェは羞恥にぷるぷるしている俺を抱き上げて一旦部屋に戻り、俺が落ち着くまでよしよしと頭を撫でて慰めてくれた。うぅぅぅ。
ある程度落ち着いた後、受付の男性・テッドさんにいやに暖かな笑顔を向けられながら宿屋から出発する。考えない考えない……。多分、今日も泊まるけどいたたまれないです。
広場に着いて出ている屋台で朝ご飯を買う。広場の端に設置されているベンチに座って朝食タイム。
ソランツェはスピアディアのデカい肉串三本。朝からがっつり行くなあ。
一口もらって食べたけど、臭み消しのハーブをまぶしてただ焼いただけだったので塩を取り出してかけてあげる。ここら辺の料理ってあんまり塩使わないみたいだな。
俺が選んだのは野菜と魚の焼いたものを挟んだパン。南蛮漬けみたいに少し酸味のある感じで美味しい。気に入ったので追加で3個ほど買ってラップにくるんで亜空間収納へ。
お腹を満たして冒険者ギルドに向かう道すがら今日の方針会議。
「まずは簡単な物があれば受けようか」
「簡単って言っても討伐系である事には変わりないんだろ」
「まあな」
少しは慣れて来たけど気は進まない事には変わりないんだよな、と未だにうだうだ考えていたらもう冒険者ギルドに着いた。
中に入ろうと入口に近付いた所で、昨日の小さい男の子がまた立っているのに気付いた。
朝から?と少し不思議に思って見ていたらその子と目が合うも、すぐに目を逸らされる。
でも、すぐにまた俺達の方を見て、逸らしてまた見てと、悲しんでる様な困っている様な何かありそうなその表情がすごく気になってしまう。中に居る親を待っている様な感じじゃない……。
多分、俺達に声をかけるか迷っているみたいだったので、ソランツェに目配せして了解を得てからその子に声をかけてみる。
「おはよう。ちょっとお話聞いてもいい?」
俺の方から声をかけられたのに一瞬ビクついていたけれど、おずおずと頷いてくれたので近付き目線を合わせる為にしゃがんで話し掛ける。
「お兄ちゃん達ね、君が昨日もここにいるの見掛けたんだけど、何やってるのかなってちょっと気になってるんだ」
怖がらせない様に気を付けながら、優しいトーンで話し掛ける。
「誰か待ってたりするのかな?」
「……うん」
「中に居るの?」
「ううん」
「昨日も待ってた?」
「うん」
俺の質問に答えていく内に、男の子はだんだん泣きそうな表情になってきた。
ただ待っているだけではこんな事ってないだろうからもっとちゃんと聞き出したい。何があったのかな?
「もしかして、何か困ってる事がある?」
ぼんやりと意識が浮上し、肌に当たる寝具の感触に違和感を覚え目を開けると、ソランツェの顔があった。ああ、そうだったこんなに狭いのに離れたくなくて抱き合ったまま寝たんだったなと思い出して、寝ている間にほんのわずかだけ離れてしまった距離を取り戻すべくソランツェに擦り寄り胸に顔を埋める。より距離が近付いたおかげか、ふわっと香った俺の好きなソランツェの匂いをここぞとばかりに堪能していると
「まだ寝ぼけてるのか?」
なんて、笑いながらほら起きろと俺の頭や肩を撫で頭に何回もキスして邪魔して来る。
「……寝ぼけてなんかないよ」
首筋にある俺と繋がる痣の部分をガジッっと甘噛みして顔を上げると、改めておはようとの挨拶とともにキスをされた。
「好きな匂い、もっと嗅ぎたかっただけ」
「っ、リヒト……」
「あはっ」
「……朝から可愛い事ばかりだな」
「おはよ、ソランツェ」
自分からもキスを返して身を起こす。
寝具の肌触りに違和感を覚えたのは裸で寝てたからだ、アシュマルナ製は最高品質だしなと思いながら身支度をしようとして思い出した。
「ソランツェの着替えも魔法でやってみていい?」
「ん?どういう事だ?」
「まあ、いいからいいから」
自らも身支度を整えようと体を起こしたソランツェを止め、アシュマルナ~服お願い~!と魔法を使うと瞬時に服が現れた。
「?!」
「おー、かっこいい!」
「これは……」
「魔法でやったらアシュマルナどんな服にしてくれるんだろうって」
アシュマルナがソランツェに用意したのは俺と同じ色のスタンドカラーのライダースジャケットみたいなやつだった。
中は襟のない白いシャツで細身の黒のパンツに黒ブーツで、手袋やソードベルトなんかも一新されていて、所々俺の服の刺繍と同じデザインの柄が入っている。
あと、ソランツェの鎧が無くなっていたので、もしかしてと思ってソランツェの新しい服を”鑑定”してみたらジャケットに対物・対魔半減効果が付与されていた。服にもそういう効果付与できるんだな。俺にも出来るかな?
「似合ってるよ! かっこいい」
「リヒトも少し変わったな」
「え? あ、本当だ! って、えぇー……」
ソランツェの方ばかり見ていて全く自分の事に気付かなかったけど、ワンピースの丈が短くなって普通のシャツくらいの丈に変わっていた。
――のはいいけれど、多分シルクっぽい光沢のある生地に変わり胸元の合わせ部分にフリルが付いていて胸元を留めるリボンまであるし、レギンスもスキニーパンツに変わっているけど側面に少しだけ金糸で刺繍が施されているやつに……。
髪型はアップスタイルのままでフード付きローブも変わっていないけど、めちゃくちゃ派手な人みたいになってしまった。確かに違うデザインの服着たいって思ってたけど絶対にこれじゃない。
「あいつマジなんなの?俺をどうしたいの」
「麗しさが増したな」
「はい、それ望んでないやつ」
「似合ってるぞ。綺麗だし可愛いし、そんなリヒトを常に視界に入れられるのは幸せだ」
「ひぇ……」
ふわぁぁぁ……ソランツェが強いよぉ……。
++++++
朝ご飯は冒険者ギルドに行く途中の広場に屋台があるらしいのでそこで買う事にした。
出発するかと部屋のドアを開けると丁度隣の部屋の男性も出たところで、おはようございますと挨拶すると相手側も返してくれたが目は泳ぎつつも俺を全身見て顔を赤くし、そわそわと様子がおかしくなり逃げる様に去って行った。
「どうしたんだろ?」
「もしかして昨日結界張ってなかったのか?」
「……あ? あ、あああっ!」
うわあああ!忘れてた!!もうあれ絶対、聞こえてたじゃん!!!ごめん!聞かせて!!
あー、もう恥ずかし過ぎてぶっ倒れそう……。無理、ダメ。
ソランツェは羞恥にぷるぷるしている俺を抱き上げて一旦部屋に戻り、俺が落ち着くまでよしよしと頭を撫でて慰めてくれた。うぅぅぅ。
ある程度落ち着いた後、受付の男性・テッドさんにいやに暖かな笑顔を向けられながら宿屋から出発する。考えない考えない……。多分、今日も泊まるけどいたたまれないです。
広場に着いて出ている屋台で朝ご飯を買う。広場の端に設置されているベンチに座って朝食タイム。
ソランツェはスピアディアのデカい肉串三本。朝からがっつり行くなあ。
一口もらって食べたけど、臭み消しのハーブをまぶしてただ焼いただけだったので塩を取り出してかけてあげる。ここら辺の料理ってあんまり塩使わないみたいだな。
俺が選んだのは野菜と魚の焼いたものを挟んだパン。南蛮漬けみたいに少し酸味のある感じで美味しい。気に入ったので追加で3個ほど買ってラップにくるんで亜空間収納へ。
お腹を満たして冒険者ギルドに向かう道すがら今日の方針会議。
「まずは簡単な物があれば受けようか」
「簡単って言っても討伐系である事には変わりないんだろ」
「まあな」
少しは慣れて来たけど気は進まない事には変わりないんだよな、と未だにうだうだ考えていたらもう冒険者ギルドに着いた。
中に入ろうと入口に近付いた所で、昨日の小さい男の子がまた立っているのに気付いた。
朝から?と少し不思議に思って見ていたらその子と目が合うも、すぐに目を逸らされる。
でも、すぐにまた俺達の方を見て、逸らしてまた見てと、悲しんでる様な困っている様な何かありそうなその表情がすごく気になってしまう。中に居る親を待っている様な感じじゃない……。
多分、俺達に声をかけるか迷っているみたいだったので、ソランツェに目配せして了解を得てからその子に声をかけてみる。
「おはよう。ちょっとお話聞いてもいい?」
俺の方から声をかけられたのに一瞬ビクついていたけれど、おずおずと頷いてくれたので近付き目線を合わせる為にしゃがんで話し掛ける。
「お兄ちゃん達ね、君が昨日もここにいるの見掛けたんだけど、何やってるのかなってちょっと気になってるんだ」
怖がらせない様に気を付けながら、優しいトーンで話し掛ける。
「誰か待ってたりするのかな?」
「……うん」
「中に居るの?」
「ううん」
「昨日も待ってた?」
「うん」
俺の質問に答えていく内に、男の子はだんだん泣きそうな表情になってきた。
ただ待っているだけではこんな事ってないだろうからもっとちゃんと聞き出したい。何があったのかな?
「もしかして、何か困ってる事がある?」
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