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「ギルドまで転移する?」
「ああ、早く行った方がいいだろうな」
城門でちゃんと手続きをし、入場料を払って中に入ってからソランツェにどうするか問う。一応、あの地震がどういう事だったかは判ったが、拡張部分がどんな事になっているかまでは判らない。経験の浅い冒険者が突っ込んでいかない様に早々にギルドや領主に知らせないと危ないかもしれないから早ければ早い方がいい。
動き出したソランツェには『アシュマルナにもまだ伝わってきてないから詳しくは判んないけど、最上の愛し子(神の子)が現れたんだから何かしら変化があるものだという(権威付け的な)理由からやったのかもねえ』という曖昧な感じに話を持って行った。ダンジョン型仕送りシステムの事も言ってないし、他にも言えない事もあるから心苦しいが、まあ、しょうがない。
用意されたダンジョン型仕送りシステムは魅力的だけど、資金稼ぎにはソランツェが今までやってた様に、魔物駆除メインの方が世界の為にはいいだろうと思うのは変わらないので、いつか必要な時に行こうかなと思うからそれまで内緒にした。
……まあ、本当はソランツェにダンジョン型仕送りシステムを教えたくないだけなんだけど。甘やかされ過ぎてて恥ずかしいから。何ていうか、娘婿の稼ぎに心配して送金しちゃうお父さん感がさあ……。アシュマルナとは違う感じに戸惑うわ。
例のアレだって、なんだそれって話だよ。娘はやらん!みたいなそんなノリだったんかよ、と。アレがなければソランツェに言わずに事が運べてソランツェはちゃんと人として死ぬ事が出来たかもしれないのに!と言いたくもなる。でもまあ、どうせアシュマルナがソランツェにバラしてたんだろうから選択肢は変わらないのは確かなんだけど、なんつーか、気持ちの置き所が微妙になるから知りたくなかったよ……。
「リヒト?」
「あ、ゴメン」
ついつい、考え込んで動きが止まってしまいソランツェを心配させてしまった。
「いや、街中だし目立たない様に転移地点に不可視結界張れるかな~とかって考えてた」
「そうか?」
咄嗟に思い付いた言い訳を言ってみるが、我ながらこれは良いんではないだろうか?いきなり人前に立つのは驚かしてしまうしな。不可視結界張るというより、俺達自体が透明になるとか……やってみるか。
「ちょっと今から俺達透明になってみようと思う」
「透明?」
「はい、手繋いでて~」
透明人間になぁ~れ~♪と指を鳴らすと自分の体が消え、目の前のソランツェも手の感覚を残し見えなくなった。
「あは、成功みたい」
「な、なんだこれは……っ」
「つーか、もう失敗する事を探す方が難しいな、うん」
ソランツェが大いに戸惑っているという反応を見る限り、透明人間なんて発想はこの世界にはないものっぽい。成功したのならば今後も使っていくので慣れてくれと思いながらさっさと転移する。
冒険者ギルドの前に到着したので、繋いだ手をそのまま引っ張って物陰に移動し、魔法を解除する。
「よし、早く行こう!」
「……いや、ああ、うん……何だか心臓に悪いな」
耳もぺたーんと寝てしまって尻尾も下がってるし、ソランツェがここまで動揺するってのは……面白いな。すまん。
++++++
「みんな聞け、緊急事態だ!」
ギルドの中へ入ると、通常モードに立ち直ったソランツェがギルド内全体に聞こえる様に声を上げる。その声にギルド内全体がピタッと止まったのは、何て言えばいいのか適切か判らないけど”慣れている”と思う。自分の命に係わる事だったりするからだろう。
「つい先ほど、ダンジョンに異変が起こった。もし、今から行こうとしている者は一時中止した方がいい」
「本当か?」
「担ぐ気じゃねぇだろうな?」
「しばらくすれば、その時ダンジョンにいた者達も戻ってくると思うがみな同じ事を言うだろう」
あの騒動もソランツェの顔も知らないらしいパッと見強そうなベテラン冒険者な人達から次々疑う声が上がるが、ギルドの職員達はソランツェが言う事に嘘などある筈がないのは判っているし、俺の正体も嫌という程判っているので、慌ててギルマスに伝えてきます!と駆け出して行く者と疑う人達を黙らせようとしている者がいる。
何か大変そうと他人事のようにそれを見ていた俺と目が合ったアレンさんは、急いでカウンター業務を他の職員と変わり俺の元へ来てくれた。
「リヒト様、お久し振りです」
近寄って来たアレンさんは一定の距離を取って俺達の前にスッと跪きわざと大きめな声で挨拶をする。顔を下げる前にウインクされたのでその意図が判った俺やソランツェは驚きはしないが、案の定、ギルド内はアレンさんのその行動にまたピタッと止まった。疑ってきていた人達は特にどういう事だとポカンとしている。
「うん、久し振り」
俺達に注目している中でそのままの状態で受け答えし、お久し振りというほど日は空いてないけどね、と思いつつソランツェに目で合図を送る。
「アレンだったな。立っていいぞ」
「はい」
「至急だ、案内してくれるか?」
「ええ、こちらです」
アレンさんがスッと立ち上がり、俺達をギルマスの部屋へ誘導し歩き出す頃には、ソランツェの言う事を疑っていた人達もその気持ちが無くなったみたいだ。
出来る男だなあ。
「ああ、早く行った方がいいだろうな」
城門でちゃんと手続きをし、入場料を払って中に入ってからソランツェにどうするか問う。一応、あの地震がどういう事だったかは判ったが、拡張部分がどんな事になっているかまでは判らない。経験の浅い冒険者が突っ込んでいかない様に早々にギルドや領主に知らせないと危ないかもしれないから早ければ早い方がいい。
動き出したソランツェには『アシュマルナにもまだ伝わってきてないから詳しくは判んないけど、最上の愛し子(神の子)が現れたんだから何かしら変化があるものだという(権威付け的な)理由からやったのかもねえ』という曖昧な感じに話を持って行った。ダンジョン型仕送りシステムの事も言ってないし、他にも言えない事もあるから心苦しいが、まあ、しょうがない。
用意されたダンジョン型仕送りシステムは魅力的だけど、資金稼ぎにはソランツェが今までやってた様に、魔物駆除メインの方が世界の為にはいいだろうと思うのは変わらないので、いつか必要な時に行こうかなと思うからそれまで内緒にした。
……まあ、本当はソランツェにダンジョン型仕送りシステムを教えたくないだけなんだけど。甘やかされ過ぎてて恥ずかしいから。何ていうか、娘婿の稼ぎに心配して送金しちゃうお父さん感がさあ……。アシュマルナとは違う感じに戸惑うわ。
例のアレだって、なんだそれって話だよ。娘はやらん!みたいなそんなノリだったんかよ、と。アレがなければソランツェに言わずに事が運べてソランツェはちゃんと人として死ぬ事が出来たかもしれないのに!と言いたくもなる。でもまあ、どうせアシュマルナがソランツェにバラしてたんだろうから選択肢は変わらないのは確かなんだけど、なんつーか、気持ちの置き所が微妙になるから知りたくなかったよ……。
「リヒト?」
「あ、ゴメン」
ついつい、考え込んで動きが止まってしまいソランツェを心配させてしまった。
「いや、街中だし目立たない様に転移地点に不可視結界張れるかな~とかって考えてた」
「そうか?」
咄嗟に思い付いた言い訳を言ってみるが、我ながらこれは良いんではないだろうか?いきなり人前に立つのは驚かしてしまうしな。不可視結界張るというより、俺達自体が透明になるとか……やってみるか。
「ちょっと今から俺達透明になってみようと思う」
「透明?」
「はい、手繋いでて~」
透明人間になぁ~れ~♪と指を鳴らすと自分の体が消え、目の前のソランツェも手の感覚を残し見えなくなった。
「あは、成功みたい」
「な、なんだこれは……っ」
「つーか、もう失敗する事を探す方が難しいな、うん」
ソランツェが大いに戸惑っているという反応を見る限り、透明人間なんて発想はこの世界にはないものっぽい。成功したのならば今後も使っていくので慣れてくれと思いながらさっさと転移する。
冒険者ギルドの前に到着したので、繋いだ手をそのまま引っ張って物陰に移動し、魔法を解除する。
「よし、早く行こう!」
「……いや、ああ、うん……何だか心臓に悪いな」
耳もぺたーんと寝てしまって尻尾も下がってるし、ソランツェがここまで動揺するってのは……面白いな。すまん。
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「みんな聞け、緊急事態だ!」
ギルドの中へ入ると、通常モードに立ち直ったソランツェがギルド内全体に聞こえる様に声を上げる。その声にギルド内全体がピタッと止まったのは、何て言えばいいのか適切か判らないけど”慣れている”と思う。自分の命に係わる事だったりするからだろう。
「つい先ほど、ダンジョンに異変が起こった。もし、今から行こうとしている者は一時中止した方がいい」
「本当か?」
「担ぐ気じゃねぇだろうな?」
「しばらくすれば、その時ダンジョンにいた者達も戻ってくると思うがみな同じ事を言うだろう」
あの騒動もソランツェの顔も知らないらしいパッと見強そうなベテラン冒険者な人達から次々疑う声が上がるが、ギルドの職員達はソランツェが言う事に嘘などある筈がないのは判っているし、俺の正体も嫌という程判っているので、慌ててギルマスに伝えてきます!と駆け出して行く者と疑う人達を黙らせようとしている者がいる。
何か大変そうと他人事のようにそれを見ていた俺と目が合ったアレンさんは、急いでカウンター業務を他の職員と変わり俺の元へ来てくれた。
「リヒト様、お久し振りです」
近寄って来たアレンさんは一定の距離を取って俺達の前にスッと跪きわざと大きめな声で挨拶をする。顔を下げる前にウインクされたのでその意図が判った俺やソランツェは驚きはしないが、案の定、ギルド内はアレンさんのその行動にまたピタッと止まった。疑ってきていた人達は特にどういう事だとポカンとしている。
「うん、久し振り」
俺達に注目している中でそのままの状態で受け答えし、お久し振りというほど日は空いてないけどね、と思いつつソランツェに目で合図を送る。
「アレンだったな。立っていいぞ」
「はい」
「至急だ、案内してくれるか?」
「ええ、こちらです」
アレンさんがスッと立ち上がり、俺達をギルマスの部屋へ誘導し歩き出す頃には、ソランツェの言う事を疑っていた人達もその気持ちが無くなったみたいだ。
出来る男だなあ。
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