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「いや、頼るも何もさー……」
ライアスは今回は復帰が早かったが間近に居させるのは酷だろうなと思うのでダイニングにそのまま待機させ、一応念の為ソランツェも残した上で、ぷかぷか浮いていたアシュマルナを引っ張ってリビングのソファの方に移動させる。
アシュマルナが座った後俺も反対側のソファに座ったが、対面に見えた顔がすごく機嫌良さそうなのがすっごい嫌な予感……。絶対何かありそうなんだけど。
「一応訊くけど頼ったら何してくれんの?」
『何が良い?』
「はあ?」
いきなり出て来てなんだそりゃ。頼ってくるかとって俺が『何』の事について頼ろうとするのを待ってたんだ。
「いや、……話の脈絡的に畑関連しかないんだろうけど、そもそも”頼る”って何? それが意味判んねえ」
『そのままだ』
「お前の事、カスタマーサービスっつーか、テクニカルサポート的には頼ってるなと自分で思うけど……」
そんな感じのニュアンスで言ってる訳ではないのは判る。判るからこそ訝しんでるんだが?
「そういう頼り方ってOKなのか? アレ欲しいコレ欲しいって駄目なんじゃねえの?」
『特に駄目とも何も言っておらぬと思うたが』
「あれ? そうだったか? え、じゃあ、種とか欲しいけど?」
と、流れでポロッと言った後に、こいつは何か企んでそうなんだったと思い出す。
「無し無し。やっぱり今の無し」
『ほう?』
「だって、お前の意図が判んないもん」
絶対何かあると判っていてそのまま突っ込んでいく気はないんだよ、俺は。既に可能性は一つ頭に浮かんではいて、しまったと思っているから尚更な。
『意図?』
「そう。引き換えに何かありそうとかって考えちゃうんですがー?」
そこをはっきりさせようぜと俺がじーっと睨むようにしてみても、全く意に介さずニコニコニコニコ……。
『お前が入手した作物に限って種や苗木など魔力から生み出せる様にしてやろう』
「ん?」
『勿論その個数に制限は無い。欲しいだけ生み出せる』
固定された柔和な笑みのまま勝手に滑々と話している内容は俺としては非常に魅力的なものだけど。
「……」
『どうだ?』
でも、聞きたいのはそれじゃないの判ってんだろうに面倒臭いなコイツ。
「だから、お前の要求は?って言ってんの」
はっきり言わせようともう少し突っ込んで訊いてみれば、お前こそもう判っておるだろうに、と声を出して心底楽しそうに笑い出す。俺は楽しくない。迂闊にも空きのまま後回しにしてしまった二階の部屋の存在が憎い……。
「……だってお前に必要あるか?」
『あるかと言えば無いが、あってもいいだろう』
だから欲しい、と。何でだよ。
「クソほど土地あるんだから自分で別のやつ隣にでも勝手に建てたらいいじゃねえか。いくらでも出来るだろ」
『……それでは面白くなかろう』
俺の言葉に少し拗ねた様な声と表情になったせいで、部屋が欲しい理由が面白いからとかっていうそんな理由じゃないって判っちゃっただろうが……。
「あー……そう……うん」
頼むから子離れしてくれ。俺が完全に絆される前に。
「つーか、お前ここに来てていいのかよ。また怒られるんじゃねぇの?」
『それはもう問題なくなった』
「うーん。まだ問題であって欲しかったなあ」
アシュマルナとトリラウーユ間でどんな事になったんだか……。余計な事は知りたくないから訊かないけど。
それにしても、なんで空き部屋そのままにしちゃったかなあ……。消しておけばよかったと思ったが、なければないで勝手に増築されるんだろうしなあ。
「嫌って言ったら、さっきの無しなんだろ?」
『どうかのう?』
「えー……」
種生成とかがOKっつーのは、今後……将来的に見ても非常に有用だと思うから欲しいんだけども。でもなあ、もう一声って感じ?
『植物の時も扱える様にしてやれば良いか?』
「時?」
なんだそれ。
『先刻もそうだがお前はまだ自分の力を把握しておらんな』
「ん?」
アシュマルナから俺がぶつぶつ言っていた植え付けや育て方やらは”鑑定”でさっさと調べればいいし、”時”については元々制限有りで時を操れる様になっているだろうと言われて思い出した。そうだったそうだった。魔法に慣れてきたとはいえ後から備わった力なもんで、色んな事柄の考えの先頭に魔法が立つってのがまだ多くないんだよな、俺は。”時”云々も忘れてたから植物の”時”を自分で弄れないかなんて事は考えてもなかったし。
「植えてすぐ芽出させたり一気に収穫まで時を進められるんだよな?」
『うむ』
「おぉー……」
俺が使おうと考えていた成長促進効果っぽい魔法は、実付きが良くなれとか美味しく大きく育てよって感じの成長に繋がる肥料っつーか栄養をって感じの物。それに植物の”時”を操る魔法を合わせれば高品質の物が短時間で手に入る、と。
うわ、その力欲しい。めちゃくちゃ良い、良いよ―――って、
「部屋が欲しい気持ちが本気じゃん」
絆されそう……。
ライアスは今回は復帰が早かったが間近に居させるのは酷だろうなと思うのでダイニングにそのまま待機させ、一応念の為ソランツェも残した上で、ぷかぷか浮いていたアシュマルナを引っ張ってリビングのソファの方に移動させる。
アシュマルナが座った後俺も反対側のソファに座ったが、対面に見えた顔がすごく機嫌良さそうなのがすっごい嫌な予感……。絶対何かありそうなんだけど。
「一応訊くけど頼ったら何してくれんの?」
『何が良い?』
「はあ?」
いきなり出て来てなんだそりゃ。頼ってくるかとって俺が『何』の事について頼ろうとするのを待ってたんだ。
「いや、……話の脈絡的に畑関連しかないんだろうけど、そもそも”頼る”って何? それが意味判んねえ」
『そのままだ』
「お前の事、カスタマーサービスっつーか、テクニカルサポート的には頼ってるなと自分で思うけど……」
そんな感じのニュアンスで言ってる訳ではないのは判る。判るからこそ訝しんでるんだが?
「そういう頼り方ってOKなのか? アレ欲しいコレ欲しいって駄目なんじゃねえの?」
『特に駄目とも何も言っておらぬと思うたが』
「あれ? そうだったか? え、じゃあ、種とか欲しいけど?」
と、流れでポロッと言った後に、こいつは何か企んでそうなんだったと思い出す。
「無し無し。やっぱり今の無し」
『ほう?』
「だって、お前の意図が判んないもん」
絶対何かあると判っていてそのまま突っ込んでいく気はないんだよ、俺は。既に可能性は一つ頭に浮かんではいて、しまったと思っているから尚更な。
『意図?』
「そう。引き換えに何かありそうとかって考えちゃうんですがー?」
そこをはっきりさせようぜと俺がじーっと睨むようにしてみても、全く意に介さずニコニコニコニコ……。
『お前が入手した作物に限って種や苗木など魔力から生み出せる様にしてやろう』
「ん?」
『勿論その個数に制限は無い。欲しいだけ生み出せる』
固定された柔和な笑みのまま勝手に滑々と話している内容は俺としては非常に魅力的なものだけど。
「……」
『どうだ?』
でも、聞きたいのはそれじゃないの判ってんだろうに面倒臭いなコイツ。
「だから、お前の要求は?って言ってんの」
はっきり言わせようともう少し突っ込んで訊いてみれば、お前こそもう判っておるだろうに、と声を出して心底楽しそうに笑い出す。俺は楽しくない。迂闊にも空きのまま後回しにしてしまった二階の部屋の存在が憎い……。
「……だってお前に必要あるか?」
『あるかと言えば無いが、あってもいいだろう』
だから欲しい、と。何でだよ。
「クソほど土地あるんだから自分で別のやつ隣にでも勝手に建てたらいいじゃねえか。いくらでも出来るだろ」
『……それでは面白くなかろう』
俺の言葉に少し拗ねた様な声と表情になったせいで、部屋が欲しい理由が面白いからとかっていうそんな理由じゃないって判っちゃっただろうが……。
「あー……そう……うん」
頼むから子離れしてくれ。俺が完全に絆される前に。
「つーか、お前ここに来てていいのかよ。また怒られるんじゃねぇの?」
『それはもう問題なくなった』
「うーん。まだ問題であって欲しかったなあ」
アシュマルナとトリラウーユ間でどんな事になったんだか……。余計な事は知りたくないから訊かないけど。
それにしても、なんで空き部屋そのままにしちゃったかなあ……。消しておけばよかったと思ったが、なければないで勝手に増築されるんだろうしなあ。
「嫌って言ったら、さっきの無しなんだろ?」
『どうかのう?』
「えー……」
種生成とかがOKっつーのは、今後……将来的に見ても非常に有用だと思うから欲しいんだけども。でもなあ、もう一声って感じ?
『植物の時も扱える様にしてやれば良いか?』
「時?」
なんだそれ。
『先刻もそうだがお前はまだ自分の力を把握しておらんな』
「ん?」
アシュマルナから俺がぶつぶつ言っていた植え付けや育て方やらは”鑑定”でさっさと調べればいいし、”時”については元々制限有りで時を操れる様になっているだろうと言われて思い出した。そうだったそうだった。魔法に慣れてきたとはいえ後から備わった力なもんで、色んな事柄の考えの先頭に魔法が立つってのがまだ多くないんだよな、俺は。”時”云々も忘れてたから植物の”時”を自分で弄れないかなんて事は考えてもなかったし。
「植えてすぐ芽出させたり一気に収穫まで時を進められるんだよな?」
『うむ』
「おぉー……」
俺が使おうと考えていた成長促進効果っぽい魔法は、実付きが良くなれとか美味しく大きく育てよって感じの成長に繋がる肥料っつーか栄養をって感じの物。それに植物の”時”を操る魔法を合わせれば高品質の物が短時間で手に入る、と。
うわ、その力欲しい。めちゃくちゃ良い、良いよ―――って、
「部屋が欲しい気持ちが本気じゃん」
絆されそう……。
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