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祓徐士編
第一話 怪異との出会い
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私、一ノ瀬来栖はごくごく平凡な女子高生。
現在二年生、まさに華やかな高校生ライフを謳歌してる真っ最中!
……だったはずなのに、たった今その高校生活……のみならず人生そのものが終わろうとしています。
都市伝説というものは信じないタイプだったけれど、こんなものを見てしまえば否定したくてもしきれない。
これは、私が怪異と出会い、人生が大きく変わっていく物語。
「うへぇ、疲れたァ……」
9月26日、火曜日。
私の通っている魁燐高校は明日文化祭を控えていた。
私のクラスは早い段階で出し物の小道具などもろもろの準備はほぼ終えていて、あとは教室内の装飾を仕上げるだけだったが、これがまた時間がかかるかかる。
バスケ部所属の私からしたら部活後に文化祭準備は体力的にもしんどいもののクラスメイトの一声につい首を横には振れず、あれよあれよと手伝ううちにいつもの下校時間を二時間くらい過ぎる形になってしまった。
時刻は既に二十時過ぎ。日はとっくに沈みきっていて、街灯の灯りが眩しいくらいに見えるほどだ。
男子生徒諸君も積極的に手伝ってくれたらもっと早く終わっただろうに。なんて愚痴を頭の中で何度も再生しながら、既に暗闇に包まれた帰宅路を黙々と歩く。
帰路の途中にて、必ず小さな公園を通ることになるけれど、夜になるとこれがまた不気味。
休日には親子連れで多少は賑わう活気ある印象だけど、夜の公園は人気もなければ街灯も一つだけ、気味の悪いイメージしかない。
おまけにその街灯も電気が切れかかっていて点滅している有様。さながら肝試しを強いられてる気持ちになる。
いかにも出そうな雰囲気に頭を抱えたくなるものの、さっさと帰りたい一心で公園の中へと足を運び、早々と抜けようとする。
……私はこの時初めてその存在に気づき、恐怖と同時に背筋に冷たいものを感じた。
切れかかっている街灯の真下、何やら赤いものが蹲っている。
最初は遊具か何かだと思ったものの、それが遊具ではないのがすぐにわかった。
暗くてはっきりは見えないが、赤い何かは微かに揺れながら、バキバキと鈍い音を立てている。
そして何より……大きい。人にしてはあまりに大き過ぎるように見える。
私は得体の知れない恐怖に苛まれながらも、勇気を振り絞りその街灯を極力避けるように横切ろうとする。
けれど、素通りするつもりがついそれを視界の隅に捉えてしまい、堪えられない恐怖からか引き攣った声を漏らしてしまった。
「……ひっ!?」
赤い何かは、人……じゃない、人の形をした何か。
地面に伏した状態で、獣のように何かを食べているようにみえるが、その腕は異様に長く昆虫を彷彿とさせるようにアンバランスだ。
よくみると黒い髪が艶を帯びている。おおよそ赤いワンピースを見に纏った貞子のような女性が、獣のような体勢を取っているイメージが近いだろう。
そして何より……見えてしまった。
女性の頭の付近にて、猫らしき動物が死んでいる。はっきりは見えないものの、毛並みや大きさ的にも猫と思われるが血溜まりができていて悲惨な光景を描いている。
先程のバキバキという鈍い音はおそらく、考えたくもないが骨を噛み砕いている音だろう。
本来なら逃げ出したい、一刻も早く。
けれど、私の足はたちまちに硬くなり、まるでいうことを聞いてくれなくなった。
金縛り、というやつだろうか。とにかく、その怪物を視界に捉えた時点で思考こそできてもまるで体が言うことを聞かなくなってしまった。
漏れ出てしまった引き攣った声に気づいたのか、その怪物は食事をやめてゆっくりと私の方を振り向く。
その容姿は……目を合わせるのも嫌悪したくなるほどに悍ましく、胃の中のものが逆流しそうなほどの衝撃だった。
目がない。鼻はなく二つの穴だけが開いている。口は異様に裂けていて、鋭利な牙が無数に羅列している。
間違いなく人じゃない。まさに怪物そのものだった。
「ワタ、シ……キキキ、キレイ?」
有名な都市伝説の一つとして、口裂け女が挙げられる。
けれど、明らかにイメージと異なるというかまだ口裂け女の方が人間味があるだろう。
どう見ても成人男性の比にならない巨躯……立ち上がれば三メートルはあるんじゃないかと思えるほどに。
「ワタシシシ……キレ……イィィィ?」
金縛りにより身体を支配され、身動き取れず震える私に絶え間なく尋ねる異形。言葉を発する余裕すらなく、呼吸すらも喉に詰まらせてしまうほどの逼迫感。
早く、この場から逃げたい。一刻も早く。
そう思考を巡らせてるうちに、その怪物の背中からまるで長ネギを勢いよくへし折るような鈍い音を奏でられ、ずるり……と腕がさらに二本生えてきた。
はっきり言ってこんな光景を目の当たりにしているのに気絶しないだけ奇跡だと自負してる。
「ワタシ……キレイィイィイ?」
ついに、その異形が這いずりながら私に迫ってきた。
四本の腕と脚を器用に使い、さながら虫のような動きで私目掛けて接近してくる。
口に纏わりつく獣の血が鮮やかに映えていて、近づく動機は私を捕食しようとしているのが否応にも伝わってきてしまう。
ああ、終わった。どう見ても死ぬやつだこれ。
死ぬなら死ぬで少しでも恐怖から逃れたくて、そっと目を閉じようとした。
その時だった。
「わぁぁ、口裂け女ってほんとにいるんだねぇ」
ふと、私の鼓膜を優しげな声が叩く。
その声に反応するように、目前に迫る怪物がぴたりと動きを止めて、その声の主の元へと顔を向ける。
白いオーバーサイズのパーカーを見に纏った高校生くらいの銀髪の男子が、興味深そうにマックのドリンク片手にこちらを見ている。もう片手にはマックの紙袋まで携えていて、いかにも買い物帰りな雰囲気だ。
いや、それよりも……目の前のこの怪物を見てもこの反応の薄さは一体なんなのだろうか、と思うほどにリアクションが淡白で、感心した様子を見せながらもドリンクを飲んでいる。さながら見世物を閲覧しているようだ。
「オマ……オマェ……ナンデ……コ、ココニィ」
怪物が、明らかに恐怖を覚えたようで後退りを始める。
その様子を見ている男子も、首を傾けては不思議そうな様子で受け答えをする。
「え、ダメ?買い物しただけだけど。あ、ポテト少し食べる?猫よりは美味しいと思うよ?」
何やらその場にしゃがみ込んだかと思えば、紙袋をガサガサと漁ってポテトを二本ほど手に取るとまるでペットにあげるような感覚で口の近くへと差し出し始めた。
「ア、アアアアララガミィィィ!!」
怪物が大声で絶叫したかと思えば、彼からの差し入れを拒絶するように避けては物凄い速さで公園内から逃げ去ってしまった。まるでさながら巨大な蜘蛛の逃亡のような光景だった。
何が何だかわからず呆然としてる私と、なんで食べてくれなかったのかと呆然とする彼。そして、何やら結論がついたらしく急に腑に落ちた様子で語る。
「あ、ケチャップつけないと好きじゃない的な?」
「いや、そういう問題!??」
彼のずれまくった意見につい勢いよく突っ込んでしまうも、この時既に声も出せて身体もいうことを聞くようになっていることにようやく気がついた。
「あ、あの……あなたは一体……あの怪物は……」
正直なところ情報が全く処理できていない。あの怪物がなんなのか、この男子は一体何者なのか。そしてなぜあの怪物は彼を異様に恐れていたのか。
私の質問を聞くなり退屈そうな様子でポテトを口に運び、もしゃもしゃと口を動かしながら言葉を端的に紡いでいく。
「僕は荒噛、通りすがりの祓徐士だよ。それより君……」
ポテトを嚥下すると同時にドリンクを口に運び、喉を鳴らし一飲み終えたと同時にこちらへ視線を運んでは荒噛と名乗る人物が語る。
「君、すっっっごいのが憑いてるね。どっから拾ったのかわかんないけど、歪神かも」
現在二年生、まさに華やかな高校生ライフを謳歌してる真っ最中!
……だったはずなのに、たった今その高校生活……のみならず人生そのものが終わろうとしています。
都市伝説というものは信じないタイプだったけれど、こんなものを見てしまえば否定したくてもしきれない。
これは、私が怪異と出会い、人生が大きく変わっていく物語。
「うへぇ、疲れたァ……」
9月26日、火曜日。
私の通っている魁燐高校は明日文化祭を控えていた。
私のクラスは早い段階で出し物の小道具などもろもろの準備はほぼ終えていて、あとは教室内の装飾を仕上げるだけだったが、これがまた時間がかかるかかる。
バスケ部所属の私からしたら部活後に文化祭準備は体力的にもしんどいもののクラスメイトの一声につい首を横には振れず、あれよあれよと手伝ううちにいつもの下校時間を二時間くらい過ぎる形になってしまった。
時刻は既に二十時過ぎ。日はとっくに沈みきっていて、街灯の灯りが眩しいくらいに見えるほどだ。
男子生徒諸君も積極的に手伝ってくれたらもっと早く終わっただろうに。なんて愚痴を頭の中で何度も再生しながら、既に暗闇に包まれた帰宅路を黙々と歩く。
帰路の途中にて、必ず小さな公園を通ることになるけれど、夜になるとこれがまた不気味。
休日には親子連れで多少は賑わう活気ある印象だけど、夜の公園は人気もなければ街灯も一つだけ、気味の悪いイメージしかない。
おまけにその街灯も電気が切れかかっていて点滅している有様。さながら肝試しを強いられてる気持ちになる。
いかにも出そうな雰囲気に頭を抱えたくなるものの、さっさと帰りたい一心で公園の中へと足を運び、早々と抜けようとする。
……私はこの時初めてその存在に気づき、恐怖と同時に背筋に冷たいものを感じた。
切れかかっている街灯の真下、何やら赤いものが蹲っている。
最初は遊具か何かだと思ったものの、それが遊具ではないのがすぐにわかった。
暗くてはっきりは見えないが、赤い何かは微かに揺れながら、バキバキと鈍い音を立てている。
そして何より……大きい。人にしてはあまりに大き過ぎるように見える。
私は得体の知れない恐怖に苛まれながらも、勇気を振り絞りその街灯を極力避けるように横切ろうとする。
けれど、素通りするつもりがついそれを視界の隅に捉えてしまい、堪えられない恐怖からか引き攣った声を漏らしてしまった。
「……ひっ!?」
赤い何かは、人……じゃない、人の形をした何か。
地面に伏した状態で、獣のように何かを食べているようにみえるが、その腕は異様に長く昆虫を彷彿とさせるようにアンバランスだ。
よくみると黒い髪が艶を帯びている。おおよそ赤いワンピースを見に纏った貞子のような女性が、獣のような体勢を取っているイメージが近いだろう。
そして何より……見えてしまった。
女性の頭の付近にて、猫らしき動物が死んでいる。はっきりは見えないものの、毛並みや大きさ的にも猫と思われるが血溜まりができていて悲惨な光景を描いている。
先程のバキバキという鈍い音はおそらく、考えたくもないが骨を噛み砕いている音だろう。
本来なら逃げ出したい、一刻も早く。
けれど、私の足はたちまちに硬くなり、まるでいうことを聞いてくれなくなった。
金縛り、というやつだろうか。とにかく、その怪物を視界に捉えた時点で思考こそできてもまるで体が言うことを聞かなくなってしまった。
漏れ出てしまった引き攣った声に気づいたのか、その怪物は食事をやめてゆっくりと私の方を振り向く。
その容姿は……目を合わせるのも嫌悪したくなるほどに悍ましく、胃の中のものが逆流しそうなほどの衝撃だった。
目がない。鼻はなく二つの穴だけが開いている。口は異様に裂けていて、鋭利な牙が無数に羅列している。
間違いなく人じゃない。まさに怪物そのものだった。
「ワタ、シ……キキキ、キレイ?」
有名な都市伝説の一つとして、口裂け女が挙げられる。
けれど、明らかにイメージと異なるというかまだ口裂け女の方が人間味があるだろう。
どう見ても成人男性の比にならない巨躯……立ち上がれば三メートルはあるんじゃないかと思えるほどに。
「ワタシシシ……キレ……イィィィ?」
金縛りにより身体を支配され、身動き取れず震える私に絶え間なく尋ねる異形。言葉を発する余裕すらなく、呼吸すらも喉に詰まらせてしまうほどの逼迫感。
早く、この場から逃げたい。一刻も早く。
そう思考を巡らせてるうちに、その怪物の背中からまるで長ネギを勢いよくへし折るような鈍い音を奏でられ、ずるり……と腕がさらに二本生えてきた。
はっきり言ってこんな光景を目の当たりにしているのに気絶しないだけ奇跡だと自負してる。
「ワタシ……キレイィイィイ?」
ついに、その異形が這いずりながら私に迫ってきた。
四本の腕と脚を器用に使い、さながら虫のような動きで私目掛けて接近してくる。
口に纏わりつく獣の血が鮮やかに映えていて、近づく動機は私を捕食しようとしているのが否応にも伝わってきてしまう。
ああ、終わった。どう見ても死ぬやつだこれ。
死ぬなら死ぬで少しでも恐怖から逃れたくて、そっと目を閉じようとした。
その時だった。
「わぁぁ、口裂け女ってほんとにいるんだねぇ」
ふと、私の鼓膜を優しげな声が叩く。
その声に反応するように、目前に迫る怪物がぴたりと動きを止めて、その声の主の元へと顔を向ける。
白いオーバーサイズのパーカーを見に纏った高校生くらいの銀髪の男子が、興味深そうにマックのドリンク片手にこちらを見ている。もう片手にはマックの紙袋まで携えていて、いかにも買い物帰りな雰囲気だ。
いや、それよりも……目の前のこの怪物を見てもこの反応の薄さは一体なんなのだろうか、と思うほどにリアクションが淡白で、感心した様子を見せながらもドリンクを飲んでいる。さながら見世物を閲覧しているようだ。
「オマ……オマェ……ナンデ……コ、ココニィ」
怪物が、明らかに恐怖を覚えたようで後退りを始める。
その様子を見ている男子も、首を傾けては不思議そうな様子で受け答えをする。
「え、ダメ?買い物しただけだけど。あ、ポテト少し食べる?猫よりは美味しいと思うよ?」
何やらその場にしゃがみ込んだかと思えば、紙袋をガサガサと漁ってポテトを二本ほど手に取るとまるでペットにあげるような感覚で口の近くへと差し出し始めた。
「ア、アアアアララガミィィィ!!」
怪物が大声で絶叫したかと思えば、彼からの差し入れを拒絶するように避けては物凄い速さで公園内から逃げ去ってしまった。まるでさながら巨大な蜘蛛の逃亡のような光景だった。
何が何だかわからず呆然としてる私と、なんで食べてくれなかったのかと呆然とする彼。そして、何やら結論がついたらしく急に腑に落ちた様子で語る。
「あ、ケチャップつけないと好きじゃない的な?」
「いや、そういう問題!??」
彼のずれまくった意見につい勢いよく突っ込んでしまうも、この時既に声も出せて身体もいうことを聞くようになっていることにようやく気がついた。
「あ、あの……あなたは一体……あの怪物は……」
正直なところ情報が全く処理できていない。あの怪物がなんなのか、この男子は一体何者なのか。そしてなぜあの怪物は彼を異様に恐れていたのか。
私の質問を聞くなり退屈そうな様子でポテトを口に運び、もしゃもしゃと口を動かしながら言葉を端的に紡いでいく。
「僕は荒噛、通りすがりの祓徐士だよ。それより君……」
ポテトを嚥下すると同時にドリンクを口に運び、喉を鳴らし一飲み終えたと同時にこちらへ視線を運んでは荒噛と名乗る人物が語る。
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