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第七話 目が覚めて(最終話)
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昼に目が覚めて、考え事をしている間にすぐ夜が来た。
私はいつもより早く一階に降りた。リビングには明かりがついていた。
「エナ…?」
リビングに顔を出すとすぐに父親が気付いた。
「…体調は大丈夫なのか?しばらく顔を合わせないうちに随分と痩せてしまったんじゃないか?」
私は小さく「そうかな」とだけ答えるとすぐに母親がやってきた。
「エナ!たまには一緒にあったかいをご飯食べなさい」
「うん」
その日はカレイの煮付けを家族で食べた。魚はそんなに好きじゃなかったけど、みんなで食べる温かいご飯は美味しかった。
会話も少なくすぐに食べ終わると、「じゃあ私、シャワー浴びてもう寝るね。ごちそうさま」と、私はそそくさとリビングを出た。
シャワーを浴び、部屋に戻る。今日が最後の夜で、夢から目覚めなかったらどうしようと膝を抱えた。家族との会話もあんなに素っ気ないもので良かったのだろうかと思い悩んだ。夢の中ではない私は大抵弱気なものだった。
私は滅多にやらないストレッチをしてからベッドの中に入った。眠れなかったらどうしよう、と不安がよぎったがすぐに大あくびが出た。そして私は安心して深呼吸をくり返した。
気がつくと私は満点の星空を見上げていた。
「レイは元気かな…」
夜の草原を滑るように進む小舟。緊張からか私の心拍数も舟のスピードも上がる。夜風が冷たい。白いワンピースのポケットには銀色のライターの感触がしっかりとある。私は草原を滑る流れ星のようだった。そのスピードに木々たちが驚いたように大きくそよいだ。
舟から降りた私は勢いよく葉巻屋のドアを開けた。
「あら、エナさん。こんばんは。」
いつものように金髪の女性がすぐに迎え入れてくれた。しかし、レイの姿が見当たらない。
「…レイはどこですか?」
「レイなら椅子の上で眠っているわよ。なんだか椅子を三つも使っちゃってて」
私がカウンターの椅子に近寄って覗き見ると、レイは半透明の状態で三つの椅子の上で体を折りたたんで眠っていた。
私が彼のそばにあるランタンに火を灯そうとしてライターを擦るが、何度やっても火が付かなかった。
「あら、オイル切れね。こっちに来て。入れてあげる。あとはランタンにも。今日は遠くに出かける日でしょう?ずっと前からレイが言ってたの」
金髪の女性はライターとランタンにオイルを補充してくれた。
「…いつもありがとうございます」
「とんでもないわ。レイをよろしくお願いします」
「あの…」
背を向けそうになる彼女を私は呼び止めた。すると微笑みながら長い髪の毛を耳にかけながら彼女は私を覗き込んできた。
「どうしたの?」
「あの…レイは貴女にとってどんな存在なのでしょうか……いえ、そんな変な意味じゃなくって…」
私の言葉に彼女は上品に笑った。そしてこう答えた。
「レイのことは可愛いと思っているの。そして私は貴女のことも可愛いと思っているのよ」
私は自分の耳や頬が熱くなるのを感じた。それと同時にこの人には敵わないと思った。すぐに自分の質問がすごくくだらないものに思えて、少し笑ってしまった。
私はライターを擦ってランタンに火を灯した。するとレイの姿がしっかりと浮かび上がる。
「レイ、起きられそう?」
「…エナ?」
「そうだよ」
すると、レイはゆっくりと起き上がった。
「…あーー、もうちょっとでレモンケーキ四つめ完食するところだったのになぁ!」
そう言うと彼は大きく伸びをした。そして彼は高らかに指を鳴らした。
「さぁ、“夢食いネズミ”たちを舟に運ぼう。エナ、ランタンを消して」
私は元気に振る舞う彼を見て「うん」とだけ呟いて炎を消した。
暗闇に放り出された私はレイとネズミたちのことをイメージした。井戸の底にゆっくりと落下していく感覚。白いワンピースがはためく。そしてそのまま小舟の上へと私は願った。
気がつくと私はランタンを持ったまま呆然と小舟の上に座っていた。足元には半透明のまま眠っているレイ。そして小さな木箱もあった。
私はランタンに火を灯した。
「…レイ、無事?」
「うん、大丈夫。ネズミたちも無事に積めたみたい」
レイは小さな木箱を指差した。
「これは何?」
「その箱にネズミたち全員詰め込めたよ」
レイは小さな鍵を摘んで私に見せると、彼の腰に下げてあるたくさんの鍵たちの中に紛れ込ませた。
「じゃあ、悪い枕が使用されている住宅の近くから攻めよう」
レイがそう言うと「わかった」と返事をして舟を出した。
「僕が夢と現実の間まで舟を誘導するから、エナはまたランタンを消して」
「うん」
私は再び炎を消した。そして暗闇に落ち、気づくとまた半透明のレイと舟の上にいる。そしてまた火を灯す。
目覚めたレイは小箱の鍵を開け、ネズミを二十匹ずつ舟の外に放った。誰もが寝静まった住宅街。知らない街並み。しかし、それをくり返すたびに夢なのか現実なのかわからなくなってきた。これが夢と現実の間なのだろうかと、私は思った。
すると「そういえば」と、レイが話を切り出した。
「君が使ってるライターを手にしたのは、あの葉巻屋だったよ。吸ったこともない葉巻を吸おうとしたら火がなくてね。ちょうど隣の席にいて、ライターを貸してくれた人が一番最初に出会った名前のある人だった」
「そうだったんだ。これって大事なライターなんだね。」
「そうだね…。それまで同じ夢を見ている他の人と鉢合うなんて、考えたこともなかったよ」
レイは一呼吸置くと、すぐこう指示した。
「さぁ、エナはまたランタンを消して」
「うん、わかった」
私は炎を吹き消した。そして再び暗闇に落ち、気づくとまた体が透けている状態のレイと舟の上にいた。そして銀色のライターで火を灯す。
すぐに目覚めたレイは小箱の鍵を開け、ネズミを放った。
何度も何度も知らない街に行っては放った。ネズミを放つ前にレイはリーダーのネズミを抱えて「頼んだぞ」と頬擦りをした。
私たちはそれを幾度もくり返した。炎が消え、暗闇に落とされるたびにレイの姿が見えなくなるので胸がざわついた。
「レイ、あとどれくらい移動を続ければいいの?」
「…あと五十件」
「わかった」
しかし次第にレイの様子がおかしくなっていることに私は気付いた。
彼は顔色が青白く、額に汗を滲ませていた。
「レイ、どうしたの大丈夫?顔色が良くないよ」
「大丈夫、あと十件だ…」
「…少し休む?」
「大丈夫、大丈夫だから…夜が明ける前に…急ごう」
病院のあるビル街まで出ると、急に雨が降り出した。舟には雨を防ぐものがなく、私とレイはずぶ濡れになりながらその場にネズミたちを放った。
「…レイ、本当に大丈夫?」
幾度も強制的に意識を失ったり目覚めたりを短時間でくり返すのは、彼にとって酷なことかもしれない。
隣を見るとレイは体を震わせていて、呼吸も乱れているようだった。私はすぐに彼の背中に手をやった。
「…大丈夫?熱があるんじゃない?体が熱いよ!?」
「次に行こう…もう少しなんだ、あと二件…」
「でも……」
レイは虚ろな目で一点を見つめながら肩で息をしていた。彼の前髪からはたくさんの雨の滴が垂れ落ちる。しかし、私の視線に気づくと彼はすぐに親指を立てて苦笑した。
私は震える手でランタンを持ち、炎を吹き消した。次に気が付くとレイの姿が見当たらなかった。
「レイ!?どこに行ったの!」
私は雨を手で避けながらライターでランタンに火を灯した。
「…レイ!どこ!?」
「大丈夫、君の隣だよ…」
声のする方に振り返ると、ランタンの炎がついているにも関わらず、レイの体が半透明になっていた。
「レイ…なんだかおかしいよ!もういいよ、戻ろう…」
と私が言うと、レイは俯きながら、
「次で最後の場所、だから一緒に行こう…お願い」と、呟いた。
次に気がついたら知らない川の上に小舟が浮かんでいた。
ランタンの炎を付けたが、彼の体力は限界を迎えているようだった。レイの姿が点滅するように消えたり半透明になったりしている。
「…しっかりして!ここで最後なんでしょ!?」
しかし、彼の返事はなかった。
「…レイ!早く帰ろう!」
最後の場所はドリーム・オフの本社の工場の付近だった。
私は舟底に落ちている小箱の鍵を取って箱を開けた。そこにはネズミが百匹以上入っていた。私はたくさんのネズミを片っ端から掴んで工場に向けて放った。
「しっかりして!!…レイ!」
声をかけるのも虚しく、とうとうレイの姿は見えなくなってしまった。
私は一気に血の気が引き、不安に陥った。呼吸の回数が増え、涙が溢れ出た。
しかし、それでも私は泣きじゃくりながらネズミを放ち続けた。雨と涙で視界が滲む。私が泣けば泣くほど雨は激しくなり、舟底にはもうすでにたくさんの水が溜まっていて、濡れたワンピースと共に両脚の動きを阻んだ。
最後のネズミを手にしたら、レイの可愛がっていたチャイだった。そして思わず私はチャイを抱き寄せた。
「みんなを頼んだよ…」
私はチャイに頬擦りをして工場に向けて放った。チャイは振り返りもせず、真っ直ぐ工場に向かって走っていった。
「早く、早く帰らなきゃ…」
その瞬間、舟底が抜けて片足が川へ落ちた。私は急いで舟から転げ落ちそうになるランタンを掴み取り、抱きしめた。
私がレイの名前を叫んだら、舟は完全に壊れてしまった。
そして私は穴の空いた舟底から川へ落ち、私の体はランタンと共に冷たい水の底へ沈んでいった。
私はいつもより早く一階に降りた。リビングには明かりがついていた。
「エナ…?」
リビングに顔を出すとすぐに父親が気付いた。
「…体調は大丈夫なのか?しばらく顔を合わせないうちに随分と痩せてしまったんじゃないか?」
私は小さく「そうかな」とだけ答えるとすぐに母親がやってきた。
「エナ!たまには一緒にあったかいをご飯食べなさい」
「うん」
その日はカレイの煮付けを家族で食べた。魚はそんなに好きじゃなかったけど、みんなで食べる温かいご飯は美味しかった。
会話も少なくすぐに食べ終わると、「じゃあ私、シャワー浴びてもう寝るね。ごちそうさま」と、私はそそくさとリビングを出た。
シャワーを浴び、部屋に戻る。今日が最後の夜で、夢から目覚めなかったらどうしようと膝を抱えた。家族との会話もあんなに素っ気ないもので良かったのだろうかと思い悩んだ。夢の中ではない私は大抵弱気なものだった。
私は滅多にやらないストレッチをしてからベッドの中に入った。眠れなかったらどうしよう、と不安がよぎったがすぐに大あくびが出た。そして私は安心して深呼吸をくり返した。
気がつくと私は満点の星空を見上げていた。
「レイは元気かな…」
夜の草原を滑るように進む小舟。緊張からか私の心拍数も舟のスピードも上がる。夜風が冷たい。白いワンピースのポケットには銀色のライターの感触がしっかりとある。私は草原を滑る流れ星のようだった。そのスピードに木々たちが驚いたように大きくそよいだ。
舟から降りた私は勢いよく葉巻屋のドアを開けた。
「あら、エナさん。こんばんは。」
いつものように金髪の女性がすぐに迎え入れてくれた。しかし、レイの姿が見当たらない。
「…レイはどこですか?」
「レイなら椅子の上で眠っているわよ。なんだか椅子を三つも使っちゃってて」
私がカウンターの椅子に近寄って覗き見ると、レイは半透明の状態で三つの椅子の上で体を折りたたんで眠っていた。
私が彼のそばにあるランタンに火を灯そうとしてライターを擦るが、何度やっても火が付かなかった。
「あら、オイル切れね。こっちに来て。入れてあげる。あとはランタンにも。今日は遠くに出かける日でしょう?ずっと前からレイが言ってたの」
金髪の女性はライターとランタンにオイルを補充してくれた。
「…いつもありがとうございます」
「とんでもないわ。レイをよろしくお願いします」
「あの…」
背を向けそうになる彼女を私は呼び止めた。すると微笑みながら長い髪の毛を耳にかけながら彼女は私を覗き込んできた。
「どうしたの?」
「あの…レイは貴女にとってどんな存在なのでしょうか……いえ、そんな変な意味じゃなくって…」
私の言葉に彼女は上品に笑った。そしてこう答えた。
「レイのことは可愛いと思っているの。そして私は貴女のことも可愛いと思っているのよ」
私は自分の耳や頬が熱くなるのを感じた。それと同時にこの人には敵わないと思った。すぐに自分の質問がすごくくだらないものに思えて、少し笑ってしまった。
私はライターを擦ってランタンに火を灯した。するとレイの姿がしっかりと浮かび上がる。
「レイ、起きられそう?」
「…エナ?」
「そうだよ」
すると、レイはゆっくりと起き上がった。
「…あーー、もうちょっとでレモンケーキ四つめ完食するところだったのになぁ!」
そう言うと彼は大きく伸びをした。そして彼は高らかに指を鳴らした。
「さぁ、“夢食いネズミ”たちを舟に運ぼう。エナ、ランタンを消して」
私は元気に振る舞う彼を見て「うん」とだけ呟いて炎を消した。
暗闇に放り出された私はレイとネズミたちのことをイメージした。井戸の底にゆっくりと落下していく感覚。白いワンピースがはためく。そしてそのまま小舟の上へと私は願った。
気がつくと私はランタンを持ったまま呆然と小舟の上に座っていた。足元には半透明のまま眠っているレイ。そして小さな木箱もあった。
私はランタンに火を灯した。
「…レイ、無事?」
「うん、大丈夫。ネズミたちも無事に積めたみたい」
レイは小さな木箱を指差した。
「これは何?」
「その箱にネズミたち全員詰め込めたよ」
レイは小さな鍵を摘んで私に見せると、彼の腰に下げてあるたくさんの鍵たちの中に紛れ込ませた。
「じゃあ、悪い枕が使用されている住宅の近くから攻めよう」
レイがそう言うと「わかった」と返事をして舟を出した。
「僕が夢と現実の間まで舟を誘導するから、エナはまたランタンを消して」
「うん」
私は再び炎を消した。そして暗闇に落ち、気づくとまた半透明のレイと舟の上にいる。そしてまた火を灯す。
目覚めたレイは小箱の鍵を開け、ネズミを二十匹ずつ舟の外に放った。誰もが寝静まった住宅街。知らない街並み。しかし、それをくり返すたびに夢なのか現実なのかわからなくなってきた。これが夢と現実の間なのだろうかと、私は思った。
すると「そういえば」と、レイが話を切り出した。
「君が使ってるライターを手にしたのは、あの葉巻屋だったよ。吸ったこともない葉巻を吸おうとしたら火がなくてね。ちょうど隣の席にいて、ライターを貸してくれた人が一番最初に出会った名前のある人だった」
「そうだったんだ。これって大事なライターなんだね。」
「そうだね…。それまで同じ夢を見ている他の人と鉢合うなんて、考えたこともなかったよ」
レイは一呼吸置くと、すぐこう指示した。
「さぁ、エナはまたランタンを消して」
「うん、わかった」
私は炎を吹き消した。そして再び暗闇に落ち、気づくとまた体が透けている状態のレイと舟の上にいた。そして銀色のライターで火を灯す。
すぐに目覚めたレイは小箱の鍵を開け、ネズミを放った。
何度も何度も知らない街に行っては放った。ネズミを放つ前にレイはリーダーのネズミを抱えて「頼んだぞ」と頬擦りをした。
私たちはそれを幾度もくり返した。炎が消え、暗闇に落とされるたびにレイの姿が見えなくなるので胸がざわついた。
「レイ、あとどれくらい移動を続ければいいの?」
「…あと五十件」
「わかった」
しかし次第にレイの様子がおかしくなっていることに私は気付いた。
彼は顔色が青白く、額に汗を滲ませていた。
「レイ、どうしたの大丈夫?顔色が良くないよ」
「大丈夫、あと十件だ…」
「…少し休む?」
「大丈夫、大丈夫だから…夜が明ける前に…急ごう」
病院のあるビル街まで出ると、急に雨が降り出した。舟には雨を防ぐものがなく、私とレイはずぶ濡れになりながらその場にネズミたちを放った。
「…レイ、本当に大丈夫?」
幾度も強制的に意識を失ったり目覚めたりを短時間でくり返すのは、彼にとって酷なことかもしれない。
隣を見るとレイは体を震わせていて、呼吸も乱れているようだった。私はすぐに彼の背中に手をやった。
「…大丈夫?熱があるんじゃない?体が熱いよ!?」
「次に行こう…もう少しなんだ、あと二件…」
「でも……」
レイは虚ろな目で一点を見つめながら肩で息をしていた。彼の前髪からはたくさんの雨の滴が垂れ落ちる。しかし、私の視線に気づくと彼はすぐに親指を立てて苦笑した。
私は震える手でランタンを持ち、炎を吹き消した。次に気が付くとレイの姿が見当たらなかった。
「レイ!?どこに行ったの!」
私は雨を手で避けながらライターでランタンに火を灯した。
「…レイ!どこ!?」
「大丈夫、君の隣だよ…」
声のする方に振り返ると、ランタンの炎がついているにも関わらず、レイの体が半透明になっていた。
「レイ…なんだかおかしいよ!もういいよ、戻ろう…」
と私が言うと、レイは俯きながら、
「次で最後の場所、だから一緒に行こう…お願い」と、呟いた。
次に気がついたら知らない川の上に小舟が浮かんでいた。
ランタンの炎を付けたが、彼の体力は限界を迎えているようだった。レイの姿が点滅するように消えたり半透明になったりしている。
「…しっかりして!ここで最後なんでしょ!?」
しかし、彼の返事はなかった。
「…レイ!早く帰ろう!」
最後の場所はドリーム・オフの本社の工場の付近だった。
私は舟底に落ちている小箱の鍵を取って箱を開けた。そこにはネズミが百匹以上入っていた。私はたくさんのネズミを片っ端から掴んで工場に向けて放った。
「しっかりして!!…レイ!」
声をかけるのも虚しく、とうとうレイの姿は見えなくなってしまった。
私は一気に血の気が引き、不安に陥った。呼吸の回数が増え、涙が溢れ出た。
しかし、それでも私は泣きじゃくりながらネズミを放ち続けた。雨と涙で視界が滲む。私が泣けば泣くほど雨は激しくなり、舟底にはもうすでにたくさんの水が溜まっていて、濡れたワンピースと共に両脚の動きを阻んだ。
最後のネズミを手にしたら、レイの可愛がっていたチャイだった。そして思わず私はチャイを抱き寄せた。
「みんなを頼んだよ…」
私はチャイに頬擦りをして工場に向けて放った。チャイは振り返りもせず、真っ直ぐ工場に向かって走っていった。
「早く、早く帰らなきゃ…」
その瞬間、舟底が抜けて片足が川へ落ちた。私は急いで舟から転げ落ちそうになるランタンを掴み取り、抱きしめた。
私がレイの名前を叫んだら、舟は完全に壊れてしまった。
そして私は穴の空いた舟底から川へ落ち、私の体はランタンと共に冷たい水の底へ沈んでいった。
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