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望とアズサ ゆるふわ可愛い系女子×真面目で賢い美人系女子

* 知恵の輪10個解くまで出れない部屋

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「次はなんだろ?」
「次は……あら、私の得意分野だ」
 今回のお題は知恵の輪10個を解くこと。これは私の出番はなさそうだ。
「知恵の輪は……これか。なんだ、定番のじゃないか。これはすぐ解けるよ」
 アズサは一つ手に取るとまるで元から絡まっていなかったかのように解いてしまった。
「え、はやくない?」
「こんなものだよ」
 アズサは知恵の輪をするすると絡めて、まあ解いた。
「まあ。暇だろうから、一つ面白いゲームの話をするよ」
 アズサのお話はいつも面白い。さて、今回はどんな話をしてくれるのだろうか。
「人間知恵の輪って知ってる?」
「なに? それ」
 アズサは詳しく話してくれた。
「まず、右手をグーに左手をパーにするの」
 とりあえずやってみる。アズサは話しつつも知恵の輪を解いている。
「そして、パーで誰かのグーを掴んでね。それで知恵の輪みたいに解いていくの」
 自分の右手を左手で掴んでから思う。
「これ、一人でする遊びじゃないね」
「うん。何してるんだろうと思ってたけど、一人でやってたのね」
 アズサの視線がグサグサ刺さって痛い。
 やめて! そんな目で見ないで!
「ここを出たら、もっと人誘ってやろうね」
 アズサが最後の知恵の輪を床に放った。もちろん解けている。
「ここ、出れるかな?」
「大丈夫。私が出してあげる。だから大丈夫だよ、望」
 確かにそうだ。アズサに不可能はないと言っても過言ではない。きっとなんとかなる。私はアズサの手を掴む。
「次の部屋いく?」
「行こうか」
 私たちは知恵の輪の部屋を後にした。
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