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1章
信じること
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抱き上げられていた私は、馬車内で殿下とグレイエによってグレイエに膝枕される形で寝かされたようだった。座席は長くて幅広だから安心安心!じゃないでちゅよ??嫌いな人間を膝枕するなんて最悪に決まってるんだろうよ!ごめんよグレイエ!でも私がその光景を見えていないのが唯一の救いです。そもそも今日の出来事的にグレイエと顔を合わすのすら気まずいなって思っていたのに。膝枕なんて気まずいどころの騒ぎではないがとりあえず金縛り状態どうにかしなければ…いや何もできないけど。
私を無事座席に寝かすことができたので殿下はグレイエと話をしようとしていた。一方で私は眉間に皺をよせることすらできない。話すことなんてしなくていいんだよ!腹黒王子!!と内心悪態を吐きながらも聞いていた。
最初こそグレイエは、戸惑っていたが殿下とはクラブでもよく話す間柄だったようですぐ話をしだした。
「今日はごめんね。急に巻き込んでしまって」
「いえ、俺は何もしていなので。謝るなら義姉に」
「ふーんそうか」何やら嫌な予感がした。これが目的だったはずじゃなかったのか。まるでこれから面白いことをしようとしているような黒い笑みが見えていないのに見えた気がした。
「そういえば僕が聞くことではないんだけど、グレイエ君ってリリーナ嬢が公爵家の跡継ぎになったらどうするつもりなの?」
「それは、つまり選ばれなかった場合のことですか?」
「うん。それもあるし、途中で辞退した場合とかもね」
「今はそのことについては考えていません」
グレイエの声には少し怒りが含まれているようだった。
「決まるまでは他人には話さないよね。でもね絶望的なんだリリーナ嬢を僕が選ぶ確率は」
「それを俺に言いますか」黙って聞いていらばなんてことを…グレイエ正論だ!義弟になんてことを言うんだよ!?お前の姉選ぶ確率ほぼゼロだよって普通は言わないでしょ!?
「うん!君の為だよ」
「俺が跡継ぎじゃなくなる可能性が高いから他の道を考えておけって言う助言ですか…」
「まぁそれもあるけど。助言よりも提案かな?」
「提案ですか?」
「リリーナ嬢を婚約候補から除外する僕の計画に協力してくれるなら、根回しをして君がモンスルト家の正式な後継者にすることを約束するよ」
「そんなことができるわけがないじゃないですか」
「いや、方法はいくつかあるよ。例えば、リリーナ嬢をこのままにしていても多分問題を沢山起こしてくれそうだからそれを理由に今後身分剥奪とか、国内では公爵家の娘に見合う嫁ぎ先は狭まってくるから難しいけど、隣国との仲を取り持つ為として隣国に嫁がせるとか」
「そんなこと…」声が震えているのがわかる。私の頭を固定するために添えられた手からは微量の熱気を感じた。
「この際考えてみない?」悪魔の囁きとはこのことだった。彼は確かにこの国の一番の権力者になるお方だし、グレイエを公爵家の後継者にする支援ができるのはわかってはいたがその方法はいずれ国を滅ぼす行為に繫がることも私は知っていた。
「でも俺は、こいつの努力や頑張りを…今までもこれからも信じたいから考えません」
「他のだれでもない僕が提案しているんだよ?リリーナ嬢を選ぶことは…」
「誰もこいつを信じなくても俺だけは信じたいんです」
私を無事座席に寝かすことができたので殿下はグレイエと話をしようとしていた。一方で私は眉間に皺をよせることすらできない。話すことなんてしなくていいんだよ!腹黒王子!!と内心悪態を吐きながらも聞いていた。
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「まぁそれもあるけど。助言よりも提案かな?」
「提案ですか?」
「リリーナ嬢を婚約候補から除外する僕の計画に協力してくれるなら、根回しをして君がモンスルト家の正式な後継者にすることを約束するよ」
「そんなことができるわけがないじゃないですか」
「いや、方法はいくつかあるよ。例えば、リリーナ嬢をこのままにしていても多分問題を沢山起こしてくれそうだからそれを理由に今後身分剥奪とか、国内では公爵家の娘に見合う嫁ぎ先は狭まってくるから難しいけど、隣国との仲を取り持つ為として隣国に嫁がせるとか」
「そんなこと…」声が震えているのがわかる。私の頭を固定するために添えられた手からは微量の熱気を感じた。
「この際考えてみない?」悪魔の囁きとはこのことだった。彼は確かにこの国の一番の権力者になるお方だし、グレイエを公爵家の後継者にする支援ができるのはわかってはいたがその方法はいずれ国を滅ぼす行為に繫がることも私は知っていた。
「でも俺は、こいつの努力や頑張りを…今までもこれからも信じたいから考えません」
「他のだれでもない僕が提案しているんだよ?リリーナ嬢を選ぶことは…」
「誰もこいつを信じなくても俺だけは信じたいんです」
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