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お付き合い宣言
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カーテンの隙間から微かに朝の日差しが差し込む。拝啓。過去の俺へーー元気ですか??昨日は人生初めての彼氏ができたよ。
***
う~ん...と唸りながら伸びしていると、誰かに見られているような視線を感じた。ちらりと横を見ると蓮君が肩肘を付きながら、こちらをじっと見つめていた。
まさか、ずっと俺の寝顔でも見ていたのだろうか...。
「おはようございます!葵さん!!よく寝れましたか??」
朝から摂取するには刺激の強い眩しい笑顔が、寝ぼけた俺に突き刺さった。寝起きでもイケメンはイケメンなんだな......。世知辛い世の中だ。
「...おはよ、うん寝れたよ。蓮君は??」
「俺も寝れました。誰かとくっついて寝ると安心しますね。」
「ほんとに、そうだね」
結局、俺と蓮君はあのまま一緒に眠ってしまったらしく、朝から瑠夏が怒りモードで蓮君に説教していた。蓮君は慣れたように、瑠夏の小言を右から左に流しているようだった。
怒られ慣れているのはどうかと思うが、それだけ仲が良いって証拠なんだろうな。ひと通り文句を言い終えた瑠夏が、今度は俺の方を振り返って話しかけてきた。
「あぁ、そうだ母さん。今日、ばあちゃん家行こうと思ってるんだけど体調とか平気??行けそう??」
「......あぁ、大丈夫大丈夫!てか、なんなら昨日行くべきだったかもね...母さんも心配してただろうし...。」
てっきり瑠夏に説教されるかな、と思い少し身構えたけど俺はお咎めなしで少しホッとした。
「いや、ばあちゃんには母さんが起きてからすぐ連絡したんだけど、母さんの体調がよくなってからでいいって言われてさ。でも行けるなら早い方がいいでしょ?」
「そうだね...心配かけちゃったし。それにーー」
「それに!俺と葵さんが付き合ったことも、報告しないとだし!ね!?葵さん!!」
よくまぁ...恥ずかしげも無くさらっと言えるなぁ......。九歳差だぞ九歳差。俺はまだちょっとだけ躊躇ってしまう部分があるというのに。ーーまぁ、嫌じゃないけど。
朝食を軽く済ませて、着替えが終わると瑠夏が蓮君に「車、出して」とお願いしているのが聞こえた。
「そんじゃ、蓮が車出してよ。」
「はいよ。車、家の前に持ってくるわ」
蓮君は、車のカギをくるくると指で回しながら玄関を出て行った。
そういえば、瑠夏も免許持ってるんだよな?瑠夏の運転をちょっと見てみたいかも......と思い軽く聞いてみた。
「瑠夏は運転しないの??」
「う~ん......俺、もう一年くらい運転してないペーペーだからさ、ちょっと自信なくて。今回は蓮の方が安心だと思うよ。だから俺の運転はまた今度ね」
残念だったけど、瑠夏の運転は今度の楽しみにとっておこうと思った。
「そっか、じゃあ今度お願いね」
「うん。それまでには運転の練習しとくから」
そのとき、外から蓮君の声が聞こえてきた。
「二人とも車乗っちゃって!あ!葵さんは助手席ね!!」
「......うん?ありがとう??」
頑なに助手席に乗せたがる蓮君を少し不思議に思いながら、車に乗り込んだ
実家までは車で三十分もかからない距離だ。三人で他愛もない話をしているうちに、あっという間に着いてしまった。
俺は玄関の前でドアに手を添えると、一瞬立ち止まり、短く息を吐いたあとにガチャリと慎重にドアを開けた。
「ばあちゃーん!!」
瑠夏が大きな声で母さんを呼ぶ。すると奥の方から「なによ、どうしたの。」と言いながら、玄関に歩いてくる音が聞こえた。
......なんだか、退院の日に瑠夏と会った時もこんな感じじゃなかったっけ??と既視感を覚えた。孫と祖母も似るもんだな、と少し口角が上がった。
ほどなくして、母さんは玄関に姿を現しこちらに目を向けた。目がぱちりと合った瞬間、母さんは手にしていた洗濯物をどさっと落とし、手で口元を押さえて静かに涙をこぼしていた。
そんな母さんの姿を見て俺も目頭が熱くなった。
「......母さんっ!ただいま。」
「葵......もう!あんたって子は!!!」
俺は泣き崩れる母さんの元へ駆け寄り、力いっぱい抱きしめた。以前より確実にしわと白髪は増えたけれど、それ以外は九年前と変わっていなかった。
母さんと俺が泣いている間、蓮君と瑠夏はその光景を温かい眼差しで見守ってくれていた。
母さんが泣き止んで落ち着いた頃、ふと二人の方を見ると口パクで「「よかったね」」と同時に言ってくれた。不思議と心が優しい気持ちに包まれた。
「あらもう...ほんとに嫌ね......ごめんなさい、瑠夏、蓮君。リビングでちょっと待ってて頂戴。」
俺は母さんが落とした洗濯物を拾い上げて、リビングへ向かおうとしたが、瑠夏がそれをひょいっと持ち上げた。
「今、父さんに線香あげてきたら?洗濯物は俺がやっとくからさ。」
「うん、じゃあそうさせてもらうよ。ありがと瑠夏。」
「葵さん、俺も一緒に行くよ」
俺は蓮君と並んで父さんの仏壇が置いてある部屋に入った。
***
う~ん...と唸りながら伸びしていると、誰かに見られているような視線を感じた。ちらりと横を見ると蓮君が肩肘を付きながら、こちらをじっと見つめていた。
まさか、ずっと俺の寝顔でも見ていたのだろうか...。
「おはようございます!葵さん!!よく寝れましたか??」
朝から摂取するには刺激の強い眩しい笑顔が、寝ぼけた俺に突き刺さった。寝起きでもイケメンはイケメンなんだな......。世知辛い世の中だ。
「...おはよ、うん寝れたよ。蓮君は??」
「俺も寝れました。誰かとくっついて寝ると安心しますね。」
「ほんとに、そうだね」
結局、俺と蓮君はあのまま一緒に眠ってしまったらしく、朝から瑠夏が怒りモードで蓮君に説教していた。蓮君は慣れたように、瑠夏の小言を右から左に流しているようだった。
怒られ慣れているのはどうかと思うが、それだけ仲が良いって証拠なんだろうな。ひと通り文句を言い終えた瑠夏が、今度は俺の方を振り返って話しかけてきた。
「あぁ、そうだ母さん。今日、ばあちゃん家行こうと思ってるんだけど体調とか平気??行けそう??」
「......あぁ、大丈夫大丈夫!てか、なんなら昨日行くべきだったかもね...母さんも心配してただろうし...。」
てっきり瑠夏に説教されるかな、と思い少し身構えたけど俺はお咎めなしで少しホッとした。
「いや、ばあちゃんには母さんが起きてからすぐ連絡したんだけど、母さんの体調がよくなってからでいいって言われてさ。でも行けるなら早い方がいいでしょ?」
「そうだね...心配かけちゃったし。それにーー」
「それに!俺と葵さんが付き合ったことも、報告しないとだし!ね!?葵さん!!」
よくまぁ...恥ずかしげも無くさらっと言えるなぁ......。九歳差だぞ九歳差。俺はまだちょっとだけ躊躇ってしまう部分があるというのに。ーーまぁ、嫌じゃないけど。
朝食を軽く済ませて、着替えが終わると瑠夏が蓮君に「車、出して」とお願いしているのが聞こえた。
「そんじゃ、蓮が車出してよ。」
「はいよ。車、家の前に持ってくるわ」
蓮君は、車のカギをくるくると指で回しながら玄関を出て行った。
そういえば、瑠夏も免許持ってるんだよな?瑠夏の運転をちょっと見てみたいかも......と思い軽く聞いてみた。
「瑠夏は運転しないの??」
「う~ん......俺、もう一年くらい運転してないペーペーだからさ、ちょっと自信なくて。今回は蓮の方が安心だと思うよ。だから俺の運転はまた今度ね」
残念だったけど、瑠夏の運転は今度の楽しみにとっておこうと思った。
「そっか、じゃあ今度お願いね」
「うん。それまでには運転の練習しとくから」
そのとき、外から蓮君の声が聞こえてきた。
「二人とも車乗っちゃって!あ!葵さんは助手席ね!!」
「......うん?ありがとう??」
頑なに助手席に乗せたがる蓮君を少し不思議に思いながら、車に乗り込んだ
実家までは車で三十分もかからない距離だ。三人で他愛もない話をしているうちに、あっという間に着いてしまった。
俺は玄関の前でドアに手を添えると、一瞬立ち止まり、短く息を吐いたあとにガチャリと慎重にドアを開けた。
「ばあちゃーん!!」
瑠夏が大きな声で母さんを呼ぶ。すると奥の方から「なによ、どうしたの。」と言いながら、玄関に歩いてくる音が聞こえた。
......なんだか、退院の日に瑠夏と会った時もこんな感じじゃなかったっけ??と既視感を覚えた。孫と祖母も似るもんだな、と少し口角が上がった。
ほどなくして、母さんは玄関に姿を現しこちらに目を向けた。目がぱちりと合った瞬間、母さんは手にしていた洗濯物をどさっと落とし、手で口元を押さえて静かに涙をこぼしていた。
そんな母さんの姿を見て俺も目頭が熱くなった。
「......母さんっ!ただいま。」
「葵......もう!あんたって子は!!!」
俺は泣き崩れる母さんの元へ駆け寄り、力いっぱい抱きしめた。以前より確実にしわと白髪は増えたけれど、それ以外は九年前と変わっていなかった。
母さんと俺が泣いている間、蓮君と瑠夏はその光景を温かい眼差しで見守ってくれていた。
母さんが泣き止んで落ち着いた頃、ふと二人の方を見ると口パクで「「よかったね」」と同時に言ってくれた。不思議と心が優しい気持ちに包まれた。
「あらもう...ほんとに嫌ね......ごめんなさい、瑠夏、蓮君。リビングでちょっと待ってて頂戴。」
俺は母さんが落とした洗濯物を拾い上げて、リビングへ向かおうとしたが、瑠夏がそれをひょいっと持ち上げた。
「今、父さんに線香あげてきたら?洗濯物は俺がやっとくからさ。」
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俺は蓮君と並んで父さんの仏壇が置いてある部屋に入った。
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