二人で過ごす発情期の話。

蒸しケーキ

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帰ってきて

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あれから何時間寝ていたのだろう、ぱちっと目を覚ますと空はもうすっかり暗くなっていた。頭がぼーっとし、身体が火照ってるのを感じ取ると「あぁ本格的に発情期に入ったんだな」と心の中で思う。寝室の時計に目をやる。
「まだ22時、か」
体感はもう2日ぐらい経っただろうという感覚であった。なのに今朝恭ちゃんが出掛けたばかりなんて、そう考えると途端に目頭が熱くなる。布団の中でうずくまりながら
「恭ちゃん、恭ちゃん、、」
といるはずのない空間に呼び掛ける。当然声が返ってくることはない。いつも一緒に発情期を過ごしていることに慣れてしまい、久しぶりの一人での発情期にはとても耐えられそうにない。だけど俺が自分で大丈夫っていったんだ。なんとかしないと、乗り越えないと、、、と俺は決意を固める。だが発情期の症状は収まることなく襲いかかってくる。
「抑制剤も飲んだのに、、なん、、で、?」
薬が効いていないのか、それとも今回に限って発情期の症状が重くなってしまったのか。それは俺にも分からない。
俺は涙で視界がじんわりと滲んでいく。抑制剤は一日に一錠と用量が決まっている。しかし薬が効いていないのならしょうがないか、と回らない頭で考え抑制剤を手に取ろうとする。すると、フワッと一瞬爽やかで大好きな匂いがした気がする。俺はその匂いに釣られるようにフラフラと歩きはじめ、恭ちゃんの服がきっちりとしまってあるクローゼットを無作法に漁り、自分の寝室にできる限りたんまりとそれを持ち帰り顔を服の中に埋める。愛しい香りを全身で感じとると、固めたはずの決意は簡単に揺らぎ
「お願いっ、はや、くっ、早く!帰ってきて!!」
と、強く願いながら自分の周りに恭ちゃんの服を山のように積む。ぐすっぐすっ、っと泣きながら収まらない身体の熱をどうにかしようとしていると、、、
???「ねぇ、巣作りしてくれたんだ」
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