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第二章
新天地に旅立つ事を決めました
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『……ケル、タケル』
何処かで僕を呼ぶ声が聞こえる、僕はどうやら自分のベッドで寝落ちていたようで、目を開けたら部屋がずいぶん暗くなっていた。
「あ、すみません、寝ちゃってました」
「構いませんよ、疲れていたのでしょう」
「お、タケル、目が覚めたか。置いてったお前のスライム、ちゃんと回収してきたからな」
アランの言葉と同時くらいにライムが僕の胸に飛び込んできた。どうやらさっき僕を呼んでいたのはライムだったみたいだ。
「そういえば置き去りにしちゃったんだな、ごめんな、ライム」
『ん~ん、ボクは平気。だけどタケル泣いてた、ボク、ダメなことしちゃった……? ボク、わるい子?』
しょぼんと身体が崩れてしまいそうなライムが僕の掌でプルプル震えている。
「ライムは悪くないよ、ちょっと色々タイミングが悪かっただけだから」
それにしてもアレは何だったのだろうか? スライム結界? とか言ってたけど、ライムってあんな技も持ってたんだな。ルーファウスの放った技を跳ね返してルーファウスを瀕死にまでしたライムの防御力は感嘆に値する。
「だけどこれからは僕の許可なく勝手に技は発動しない事、約束できる?」
『うん、分かった。ボク約束まもる!』
頭ごなしに叱っても仕方がないのでライムに関して今日はここまで。それよりもお腹が空いたな。
ルーファウスが外で買ってきたのだろう総菜を何処からか調達してきたのだろう小さなテーブルに所狭しと並べている。どれもこれも美味しそうだ。
「お、美味そうだな、今日はやけに豪勢だ」
「アラン、あなたの為に準備した訳ではありませんよ」
「ちぇ、分かってるよ。タケル、どれから喰いたい?」
「え、えっと、じゃあこれ」
僕は野菜のキッシュのような料理を指差した。現在僕の作る料理はあまり時間のかからないものばかりだから、こういう手の込んだ料理は作ってないんだよね。時間があれば挑戦したいとは思っているんだけど。
僕がそれに齧り付くとルーファウスとアランもそれぞれ好きな料理に手を伸ばし食事を始めた。
「そういえば、タケル、明日からお前ちょっと大変な事になるかもしれないから覚悟しておけよ」
「? 大変な事? 何でですか?」
「聖女様がな、冒険者ギルドで大々的にお前の事を神子様だと宣言しちまったんだ。俺は止めたんだが聞く耳持たなくてな」
僕は食べかけのキッシュを持ったまま硬直する。嘘だろ、何だよ、そんな話聞いてない……
お腹が空いていたはずなのに僕の食欲は一気に減退する。
「それ、どうにか撤回できないんですか?」
「無理だろ、聖女様の言っている事だぞ、今更撤回なんてできる訳がない」
あ~……お腹痛い、なんか昔もこんな事あったな。家庭が困窮してくると何処から聞きつけるのか変な新興宗教の勧誘みたいなのがやって来てしつこく入信を勧めてくるんだよ。そういうのは今までことごとくお断りしてきたけれど、強制入信とか勘弁してほしい。
「僕、逃げてもいいですかね?」
「あ? それは街を出るって事か? それならタケル、俺と一緒にダンジョン行かねぇか?」
は? ダンジョン?
「な! アラン! 突然何を言い出すんですか!!」
「いいだろう、別に。元々俺はそのつもりだったし、タケルが街を出たいって言うならちょうどいい」
ああ、そういえば出会った当初からアランはダンジョンに行きたいとか言ってたな。でもダンジョンかぁ……
「ダンジョンって、僕なんかでも入れるんですか? 僕、まだFランクですよ」
「ああ、平気平気。ダンジョンの浅い階層はそういう初心者向きだし、むしろスキルアップにはうってつけだぞ」
ダンジョンってそうなんだ、てっきり歴戦の猛者みたいな冒険者たちが挑戦するものだとばかり思ってたのに、初心者向きの階層もあるんだ!
「行く! 行きます!! 連れてってください!」
「タケル!? アランもなんでっ!!」
ルーファウスが慌てたように僕とアランの顔を見やる。
「ルーファウスさんはさっき僕の行きたいとこ、何処でも連れてってくれるって言いましたよね?」
「う……それは、まぁ……」
「だったらダンジョン! 僕、行きたいです!」
本当はこの街を出て聖女様から逃げられるなら何処でもいいのだけど、いいじゃないかダンジョン! まだまだ未熟な僕のスキルだってきっと伸びる!
「お、タケル、威勢がいいな。よしよし、それなら善は急げだ」
「待てアラン、まだ決定という訳では……!」
「違うのか?」
さっそく部屋に散らかっている私物を纏めようとしているアランがルーファウスではなく僕を見やる。アランも既にルーファウスが僕の言いなりだってこと分かってるんだな。
「決定です」
にっこり笑って僕が告げるとルーファウスががくりと肩を落とした。なんでルーファウスはダンジョンを嫌がるのかな? 冒険者にとって冒険するのは醍醐味だろう? ダンジョンなんてすごく冒険! って感じがするじゃないか!
「あ、でも、善は急げはいいですけど、僕、ロイド君には挨拶しておきたいかもです。今までたくさんお世話になりましたし」
「彼をお世話していたのはむしろこちらでしょう? それと、ルーファウスさん、ではなくルーファウスでと先程言いましたよね。今後さん付けしたら返事しませんからね」
不貞腐れたようなルーファウス。言動がまるで子供のようだよ。
「お、そうなのか? だったら俺の事もアランでいいぞ。これからは旅の仲間、パーティーだしな」
相変らずアランは屈託がない。アランとルーファウスの言ってる事は同じなのに、意味合いが違って聞こえるのは何故なのかな?
基本的に話す相手には敬称を付けるのがデフォルトの僕は呼び捨て苦手なんだよ。そういえば、今までこんな風に呼び捨てで呼び合うほど仲良く付き合える友人もいなかったな。小学校まではいた気がするけど、いつの間にかこうなってたから。
僕はスゥっと息を吸い込む。
「これからもよろしくお願いします、アラン、ルーファウス」
「おお、よろしくな」
「こちらこそ、タケル」
こうして僕たちのダンジョンへの旅立ちは決定された。
目指すは南方のダンジョン都市メイズ。メイズは街自体がダンジョン中心に発展した街なので冒険者もたくさん住んでいると聞いた。
ああ、未知なる土地、未知なる世界、楽しみだな!
何処かで僕を呼ぶ声が聞こえる、僕はどうやら自分のベッドで寝落ちていたようで、目を開けたら部屋がずいぶん暗くなっていた。
「あ、すみません、寝ちゃってました」
「構いませんよ、疲れていたのでしょう」
「お、タケル、目が覚めたか。置いてったお前のスライム、ちゃんと回収してきたからな」
アランの言葉と同時くらいにライムが僕の胸に飛び込んできた。どうやらさっき僕を呼んでいたのはライムだったみたいだ。
「そういえば置き去りにしちゃったんだな、ごめんな、ライム」
『ん~ん、ボクは平気。だけどタケル泣いてた、ボク、ダメなことしちゃった……? ボク、わるい子?』
しょぼんと身体が崩れてしまいそうなライムが僕の掌でプルプル震えている。
「ライムは悪くないよ、ちょっと色々タイミングが悪かっただけだから」
それにしてもアレは何だったのだろうか? スライム結界? とか言ってたけど、ライムってあんな技も持ってたんだな。ルーファウスの放った技を跳ね返してルーファウスを瀕死にまでしたライムの防御力は感嘆に値する。
「だけどこれからは僕の許可なく勝手に技は発動しない事、約束できる?」
『うん、分かった。ボク約束まもる!』
頭ごなしに叱っても仕方がないのでライムに関して今日はここまで。それよりもお腹が空いたな。
ルーファウスが外で買ってきたのだろう総菜を何処からか調達してきたのだろう小さなテーブルに所狭しと並べている。どれもこれも美味しそうだ。
「お、美味そうだな、今日はやけに豪勢だ」
「アラン、あなたの為に準備した訳ではありませんよ」
「ちぇ、分かってるよ。タケル、どれから喰いたい?」
「え、えっと、じゃあこれ」
僕は野菜のキッシュのような料理を指差した。現在僕の作る料理はあまり時間のかからないものばかりだから、こういう手の込んだ料理は作ってないんだよね。時間があれば挑戦したいとは思っているんだけど。
僕がそれに齧り付くとルーファウスとアランもそれぞれ好きな料理に手を伸ばし食事を始めた。
「そういえば、タケル、明日からお前ちょっと大変な事になるかもしれないから覚悟しておけよ」
「? 大変な事? 何でですか?」
「聖女様がな、冒険者ギルドで大々的にお前の事を神子様だと宣言しちまったんだ。俺は止めたんだが聞く耳持たなくてな」
僕は食べかけのキッシュを持ったまま硬直する。嘘だろ、何だよ、そんな話聞いてない……
お腹が空いていたはずなのに僕の食欲は一気に減退する。
「それ、どうにか撤回できないんですか?」
「無理だろ、聖女様の言っている事だぞ、今更撤回なんてできる訳がない」
あ~……お腹痛い、なんか昔もこんな事あったな。家庭が困窮してくると何処から聞きつけるのか変な新興宗教の勧誘みたいなのがやって来てしつこく入信を勧めてくるんだよ。そういうのは今までことごとくお断りしてきたけれど、強制入信とか勘弁してほしい。
「僕、逃げてもいいですかね?」
「あ? それは街を出るって事か? それならタケル、俺と一緒にダンジョン行かねぇか?」
は? ダンジョン?
「な! アラン! 突然何を言い出すんですか!!」
「いいだろう、別に。元々俺はそのつもりだったし、タケルが街を出たいって言うならちょうどいい」
ああ、そういえば出会った当初からアランはダンジョンに行きたいとか言ってたな。でもダンジョンかぁ……
「ダンジョンって、僕なんかでも入れるんですか? 僕、まだFランクですよ」
「ああ、平気平気。ダンジョンの浅い階層はそういう初心者向きだし、むしろスキルアップにはうってつけだぞ」
ダンジョンってそうなんだ、てっきり歴戦の猛者みたいな冒険者たちが挑戦するものだとばかり思ってたのに、初心者向きの階層もあるんだ!
「行く! 行きます!! 連れてってください!」
「タケル!? アランもなんでっ!!」
ルーファウスが慌てたように僕とアランの顔を見やる。
「ルーファウスさんはさっき僕の行きたいとこ、何処でも連れてってくれるって言いましたよね?」
「う……それは、まぁ……」
「だったらダンジョン! 僕、行きたいです!」
本当はこの街を出て聖女様から逃げられるなら何処でもいいのだけど、いいじゃないかダンジョン! まだまだ未熟な僕のスキルだってきっと伸びる!
「お、タケル、威勢がいいな。よしよし、それなら善は急げだ」
「待てアラン、まだ決定という訳では……!」
「違うのか?」
さっそく部屋に散らかっている私物を纏めようとしているアランがルーファウスではなく僕を見やる。アランも既にルーファウスが僕の言いなりだってこと分かってるんだな。
「決定です」
にっこり笑って僕が告げるとルーファウスががくりと肩を落とした。なんでルーファウスはダンジョンを嫌がるのかな? 冒険者にとって冒険するのは醍醐味だろう? ダンジョンなんてすごく冒険! って感じがするじゃないか!
「あ、でも、善は急げはいいですけど、僕、ロイド君には挨拶しておきたいかもです。今までたくさんお世話になりましたし」
「彼をお世話していたのはむしろこちらでしょう? それと、ルーファウスさん、ではなくルーファウスでと先程言いましたよね。今後さん付けしたら返事しませんからね」
不貞腐れたようなルーファウス。言動がまるで子供のようだよ。
「お、そうなのか? だったら俺の事もアランでいいぞ。これからは旅の仲間、パーティーだしな」
相変らずアランは屈託がない。アランとルーファウスの言ってる事は同じなのに、意味合いが違って聞こえるのは何故なのかな?
基本的に話す相手には敬称を付けるのがデフォルトの僕は呼び捨て苦手なんだよ。そういえば、今までこんな風に呼び捨てで呼び合うほど仲良く付き合える友人もいなかったな。小学校まではいた気がするけど、いつの間にかこうなってたから。
僕はスゥっと息を吸い込む。
「これからもよろしくお願いします、アラン、ルーファウス」
「おお、よろしくな」
「こちらこそ、タケル」
こうして僕たちのダンジョンへの旅立ちは決定された。
目指すは南方のダンジョン都市メイズ。メイズは街自体がダンジョン中心に発展した街なので冒険者もたくさん住んでいると聞いた。
ああ、未知なる土地、未知なる世界、楽しみだな!
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