童貞のまま40を超えた僕が魔法使いから○○になった話

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第二章

ダンジョンって不思議ですね

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 ダンジョン都市メイズの少し手前にある関所の前で僕とルーファウスはアラン達と別行動をする事になった。
 あれ? そういえば僕、ルーファウスと二人きりになるのってすごく久しぶりじゃないか? それこそルーファウスに口説く宣言をされてから初めての二人きりなのだと気付いた僕は、転移のために抱かれたままのルーファウスの腕の中で身体を強張らせる。
 アランに抱き上げられている時、アランには平気で抱きつく事ができたけど、ルーファウスにそれはしてはいけない気がする。

「着きましたよ」

 ふわりと持ち上がったルーファウスのローブが自然に舞い降りていくのと同時に目の前の景色が変わった。そこは人気のない路地裏で、路地の向こう側にはたくさんの人が歩いているのが見える。

「ここがダンジョン都市メイズ?」
「そうですよ、少し大通りでも歩いてみましょうか」

 ルーファウスが僕を腕からおろし、促すので僕は路地裏から大通りの方へと足を進める。細い路地裏から大通りを覗けばそこは賑やかな繁華街だ。
 これは人並みにのまれたら迷子になりそうだなと考え、己の手を見る。こんな時いつもならロイドが「ん」と手を差し出してくるか、アランがひょいと抱き上げてくれるのだが、今、僕の隣に居るのはルーファウスだ。

「どうかしましたか?」
「うんん、何でもない」

 少しだけ、もしかしたらルーファウスが僕の手を取ってくれるのではないかなんて考えてしまった僕は首を振る。いかん、完全に子供扱いに毒されている。
 そもそもルーファウスは僕が見た目通りの子供でない事を知っている、アランとロイドは常に僕を小さな子供扱いをするがルーファウスはそんな事はしないのだ。
 ルーファウスはまるで姫を守る騎士のように僕を扱ってくれるけど、子供扱いをした事は今まで一度もなく、僕はその方が気楽だったはずなのに少しだけ寂しいと思ってしまった自分の気持ちに動揺する。
 やめやめ、何を考えている、もっと別の事を考えよう!

「ねぇ、ルーファウス、ここはダンジョン都市って言うけど、ダンジョンってどこにあるんですか? やっぱり街の外?」
「いいえ、あそこです」

 ルーファウスが指差した先、そこは街並みより少し小高くなった丘の上でそこには壁に囲まれた大きな建築物が建っていた。言ってしまえばそれは城のような見た目で、あれがダンジョン? と僕は思わず首を傾げる。
 僕のイメージの中のダンジョンというのは洞窟などの自然物の中にある物だったのでイメージが違い過ぎて戸惑いを隠せない。

「正しく言えばあの建物の地下ですよ。上物はほぼ飾りです」

 あの城のような建造物が飾り!? あ、だからアトラクションなのか? 某ネズミの王国のシン〇レラ城の地下にアトラクションがあるような、そんな感じか!?

「昔はあの城も立派に城としての機能を果たしていたのですが、城の地下から魔物が湧いてくるようになってしまっては住んでいられなくなってしまったようでうち捨てられたのですよ。城を護る城砦が今となっては魔物を外に出さない為の防御壁です、そんな曰く付きの城をダンジョン含め商売道具としてしまったこの地の領主は抜け目が無いとも言えますがね」

 へぇ、このメイズのダンジョンにはそんな由来があるのか。

「ちなみにどのくらいの広さなんですか?」
「現在確認されている限りでは50階層くらいですかね、ダンジョンは日々成長していくので正確な数字は分かりませんが」

 ? 今、不穏な言葉を聞いたぞ。ダンジョンが日々成長してくってどういう事だ? まさかダンジョン自体が生き物という事はないだろうけど、全く意味が分からない。

「ルーファウス、ダンジョンって育っていくものなんですか?」
「え? ああ、そうですよ。ダンジョンには核というものが存在していて、その核を中心に成長していくのです。ですのでダンジョンを見付けたら早目に核を見付けだし破壊しないと、魔物が大量発生して大変な事になってしまうのです」
「ダンジョンに核……それじゃあ、ここのダンジョンもまだ日々成長しているって事ですか?」
「ええ、そうです」

 ちょっと! それって、こんな街を発展させてる場合じゃなくないか!? さっさとその核を破壊してダンジョンの成長を止めないと魔物が街に溢れ出すんじゃないのか!?

「なんでこの街の人達はそんな危険な場所で呑気に街なんか形成してるんですか!? さっさと核を破壊してダンジョンの成長止めましょうよ!」
「そうしたいのはやまやまなのでしょうが一応ダンジョン自体がこの街の観光資源ですからねぇ……ただ街としても核の破壊を試みていない訳ではないのですよ、核の破壊には報奨金だってかけられています。ただ、核を破壊してしまうとこのダンジョン都市としての価値が下がってしまうので、大人の事情であれやこれやはあるんじゃないでしょうか」

 大人の事情で街を危険に晒すのはどうかと思うんだけど、どこまでも商魂逞しいな。

「まぁ、ダンジョン都市として有名になったお陰で冒険者はいくらでも集まってきますし、魔物がダンジョンから溢れ出してくるなんて事もない、ここは比較的安全なダンジョンですよ。冒険者が多いのでダンジョンアイテムには期待できないかもしれませんがね」
「? ダンジョンアイテム?」

 確かどこかで聞いたような単語だけど、何だっけ?

「ダンジョンアイテムと言うのは、例えばタケルに差し上げたその鞄です。ダンジョンという場所には魔術の元となるエレメンタルが豊富に溢れているのですが、このエレメンタルがどういう具合か時に不思議な効力を発揮して不思議な魔道具を創り出すのですよ。その鞄は私がダンジョンで拾った物ですが、元を正せば何処かの冒険者が落としたただの鞄であったと思うのです、ですが膨大な量の魔力、魔素とでも言えばいいのでしょうか、そう言った力に晒されて変化して便利な魔道具マジックアイテムになったのです。これをダンジョンアイテムと言うのですよ」

 ああ、そういえばこの鞄を貰った時に確かにアランがダンジョン産のマジックバックだって言っていた。ダンジョン産ってそういう意味なんだ!
 それにしてもダンジョンに置いとくだけで便利な魔道具ができるなんて不思議だな。そんな便利なものが作れるなら商売にする人も出てきそうなものだけどとルーファウスに問うてみたら、それは無理だと言われてしまった。

「ダンジョンアイテムの生成過程は未だはっきりとした工程は分かっていないのです。ただダンジョンに置いておけばマジックアイテムが出来上がるという、簡単な話ではないのですよ」

 なのだそうで、簡単に商売に出来るような仕組みではないらしい。まぁ、そうだよね、そんな簡単な話ならばマジックアイテムはもっと世間に流通していても不思議ではない。
 マジックバックなんて本当に便利なモノだけど、僕は商店の店頭でマジックバックを見た事がないのでやはりあまり流通はしていない高級品であるのだろう。見た目はボロだけど大事にしないと。
 ちなみにシェアハウスの厨房に転がっていた籠、あれもマジックバックの一種である事を知ったのはシュルクの街を離れてから。容量こそ大きくなかったけれど野菜や生ものの鮮度を保ってくれるのはとても有難かった。
 僕が貰ったバックにはそんな鮮度が保たれる機能も搭載されているので、あの籠よりもよほど優れモノな一品なのだ。実際買おうと思ったら幾らくらいになるのか想像もつかなくて、その値段は怖くて聞けない。

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