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第二章
ライムは絶対に売りません!
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ロイドの試験が終わり、今度は僕の番となって準備をしているとローブの胸元からライムがひょこりと顔を出した。
『タケル、何してるの~?』
「ん? 今から魔物と戦うんだよ。ライムは危ないかもしれないからみんなと一緒に待っててくれる?」
観覧席を指差して僕が言うとライムは『なんで~?』と、少し不満気だ。
「何でって、これは僕の試験だし、ライムが怪我したら大変だから」
『ボク大丈夫だもん、ボクもタケルと一緒に魔物やっつけるぅ!』
「いや、でもね……」
僕がライムと問答を続けているとスラッパーがライムを覗き込み「そのスライムは?」と首を傾げる。
「あ、この子は僕の従魔です。さっきから一緒に戦うってきかなくて」
「おや、坊ちゃんは従魔師なんですか? それにスライムが戦闘をしたがるなんて聞いた事もありませんが、戦えるんですか?」
怪訝そうな表情のスラッパー。それはそうだよね、スライムは魔物の中でも最弱、戦う事なんてほとんどないはずだし。
「従魔師は副業ですね、基本的に僕は魔術師です。それにこの子はスライムの中でも少し特殊な個体みたいで、多少は戦闘もできるんですよ」
「ほぉ」
何故だかスラッパーの瞳がきらりと光った気がして僕は値踏みされているような嫌な気配を感じ一歩後退る。
「従順な従魔、そして特殊個体、ちなみに坊ちゃん、そのスライムを手放す気は? お値段は弾みますよ。そうですね、銀貨1枚でどうですか?」
「ちょ……やめてくださいよ! ライムは僕の大事な家族です、絶対手放したりしませんからね! ましてや売るなんて絶対絶対しませんから!」
この人は商機を感じたら何でも買い取るのか!? 商魂逞しいにも程がある! スラッパーは「それは残念です」なんて肩を落としているけど、何でもかんでも銭勘定するのはやめてくれ。
『タケルぅ、この人だぁれ?』
「ライムは覚えなくてもいい人だよ。ほら向こうに行っておいで」
『やぁだ、ボクはタケルと一緒にたたかうの!』
どうにも僕から離れる気がなさそうなライム、仕方がないのでそんなライムを肩に乗せて僕は試験を受ける事にする。
「スラッパーさん、お願いしてもいいですか?」
「はいはい、では頑張ってくださいね」
スラッパーの返事と共に開いていた扉が閉じる。それと同時に先程と同じように闘技場の中央の空間が歪み屍人と骸骨騎士が現れた。
『タケルぅ、あれ不味そう』
ライムにとって魔物は食い物なのか? まぁ、確かにアンデッドはお世辞にも美味しそうには見えないもんな。骸骨騎士に至っては食べられる肉もないし。
「お腹壊すといけないから食べちゃダメだよ」
『はぁい』
いい子のお返事と共にライムがむくむくと巨大化していく、そしてそのままライムのボディアタック。屍人が吹っ飛んだところで、僕はすかさず火球を打ち込んだ。
火だるまになる屍人、一体二体とそれで倒し、三体目はライムが踏みつぶして消化していく。食べちゃダメって言ったのに……
残っているのは屍人二体と骸骨騎士。僕は教えてもらったばかりの火炎放射を試す事にする。
火炎放射は火魔法と風魔法の複合技だ。火炎を起こし、その炎を風に乗せて一体を焼き尽くす全体攻撃なので敵が複数いる場合はとても有効だ。
火炎放射で一気に屍人を二体葬り去った僕は最後に残った骸骨騎士を見やる。
『ねぇねぇ、タケル、今のなに? ボクもやりたい、ボクもやるぅ!』
火炎放射を見て大はしゃぎのライム。さっきまでローブの中で寝てたから練習見てなかったもんな、だけどライムが火炎放射ってどうやるのさ。
「ライム、無茶言わないの!」
『ボク、できるもん! タケルがさっきみたいに燃やしてくれたらできるもん!』
んん? それはライムに向かって火炎放射を放てって事か? そんな事したらライムが火だるまになったりしないのか? だけど前にも同じような事あったよな、敵の中に投げ込めって言われて、そうしたら巨大化してゴブリン倒してくれたんだよな。
ライムは意外と出来ない事は言わない気がする。
「ライム本当に大丈夫?」
『だいじょうぶ~』
僕はライムの言葉を信じてライムに向かって火炎放射を放った、するとその火炎放射を吸収してライムが更に一回り膨れ上がったと思ったら、一息置いて一気に炎が吹きだす。それは僕の火炎放射より数倍の火力で、辺り一面あっという間に火の海だ。
「うわぁ……」
まさかここまでの火力が出ると思わなかった僕が呆然と立ち尽くす中、骸骨騎士はあっという間に燃え上がり灰になって消えていく。闘技場の天井近くまで立ち昇った業火の前にはさすがの骸骨騎士も断末魔をあげる暇もなかったみたいだ。
「お、お見事です」
拍手をするスラッパーの頬が若干引き攣って見える。うん、僕もまさかこんな事になるとは思わなかったよ。当のライムは周りの戸惑いなんてどこ吹く風で、嬉しそうに大はしゃぎで『できた、できた』って飛び跳ねてるけどね。
闘技場の炎が鎮火するのを待って、僕にも討伐証明書が手渡された。やったー! これで僕もEランク冒険者だ!!
スラッパーが、僕の肩に乗るライムをもう一度まじまじと見やり、小さな声で「坊ちゃん、金貨3枚でいかがです?」と問いかける。
「はい?」
「3枚ではまだ足りませんか、では5枚! 5枚でどうですか!? 数年は遊んで暮らせますよ!」
ああ、これは今のライムの戦闘能力を見て売れるって確信しちゃったやつだ。
「何度でも言いますけど、どれだけお金を積まれてもライムは絶対に売りませんからね!!」
『タケル、何してるの~?』
「ん? 今から魔物と戦うんだよ。ライムは危ないかもしれないからみんなと一緒に待っててくれる?」
観覧席を指差して僕が言うとライムは『なんで~?』と、少し不満気だ。
「何でって、これは僕の試験だし、ライムが怪我したら大変だから」
『ボク大丈夫だもん、ボクもタケルと一緒に魔物やっつけるぅ!』
「いや、でもね……」
僕がライムと問答を続けているとスラッパーがライムを覗き込み「そのスライムは?」と首を傾げる。
「あ、この子は僕の従魔です。さっきから一緒に戦うってきかなくて」
「おや、坊ちゃんは従魔師なんですか? それにスライムが戦闘をしたがるなんて聞いた事もありませんが、戦えるんですか?」
怪訝そうな表情のスラッパー。それはそうだよね、スライムは魔物の中でも最弱、戦う事なんてほとんどないはずだし。
「従魔師は副業ですね、基本的に僕は魔術師です。それにこの子はスライムの中でも少し特殊な個体みたいで、多少は戦闘もできるんですよ」
「ほぉ」
何故だかスラッパーの瞳がきらりと光った気がして僕は値踏みされているような嫌な気配を感じ一歩後退る。
「従順な従魔、そして特殊個体、ちなみに坊ちゃん、そのスライムを手放す気は? お値段は弾みますよ。そうですね、銀貨1枚でどうですか?」
「ちょ……やめてくださいよ! ライムは僕の大事な家族です、絶対手放したりしませんからね! ましてや売るなんて絶対絶対しませんから!」
この人は商機を感じたら何でも買い取るのか!? 商魂逞しいにも程がある! スラッパーは「それは残念です」なんて肩を落としているけど、何でもかんでも銭勘定するのはやめてくれ。
『タケルぅ、この人だぁれ?』
「ライムは覚えなくてもいい人だよ。ほら向こうに行っておいで」
『やぁだ、ボクはタケルと一緒にたたかうの!』
どうにも僕から離れる気がなさそうなライム、仕方がないのでそんなライムを肩に乗せて僕は試験を受ける事にする。
「スラッパーさん、お願いしてもいいですか?」
「はいはい、では頑張ってくださいね」
スラッパーの返事と共に開いていた扉が閉じる。それと同時に先程と同じように闘技場の中央の空間が歪み屍人と骸骨騎士が現れた。
『タケルぅ、あれ不味そう』
ライムにとって魔物は食い物なのか? まぁ、確かにアンデッドはお世辞にも美味しそうには見えないもんな。骸骨騎士に至っては食べられる肉もないし。
「お腹壊すといけないから食べちゃダメだよ」
『はぁい』
いい子のお返事と共にライムがむくむくと巨大化していく、そしてそのままライムのボディアタック。屍人が吹っ飛んだところで、僕はすかさず火球を打ち込んだ。
火だるまになる屍人、一体二体とそれで倒し、三体目はライムが踏みつぶして消化していく。食べちゃダメって言ったのに……
残っているのは屍人二体と骸骨騎士。僕は教えてもらったばかりの火炎放射を試す事にする。
火炎放射は火魔法と風魔法の複合技だ。火炎を起こし、その炎を風に乗せて一体を焼き尽くす全体攻撃なので敵が複数いる場合はとても有効だ。
火炎放射で一気に屍人を二体葬り去った僕は最後に残った骸骨騎士を見やる。
『ねぇねぇ、タケル、今のなに? ボクもやりたい、ボクもやるぅ!』
火炎放射を見て大はしゃぎのライム。さっきまでローブの中で寝てたから練習見てなかったもんな、だけどライムが火炎放射ってどうやるのさ。
「ライム、無茶言わないの!」
『ボク、できるもん! タケルがさっきみたいに燃やしてくれたらできるもん!』
んん? それはライムに向かって火炎放射を放てって事か? そんな事したらライムが火だるまになったりしないのか? だけど前にも同じような事あったよな、敵の中に投げ込めって言われて、そうしたら巨大化してゴブリン倒してくれたんだよな。
ライムは意外と出来ない事は言わない気がする。
「ライム本当に大丈夫?」
『だいじょうぶ~』
僕はライムの言葉を信じてライムに向かって火炎放射を放った、するとその火炎放射を吸収してライムが更に一回り膨れ上がったと思ったら、一息置いて一気に炎が吹きだす。それは僕の火炎放射より数倍の火力で、辺り一面あっという間に火の海だ。
「うわぁ……」
まさかここまでの火力が出ると思わなかった僕が呆然と立ち尽くす中、骸骨騎士はあっという間に燃え上がり灰になって消えていく。闘技場の天井近くまで立ち昇った業火の前にはさすがの骸骨騎士も断末魔をあげる暇もなかったみたいだ。
「お、お見事です」
拍手をするスラッパーの頬が若干引き攣って見える。うん、僕もまさかこんな事になるとは思わなかったよ。当のライムは周りの戸惑いなんてどこ吹く風で、嬉しそうに大はしゃぎで『できた、できた』って飛び跳ねてるけどね。
闘技場の炎が鎮火するのを待って、僕にも討伐証明書が手渡された。やったー! これで僕もEランク冒険者だ!!
スラッパーが、僕の肩に乗るライムをもう一度まじまじと見やり、小さな声で「坊ちゃん、金貨3枚でいかがです?」と問いかける。
「はい?」
「3枚ではまだ足りませんか、では5枚! 5枚でどうですか!? 数年は遊んで暮らせますよ!」
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「何度でも言いますけど、どれだけお金を積まれてもライムは絶対に売りませんからね!!」
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