妻が座っていた~浮気?とバレた僕と彼女の奇妙な18週間

サイケ ミカ

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26week

移動して来とる?!

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 がしら、ぼっか、あかめばる、 ほご。

 いわゆる笠子=カ・サ・ゴ!九州でいやー『アラカブ』ね。

 それをね、只今僕はバッコバッコ入れ食いで、目下爆釣り中な、わけ。

「アマネちゃん!こりゃあ 半端なしに調子いいなぁ!!さっすがガンさんの弟子だ!」
    
「いやー、フジさん船んがいいとこ着けてくれっからさ!こん船だて、激熱やわな!」

 僕は改めて、フジさんの遊漁船を撫で回して親指を立てて(*^ー゚)b グッジョブ!!する。

 なーんせね、海渡るの船長が涎もんの造船所でオーダーされたこん船は、漁船ゆーよりクルーザーばりのハイセンスさぞ!
 かっけーーー!!

 フジさん、予約7年待ってでゲットした船な。これ!
 
 ガン爺と同じ港で遊漁船をする、フジさんにもう一度お礼ポーズしようとしたら、と脳筋レスラー3男が、、

「アーマーネー!!どーだ!こいつは大物だろーー?!」

 どてかいヒラメを片手に、ぶら下げるのが見えて、

「げっ!!なに?!あの魚!」

「あいつは、レスラーよりも漁師の方が向いているな。」

 塾経営の次男と、お堅し医者長男のうんざりした顔がならぶ。
 
 結局、義理兄弟勢ぞろいの、なぜか関門海峡。

 演歌か?!

 河かと思えるほどの地形に出来た、
 この海峡は潮の流れが早くって、
 複雑な動きをするんよ

 だ・か・ら

 船酔いゲロ酔いしまくりゃ、ええぞ義理兄たち!

 だってよ!ここんは"ノスタルジック海峡"であって
 、~時の停車場~ぞな!

 ゆっくり考えたいやん!


『海釣りはなあ、
  糸を10回垂らせば10回、100回
   垂らせば100回人生を考えん
   時間を海で持つゆうことよ。
   人生を回想しちゃ、
   過ちを反省ぇし未来を考えん。
   海と対峙しての、
   静かに己を省みるもんじゃ。』

  竿を握っと、ガン爺の口癖がリフレインなる。

「ガン爺ーーーー!
    僕どげんしたらいいんかーー!」

  バカみたく海に雄叫ぶ。
  そいで不毛に足元んは、どんどん釣れる
  アラカブ、ゆうに30は、いって山が出来る。

 それでも
 無心に僕は
 40回目を越す針を海に落として、
 40回目を越す
 病院での宣告を回想して
 40回目の咀嚼する。


『まず、旦那様、奥様は脳死の
   状態ですが、現在妊娠24週を
   越えていますので、
   生命維持措置を胎児も合わせて
   行ってますが、どうされますか』


 おもりを
 ゆっくーり
 噛み締めるように海の底に
 沈めて
 いく。

『え、妻は、妊娠をしている
    のですか?あの、僕の子供?』

 “コン"と
 底に
 おもりが
 着いた感覚が
 竿にする。

『旦那様は、御存じなかったと
    いう事ですか?、、其れは、、
    胎児の段階でのDNA判定は
    難しいので、我々では何とも』

 そしたら
 少し
 糸を巻いて、
 しばらく

 20秒ぐらいか
 待つ。

『妻は全然、そのお腹が出たり
    してませんでしたり、夫婦生活
     も普通にしてたんですが?!』

 今度は
 少しだけ 糸を巻き、
 すれすれ、
 竿を引き上げてを
 繰り返し

 魚を
 誘う。

『18週までは膨らみは目立ち
    ませんから、わからないままも
    ありますが、奥様の荷物には
     母子手帳がありましたので、  
     奥様は理解されてたと、、』

 魚が針に掛かって、
 ぐぐっと
 竿が
 魚の重みで
 大きく
 しなる。

『ですので、
    12週を越えての胎児死亡は
    死亡届けが必要になります。』
    

 深ーく沈めた
 おもりごと
 くる
 ずしりと
 重たい
 手ごたえ。

『え?お腹の子供は死んだん
    ですか?事故の時にですか?』
  

 巻きあげに
 力が入って
 夢中でリールを
 巻く。

『違います。ですので、奥様の
   呼吸器をどうされますか?
   それによって、という事です。
   正式な説明は昼前にあります  
   から、ご家族と話あって、、』


『・・・・脳死って治らない?』


 海面に
 みるみる現れる
 鮮やかに
 真っ赤な
 アラカブが
 水面を蹴って釣り上がる。

 思わず

 僕は

「ワーーーーーーーーー!」

 って 又狂ったみたいに
 思い切り
 叫んで
 ヤケクソに
 アラカブを

 針からはずす。

 ガン爺!何度も針ぃ落とすけどな!!
 答えなんが出ぇへんが!!

 足元んに、無駄に僕の腕がえーんか、
 フジさんのポイントがバッチシなんか知らんが、
 アラカブん山が出来てく。

 僕は、島の養護院出身だ。

 瀬戸内海の島には、全国から保護された、子どもが集まる養護院がけっこうあって、僕の方言チャンポンは、そのせいや思う。

 ガン爺は、僕の里親。

 釣り船を生業にしとって、僕が将来引き継ぐんに手伝っとった。
 
 んでも、僕が釣り船をやる前にガン爺は亡ーなって、僕は又1人ん、なった。


「アマネ、今すぐ答えを出さなくてもいい。全員、正解がまだ、わからないんだからな。」

 ガイドのおかんが甲斐甲斐しく、お堅し医者長男の竿に餌ぁ付けては、釣れたら針ぃ外して処理してんのを、ガキんちょみたくなされるがまんまポーズで、義理兄は僕に 呟いてくる。

「医者の貴方が言うんですか。さっき聞かれましたよ、カレンさんは臓器提供カードを持ってないですかって。」

 今ん僕の顔は、えげつ意地の悪い顔しとるんや思う。

 だから、そんな風に義長兄ん後ろに、立たんでくれよ。

「カ、レン、、」

 後ろ姿なんに、まるで兄さんを責めんなって言われとんみたいやから、、

 ほんの数時間前の病室で、僕に状況を話す義長兄の後ろに突然あらわれた、後ろ姿の妻。

 別室で宿直医から説明を受けている間も、その後ろには、後ろ姿の妻が 立っていた。

 本当は、あのベッドで人工呼吸器や人口栄養やを受けているはずの妻が。


『・・・少し考えさせて下さい』

 ずっとマンションん部屋から動かなかんかった、後ろ姿の妻。

 ここに来てよ、急に現れたんは、一体、何を言いたいん?、、

 僕は色々堪らんなって深夜、義長兄と部屋を出た。

『一旦外に出るか?アマネ。時間外の病院は、ただでさえ息が詰まるだろ。』

 救急のサイレンが響くのを背中に、言われるまま玄関出ると、自動販売機で買った缶コーヒーを、僕に見せて、

『お前、こっちの出だろ?ちょっと気分転換に車だしてくれよ。コーヒーやるから。』

 そんまま緩いコーヒー。
 ぶん投げてきたから仕方なく、近くのレトロ港駅に車を走らせた。

 確かに、そん時は糞義長兄と2人だったのだ。



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