島の家を相続した!!~人生100年というが、どうする?!~

サイケ ミカ

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母、見送り、わたし達

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久しぶりに渡る島で、
高台から見下ろす海は、今日も一際綺麗に見える。

ピーヒョロローーーーーーーーーー、、
 


「あーーー、とんび。だねーーー。」

都会では 殆ど見ることのない鳶。

「島、といえば必ずコイツらの鳴き声がセットだねーー。」



島の祖母の家。

夏休みになると朝、
家の中に居るのに陽光と共に
鳶の声で目が覚めるのだ。

小学校からの島の記憶には、
いつも鳶が飛んでいる。


「いやいや、悠長長閑な朝みたいな体じゃないでしょ、、もう、一体なんなの!!もう、感情が追いつかないって、」

「水入れ、よけてくれ。」



いつかの伯母の骨納風景アゲイン!

脳内富士山のテッペン仙人の妹が、
口を開けながら空を見上げる隣で、
父はせっせと墓の水入れを動かしていて、
その隣で頭を抱える、わたし。

妹が
母の真っ白い骨をガーゼ袋に、入れ替えて笑う。

「あはは!ダンディが墓石持って吠えてる。」

「はよしてくれ、虫が上がる。」

小さいガーゼを妹が箸でつまんで、
水入れの隙間から、、

墓へポトリと落とした。



「掃除しないとな。」

「あんな嵐だったんだもん!てか、よく島に渡れたよねー!しかもタクシーが舟になってるし、ポニョかって?!」



見渡せば、
墓の周りは枝やら落ち葉が大散乱している。

それもそのはず、昨日は急な嵐で、
島へ渡るのもギリギリセーフだったのだ。

しかも!島に入ってからが酷かった!!

集落まではどうしても海沿いを走るから、
防波堤から波が風で巻き上げられて、
当にカールしてくる。

サーフィンでいうところの
チューブライディング状態!

トンネルとなるグリーンルームに
入りきればいいけれど、
巻き上げた波が、
タクシーの屋根に滝行みたく打ち落ちてくるのだから
たまったもんじゃない!!

ドゴォォォォォォォォォォォォンンンんんー

との爆音を頭に聞きながら、

『運転手さん!ホントに車が泳いますけど?!』

『こんぐらりゃ走らせんなんど、ここらでタクら回せんど?おおげさやぉ?大丈夫、大丈夫!!』

『死ぬーーポ◯ョーー!!』

『・・・・・』


本気で波に浚われると、
タクシーで母の骨壺を抱えて、ギャーギャー騒ぐ
わたしと妹を他所に、
父は始終無言というシュールな帰省を
果たす事になったのも、
一重に父が、、

『休みがここしか取れない。』

と言い張ったからだ。

わかっている。わかっているよ?

嘱託の身分で忌休暇も取りにくいのは、
叔母の時の再びアゲイン話だよ?!

だからって!!台風来るのに島渡る?!!
ポーニョ♪ポーニョポーニョ、、、

「じゃあ、お姉ぇ、先生でお経ね。」

ポー◯ョポー◯ョポー◯ョポー◯ョポー◯ョ

さすがに妹も、
手慣れた具合いに段取りも記憶して
軽ーく回していくが、
さっきからちょくちょくイジってくる。

「先生って、、」

昨日の嵐の帰郷は別にしても、


島の伯母の葬儀から、
実に1年のうちに4回めの葬儀ともなると、
嫌でも段取り良くなる。

パンデミック禍の余波は身内にも容赦なく押し寄せ、
結局父の喧嘩ばかりの姉達2人は亡くなった。

大変だった。

何にせ、例の妹叔母が亡くなった時。

故人の人柄を司会が読んだ途端に、
全員が余りの偽装文章具合に反吐が出そうになり、

挙げ句やはり妹叔母の通帳から、
2000万以上の隠し金が出て来た。

間違いなく島の伯母の遺産1部とみる。

さすがに良心が咎めたのか長男が
返すと言い出したけど、

その背後で恨めしそうにするDV次男の視線が
尋常でなく、
申し出を父は放棄した。

あのままいけば、
きっと第3の犬神家案件になっていたにちがいない。

なにせ、次男の家庭内暴力で
そこの長女は家出しているのだから。
お金で刺されたりしたら、目も当てられない、、




それからパンデミック禍そのもので
亡くなった叔父の、

葬儀さえ出せない事態を、
さらに段取りしなくてはならなかった。


そしてあの日。

母は2次被害で亡くなる。

無理繰り救急隊員の方が
来てくれて、搬送した病院は
遠方の入院予定の病院ではなく、
普段通っていた総合救急病院だ。

機転を効かせてくれた隊員の方は、
近くで搬送して
往診医師が出張看取りをする事で、
警察の検屍に回るのを食い止めてくれた。

ありがたい気持ちしかない。

カトリック系ホスピタルでもあった
掛かり付け病院で、
館内放送の讃美歌が聞こえる中、
死化粧を看護師さんがしてくれる。

そんな中で、
葬儀屋さんに電話をした時には、
もう気持ちに整理はついた。

「先生って、まさかあんな風に言われるとか思わなかったけどね。親父さまはダンディとか言われるし、まあ、リップサービスかな。」

もう、母の葬儀屋は決まっていたから、
すぐにお通夜だと思いきや、

パンデミック禍で火葬場が満杯。

1週間、家で母を安置する事になる。
よく死化粧を看護師さんがしてくれたもんだ!!
でなきゃだよ?!

そんなこんなで
まさかの、父は朝に生きた母を見て、
帰れば
亡くなった母を目の前にしつつ
夕飯を食べるトリッキーな状態。

尚且つ次の日には、
セレモニーホールへ母の柩をセレクトし、
祭壇のデザインを見学するという
謎の余裕喪主の風格を出していた。

しかも!柩をピ、ピンクだと!!
 
意外な父の母への愛を見た気がする。

しかも慣れてくると母の遺体を見ながら、
お茶を飲み交わして、
葬儀の挨拶を練習する始末。

ファンタジーを、通り越してホラーっぽい。
もはやポッターっぽい。

『今まで数々御縁をいただきましたが、お父様や娘さん方のように ゆったりとした、お式の打合せは初めてですよ。お父様はダンディな雰囲気ですし。まさか、お嬢様がお経の御導師様をされるなんて、もしかして大学で先生とかされてますか?』

セレモニーコーディネーターが云う大学とは仏教大学の読経講師だ。

彼女曰く、わたしの読経時間が式スケジュール上
きっちり時間内で同じピッチだったらしい。

違います。単に
葬儀にだけ悟りの境地を得ただけの一般人です。
はい。

結局、
祖母の時は母が、
母の分は、わたしが
お経を読んだ。

パンデミック禍で僧侶を呼べなかったのだ。
こんな事がホントにあるのか、、

故に自分達で母を送ったことになる。

ここまでくると
なんだかやりたい事をした。


まず骨壺と遺影は桜柄にした。

通夜膳や式前膳になる朝食は豪華料亭風にした。

母がベッドで切り貼りした
島の家ノート達を思い出展示した。

メモリアルキャンドルサービスは白い薔薇で囲んだ。

母の生い立ちからを映像にして読経の後に流した。

ピアノ生演奏で、某アイドル◯◯男子の曲を
出棺の曲にした。

香典返しの品を名店で買って
自分達で組んでラッピングしたものを
当日参列者に渡した。

お礼のカードを1つ1つ手書きにした。

きっと今の流行りとは逆行している葬儀になったし、
1週間葬儀の準備が出来る奇跡を貰えたお陰で

『お葬儀式そのもの』に向き合い切れた結果が、
ゆったりした雰囲気になったのだろう。

母の葬儀に何の悔い無し!!

そうして
母の葬儀後処理も、パックになっていた
相続センターにお願いをして、骨壺収めに
島へと来たのだ。

ピーヒョロロ、、

お経を3人で終えて
散乱した落ち葉などの掃除をする。

珍しく父が
隣の本家の墓も掃除を始めた。

「まさか、美容院のママが亡くなってたなんて思いもしなかったしね、、何があるかだよ。」

「でもさー、本望だよー。パーマ巻いてる時、そのまま亡くなったみたいなもんでさー。」

そうなのだ。
さっき、久しぶりに顔を出した美容院で、
いつものママの顔はなく、
チイママが1人で奮闘していた。

『店やっとったらよぉ、急に腹ば痛いいいよって、ほんなら奥で横なれよぉいうてやっただあ?しまいに口から血い出してから、そのまんま。』

チイママは相変わらず世間話みたいな感じで、
なかなかな
ママの最期を話してくれた。

今までは互いに髪を切り合って
セットしてきたが、
もう自分の髪を切ってくれる人が
いないと笑うチイママが泣いてみえた。  

でもママも本望だったろう。

最後の最後まで
美容師でありながら、店で常連さんと
レジーナに囲まれて。

「あのママもええ年やったからな。」

本家の墓を掃除し終えた父が徐ろに言う。

本家の墓は、海軍で戦死した長男を偲ぶ
大きな碑が やたら青い空に聳える。

「親父は、島に戻りたいとかないの?」

島の暮しは昨日みたいな天候に、とても左右される。

島から出た人間は、その記憶が濃いと
海から離れた陸や山間を選んで暮らすほどに。

「もう、戻らない。」

けれど
父は海が見える場所に家を構えた。
そこから遠くても島に繋がる海がある。

「お姉えは?」

「出来たら、ゆくゆくお祖母ちゃんがしてた駄菓子屋をしながら、向かいのお好み焼きと、隣の倉庫を島のギャラリーにして開けたい。観光客さんに手作り体験とかしてさ。永住の前にサブスク的に、2重の住処にね。」

きっとまだ
わたしは若いのだ。

ある女優さんは、海外に移住していたのを
又日本に戻ってタワマン生活をすると話していた。

終の住処として、便利さと治安を選んだと。

片や、
都会の隣人さんは終の住処に、
自然を選んで
琵琶湖畔へと引っ越して行かれた。

今は、まだ
わたしは決められない。
 
「でも出来たら、今日の海も綺麗やねって、言い合いながら 逝きたいからなあ。」
 
ピーヒョロロ
  ピーヒョロロ、、、、

嵐が去った後の島は快晴で

ひときわ 海が綺麗だ。


終の住処に相続した島の家を選ぶか?

人生の合間に模索しながら

今日も 島に渡る。







※これにて 島の家を相続した!!をENDに
させてもらいます。
読んでいただき ありがとうございました。

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