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第3話 史上最悪の魔王、不殺の誓いを立てる-②
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不意打ちでなされた宣言の意味を、誰も、のみ込むことができず、しばらく固まっていた。
確かいま、だれも殺さないと宣言したーー?
自分の耳がおかしくなったのではないことを、確かめ合うように、隣の席を見合ったりしている。
当の本人は、場の困惑を気にすることなく、続ける。
「これはあくまで個人的な、今後の身の振り方について、の話だ。だから、他の魔族達は今まで通り、諸君らと戦争を続けるかもしれない。しかし、俺は一切関知しない」
ざわめきが、広がる。ターリはもう人を殺さない。聞き間違いではなかった。
だが、一体何のためにーー?
「和平の、申し込みなのですか?」
戸惑いから抜け出せないまま、女大司教が尋ねる。
「和平もなにも、もう二度と人を殺さないと言うんだ。例外はない。戦争を俺がけしかけることも今後一切ない」
「それで、見返りは?」
ある国の国王が今度は尋ねた。
彼の常識では、相手が有利な条件をだしたら、こちらも何か対価を払う必要があった。
「ない。これは一方的な宣言だ。きみらがこれを受けてどうしようが、関係ない。今回のように刺客を送られても、それなりの報復はするが、命は取らない」
「本当に、なにもないというのか?……何か裏があるのでは?」
「裏はある。細かいことは語らん」
ターリは裏があること自体はあっさりと認めつつ、続けた。
「だが、不殺の誓いは永遠に続くと保証しよう。信じなくても構わないが、言ったことは守る。俺は嘘をついたことはないんだ」
「だが、誓いを破ったとき、貴殿はなにか責任を取るのか?」
ちょうど真後ろに来たターリを振り返りながら、別の国の外務大臣が尋ねた。
いままで息を殺し、気配を消そうと必死だったのに、命が助かりそうだとわかると、にわかに調子づいた口の利き方になった。
「それも、ない。これは条約ではないからね。罰則がなくとも誓いが守られると、信じてもらうより他にない」
およそ、政治の場にはふさわしくない無茶苦茶な物言いだ。
「それでは、この宣言自体、口約束よりも信用の置けんものになってしまう。第一、誓いが守られていると、我々はどうやって確かめる。貴殿に監視をつける訳にもいくまい」
「それだがね。提案がある」
ターリは立ち止まると、近くにあったイスのフレームに寄りかかった。寄りかかられた方は縮み上がった。
「五〇〇年、俺は自分から封印されようじゃないか。そうすれば、少なくとも五〇〇年、人を食べることも、殺すことも出来ない」
この日、三度目になるざわめきが起こた。
いよいよターリの発言は意味不明、理解不能だった。
絶対強者が自ら封印される。
ここまでターリが「譲歩」してくる理由は何か。
「待って下さい。封印といってもどうやって。あなたには封印の術式が利かないはずです」
再び女大司教が訊いた。
魔族を封印する術式は存在する。
強い魔族に対しては、殺すよりも容易なので、よく使われる。
だが、ターリに対しては、それすら通用しないことは周知の事実だった。
「通常の術式を使えばそうなるが、あるんだよ。より強固で、崩すことが不可能な術式が」
古今の魔術に通じる彼女にはそこまで言えば通じたようだ。
「双伝術式を?」
「その通り。まだ双伝術式を知る者がいて良かった。話が早い」
双伝術式とは、まず封印される側が、自分から、結界を張る。
その後で、封印する側が外から結界を上塗りする。
通常の封印術式は、相手を一方的に封じ込める。
どれくらい封印するか、どうすれば解除されるか、などの条件も当然封じる側が決める。
そこに封じられる側の意志は関係ない。
対して、双伝術式は封印される方の協力がないと成立しない。
どのような条件で封印されるか、決定権はすべて、封じられる側にあり、封じる側がその条件に応じない限り封印できない。
封印される側が進んで封印される。なんとも不可思議な術式で、現在はまったく使われていない。
ではなぜ、こんな術式が開発されたのかといえば、それは四〇〇〇年前の時代に遡る。
太古の時代、国の王が死ぬと、その忠実な部下たちは、王の後を追って自殺したり、王と一緒の墓に入り、生き埋めにされる風習のある国があった。
そんな国で、王に殉じて死を決意した魔法使いが双伝術式を開発した。
この術式の特徴は、通常の封印の術式よりも、はるかに強力な結界ができる点にある。封印を解くことが出来るのは、封じられる側の指定した条件が満たされるまでだ。
目的の術式を完成させた、魔法使いは王の墓に入り、この術式を使った。
準備が整い、魔法使いが出した封印解除の条件は、
ーーなにもない。この墓は、永遠に封印されるーー
王の安らかな眠りを、墓荒らしや他国の侵略者など、無粋な者たちに、邪魔されないためだった。
こうして彼は、王や、殉死者となる同志たちとともに、結界の中に閉じ込められた。
「双伝術式による封印の強固さは、私も保証しましょう。これを使えば、ターリ、あなたでも五〇〇年、外に出ることはできないでしょう。ですが、」
女大司教はそう結論づけた上で、尋ねた。
「なぜ、そこまで譲歩するのですか。勝者の側である、あなたが?」
「答える気はない。これは交渉じゃない。何度でも言うが単なる宣言だ。きみたちがどうしようが関係ない。もしきみたちが俺を封印しないというなら、部下にでもやらせる」
今日、何度目かわからない沈黙が場を支配した。
だが今回の沈黙は、先ほどまでのように、絶望の色はなかった。
ターリの意図は不明なまま。
不気味さが、いまだにつきまとっているものの、この宣言自体は歓迎すべきことだった。
勇者ストラムたちは死に、その他の戦力も疲弊、このままではジリ貧。
その中で魔族の親玉が、自分から進んで表舞台から五〇〇年消える。
ターリが今までしてきた悪行が思い出される。
一個師団を消滅させたことや(全滅ではなく、消滅だ。遺体のひとつ見つからなかった)、上級魔族をあと少しで討ち取れる所で、ターリが助太刀に入ったせいで、討伐隊の方が死体になったことは、一度ではなかった。
そんな厄介者がいなくなれば、このあと人類が受ける恩恵は絶大だ。
場にいるそれぞれの者が、目線を交わしあう。
ーー問題は、なさそうだ。
ーー少なくとも、五〇〇年の平穏が約束される。
ーー裏があるとターリは言ったが、いずれにせよ、いま奴がこの世に存在することに比べれば、はるかにマシというもの。
そんな、無言の会話が聞こえてくるようだった。静かな会話は、短い間に発展し、急速に結論を出しつつあった。
一同の沈黙から、緊張感が急速に失われていく。
そんな時だった。
「冗談じゃない」
一人の鋭い怒声が場を切り裂いた。
確かいま、だれも殺さないと宣言したーー?
自分の耳がおかしくなったのではないことを、確かめ合うように、隣の席を見合ったりしている。
当の本人は、場の困惑を気にすることなく、続ける。
「これはあくまで個人的な、今後の身の振り方について、の話だ。だから、他の魔族達は今まで通り、諸君らと戦争を続けるかもしれない。しかし、俺は一切関知しない」
ざわめきが、広がる。ターリはもう人を殺さない。聞き間違いではなかった。
だが、一体何のためにーー?
「和平の、申し込みなのですか?」
戸惑いから抜け出せないまま、女大司教が尋ねる。
「和平もなにも、もう二度と人を殺さないと言うんだ。例外はない。戦争を俺がけしかけることも今後一切ない」
「それで、見返りは?」
ある国の国王が今度は尋ねた。
彼の常識では、相手が有利な条件をだしたら、こちらも何か対価を払う必要があった。
「ない。これは一方的な宣言だ。きみらがこれを受けてどうしようが、関係ない。今回のように刺客を送られても、それなりの報復はするが、命は取らない」
「本当に、なにもないというのか?……何か裏があるのでは?」
「裏はある。細かいことは語らん」
ターリは裏があること自体はあっさりと認めつつ、続けた。
「だが、不殺の誓いは永遠に続くと保証しよう。信じなくても構わないが、言ったことは守る。俺は嘘をついたことはないんだ」
「だが、誓いを破ったとき、貴殿はなにか責任を取るのか?」
ちょうど真後ろに来たターリを振り返りながら、別の国の外務大臣が尋ねた。
いままで息を殺し、気配を消そうと必死だったのに、命が助かりそうだとわかると、にわかに調子づいた口の利き方になった。
「それも、ない。これは条約ではないからね。罰則がなくとも誓いが守られると、信じてもらうより他にない」
およそ、政治の場にはふさわしくない無茶苦茶な物言いだ。
「それでは、この宣言自体、口約束よりも信用の置けんものになってしまう。第一、誓いが守られていると、我々はどうやって確かめる。貴殿に監視をつける訳にもいくまい」
「それだがね。提案がある」
ターリは立ち止まると、近くにあったイスのフレームに寄りかかった。寄りかかられた方は縮み上がった。
「五〇〇年、俺は自分から封印されようじゃないか。そうすれば、少なくとも五〇〇年、人を食べることも、殺すことも出来ない」
この日、三度目になるざわめきが起こた。
いよいよターリの発言は意味不明、理解不能だった。
絶対強者が自ら封印される。
ここまでターリが「譲歩」してくる理由は何か。
「待って下さい。封印といってもどうやって。あなたには封印の術式が利かないはずです」
再び女大司教が訊いた。
魔族を封印する術式は存在する。
強い魔族に対しては、殺すよりも容易なので、よく使われる。
だが、ターリに対しては、それすら通用しないことは周知の事実だった。
「通常の術式を使えばそうなるが、あるんだよ。より強固で、崩すことが不可能な術式が」
古今の魔術に通じる彼女にはそこまで言えば通じたようだ。
「双伝術式を?」
「その通り。まだ双伝術式を知る者がいて良かった。話が早い」
双伝術式とは、まず封印される側が、自分から、結界を張る。
その後で、封印する側が外から結界を上塗りする。
通常の封印術式は、相手を一方的に封じ込める。
どれくらい封印するか、どうすれば解除されるか、などの条件も当然封じる側が決める。
そこに封じられる側の意志は関係ない。
対して、双伝術式は封印される方の協力がないと成立しない。
どのような条件で封印されるか、決定権はすべて、封じられる側にあり、封じる側がその条件に応じない限り封印できない。
封印される側が進んで封印される。なんとも不可思議な術式で、現在はまったく使われていない。
ではなぜ、こんな術式が開発されたのかといえば、それは四〇〇〇年前の時代に遡る。
太古の時代、国の王が死ぬと、その忠実な部下たちは、王の後を追って自殺したり、王と一緒の墓に入り、生き埋めにされる風習のある国があった。
そんな国で、王に殉じて死を決意した魔法使いが双伝術式を開発した。
この術式の特徴は、通常の封印の術式よりも、はるかに強力な結界ができる点にある。封印を解くことが出来るのは、封じられる側の指定した条件が満たされるまでだ。
目的の術式を完成させた、魔法使いは王の墓に入り、この術式を使った。
準備が整い、魔法使いが出した封印解除の条件は、
ーーなにもない。この墓は、永遠に封印されるーー
王の安らかな眠りを、墓荒らしや他国の侵略者など、無粋な者たちに、邪魔されないためだった。
こうして彼は、王や、殉死者となる同志たちとともに、結界の中に閉じ込められた。
「双伝術式による封印の強固さは、私も保証しましょう。これを使えば、ターリ、あなたでも五〇〇年、外に出ることはできないでしょう。ですが、」
女大司教はそう結論づけた上で、尋ねた。
「なぜ、そこまで譲歩するのですか。勝者の側である、あなたが?」
「答える気はない。これは交渉じゃない。何度でも言うが単なる宣言だ。きみたちがどうしようが関係ない。もしきみたちが俺を封印しないというなら、部下にでもやらせる」
今日、何度目かわからない沈黙が場を支配した。
だが今回の沈黙は、先ほどまでのように、絶望の色はなかった。
ターリの意図は不明なまま。
不気味さが、いまだにつきまとっているものの、この宣言自体は歓迎すべきことだった。
勇者ストラムたちは死に、その他の戦力も疲弊、このままではジリ貧。
その中で魔族の親玉が、自分から進んで表舞台から五〇〇年消える。
ターリが今までしてきた悪行が思い出される。
一個師団を消滅させたことや(全滅ではなく、消滅だ。遺体のひとつ見つからなかった)、上級魔族をあと少しで討ち取れる所で、ターリが助太刀に入ったせいで、討伐隊の方が死体になったことは、一度ではなかった。
そんな厄介者がいなくなれば、このあと人類が受ける恩恵は絶大だ。
場にいるそれぞれの者が、目線を交わしあう。
ーー問題は、なさそうだ。
ーー少なくとも、五〇〇年の平穏が約束される。
ーー裏があるとターリは言ったが、いずれにせよ、いま奴がこの世に存在することに比べれば、はるかにマシというもの。
そんな、無言の会話が聞こえてくるようだった。静かな会話は、短い間に発展し、急速に結論を出しつつあった。
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