【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~

榊シロ

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151.赤い紙、青い紙①(怖さレベル:★★★)

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(怖さレベル:★★★:怖い話)
※終盤、少々残酷なシーン有り※

こうして、いろいろな怖い話を聞かせてもらって、おれも思い出しましたよ。
昔、幽霊に声をかけられた、ってことを。

……ええ、幽霊に、です。
つっても、おれは最初、まったく気がつきゃしなかったんですが。

ほら、聞いたことありません?
学校の怪談とかでよくある『赤い紙、青い紙』ってヤツ。

ホラー好きはピンとくるでしょう。
これは、学校のトイレの怪談です。

夕方、もしくは夜。
ひとりでトイレの個室に入ると、トイレのペーパーが切れている。

途方に暮れていると、便器の中から、

『赤い紙が欲しいか? 青い紙が欲しいか?』

と、不思議な声が聞こえてくる、って怪談です。

助かったと思って、どちらかの紙を答えたらアウト。

赤い紙と言うと、血まみれにされて殺される。
青い紙と言うと、血を抜かれて殺される、という、
なんとも理不尽な、逃れようのない恐ろしい話です。

どうやら、似たような話はいくつもあるらしく、
『赤い紙、青い紙』に足して『黄色い紙、白い紙』なんて、
バリエーションがあったりするみたいですね。

助かる方法としては『いらない』と答えるだとか、
無視してトイレから出る、などが一般的みたいですが、
『答えないと殺される』という場合もあるらしく、
聞かれた時点で助からない、という、まぁなんとも恐ろしい怪談です。

まあ、おれとしては、
聞かれた時点で助からないのなら、怪談として広まってるのは矛盾してるだろ、
とか思ってしまって、ほとんど信じちゃいませんでしたけど。

でも……ま、その『赤い紙、青い紙』の怪談、あったんですよ。
うちの地区内の、ふるーい公民館にね。

ええ、学校、じゃないんですよ。
なぜか、その公民館が、ウワサの出所だったんです。

うちの地区には育成会っていう子どもたちの集まりがあって、
ボランティア活動をやったり、盆踊りや太鼓たたきの練習したりっていうのがあったんです。

うちは親がそういう地域活動に熱心なタチだったので、
おれももれなくそこに入れられました。

ボランティア活動以外にも、
ポートボールやら野球の練習やら、放課後や休みの日に駆り出され、
小学校に入っている期間、いろいろ体験させられました。

で、その育成会のメイン活動場所が、
例のその公民館だったわけなんですよ。

ここがまぁ、壁に軽いひび割れが入ってたり、
ちょっとツタが張ってたり、クモの巣もすごいわで、
いかにも古くから使ってます、ってばかりに年季が入った施設。

いかにも、幽霊が出ますよ~って感じの公民館だったわけです。

実際、夏場になると育成会のメンバーで肝試しをやるんですが、
この古臭い公民館がそのまま、メイン会場になります。

その時ばかりは、違う地区の子どもたちまで呼び込んで、
かなり盛大にやるんですよ。

『あの公民館は出る』なんて言われてましたけど、
実際にホンモノを見たヤツはいなくって、
おれたちは、ただ雰囲気を楽しんでただけですけどね。

――あの時、までは。

……さっきも言った通り、うちの公民館のトイレにはウワサがあってね。
例の『赤い紙、青い紙』のウワサが。

まあ、おれは当然、信じちゃいませんでした。

怖い話のまとめサイトにも腐るほど載ってる話だし、
学校の七不思議でもド定番の話でしょう?

面白がった誰かが、テキトーに流しただけの、
ただの作り話だろ、ってね。

おれは小さい頃から、スレた可愛くないガキだったから、
この手の怪談話、はなからバカにしてました。

……ま、あんなことを体験しちまったせいで、
怖い話はすべてウソ、なんてこと、言えなくなっちまったんですが、ね。

ええ……あれは、おれが丁度、6年生になった年の、夏のことです。

もうちょっとで小学校を卒業する、ってことで、
育成会も、最後の年になりましてね。

今までは企画側だった肝試しも、
最終学年になると、もてなされる側になるんです。

そんで、その年の肝試しのテーマが、
例の『赤い紙、青い紙』だったんですよ。

肝試しの内容としては、以下の通り。

・公民館の入口からぐるっと一周してトイレに入る
・トイレの個室に置かれている赤い紙か青い紙のトイレットペーパーを取る
・公民館の外へ出て、終了

もちろん、公民館内にはお化け役の子どもが潜んでいて、
簡単には取って戻れないようになっています。

ちなみに、過去のテーマと言うと、
『公民館の13階段』、『空き部屋に潜む花子さん』などなど。

これは毎年、育成会の大人たちが考えていました。

でも、さっきも言った通り、おれはスレたガキでして、

(ホントになんか起きてたら、とっくにこの公民館取り壊されてんだろ)

と、まったく怪談を信じていませんでした。

とはいえ、毎年、この肝試しは大盛況です。

今年は特に、もともとウワサされていた
『赤い紙、青い紙』がテーマということで、
なんと、例年の倍の参加者数になってしまって。

あんまり参加人数が多いと、怖いものも怖くなくなるな、なんてこぼしていたら、
どうやらそれが大人の耳に入ったらしく、おれは改まって声をかけられました。

『お前、肝試しのオオトリな』と。

ええ……なんと、一番最後の挑戦者に抜擢されちまったんですよ。

それでも、おれは強気でした。
年下のヤツらのおどろかしなんて、取るに足らねぇ、って。

幽霊なんて信じちゃいないし、
今までは脅かし役として参加していたんです。

だから当日、先に行ったヤツらが半べそかいて帰ってきたり、
怖さに途中棄権したり、キャーキャー騒ぎつつ出てくるのをからかったりしつつ、
おれは悠長に順番を待っていました。

「こ……怖そうだね、たっくん……!」
「なにが『怖い』だよ、バーカ。こんなんへっちゃらだっての」

おれを『たっくん』と呼ぶのは、
同じ小学六年生の三ノ田(みのだ)というヤツでした。

同じ育成会の仲間なものの、
すごくビビりで、いつもおれの背中に隠れてるようなタイプです。

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