ワケアリな後輩達しかいないクランを押し付けられました

夜納木ナヤ

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火の国のクエスト

火の国クエスト2

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「お待ちしていました!クラン・スイレンの皆様!」

 俺たちを見るなり、着物の女の子が駆け寄ってきた。
 身長はミキと同じぐらい。
 黒く長い髪は綺麗に整えられていて、落ち着いている印象だ。

「これはどうも、ギルドの方ですか?」
「失礼いたしました。私はここの受付嬢をしております、ホムラと申します」

 その場で両膝をつくと、地面に手を着き、頭を下げてくる。
 それからゆっくりと立ち上がった。

「こ、これはご丁寧にどうも…それで、どうして俺たちがスイレンだと?」
「見ればわかりますよ。剣を携え、凛とした立ち振舞いの黒髪の女術師。さらには人より強力な炎の妖精の加護をまとっているとなれば、それは、炎の女剣士・リナ様に違いありません!」

 目をキラキラと輝かせると、俺たちの横を通り過ぎ、リナの手を取った。
 
 前言撤回。
 落ち着いていそうなのは、気のせいだったようだ。

「私、リナさんのファンなんです!」
「そ、それはどうも……」
「かっこいいです!」
「ど、どうも……」
「それからそれから……」

 リナは困り果てて、助けを求めてくる。
 戸惑う姿なんて珍しいからもうちょっと見ていたい気もしたが、このままで話が進まないから仕方ない。

「ホムラさん」
「はいっ、なんでしょうっ。もしや、スイレンのリーダーさんも、リナさんの魅力を語りたいとかっ」

 キラキラした目は、今度は俺に向けられる。
 これは……イタズラ真っ最中のエミリと同じ目だ。

 一歩間違うと駄々っ子になり、話を聞いてくれない。

「それは魅力的ではあるが」
「魅力的なのか……」
「リナちゃんずるい!」
「私の魅力も語ってくれてていいのですよ?」

 ホムラさんと話しているはずなのに外野がうるさい。

「それよりも、今回のクエストのことを教えてほしいのですが」
「おっとそうでした忘れていました。あ、リーダーさんって私よりも年上ですよね?」
「おそらく」

 ホムラさんの年は20手前、リナと同い年ぐらいだろう
 そして俺はリナの2つ上だ。
 
「では私のことはホムラとお呼びください。敬語も結構ですよ」
「分かったよホムラ。実は俺もリーダーと呼ばれるのは好きじゃなくてね。出来たら別の呼び方がいいんだけど」
「そうでしたか。お名前は何というのですか?」
「ケイゴ」

 名乗った俺に、ホムラは微妙な顔をした。
 そんなにおかしな名前だったか?

「申し訳ございません、流石に敬語を止めるわけには…」

 あーそういう……どうやら敬語をやめろって意味だととらえられたらしい。

「違う違う。ケイゴ。それが俺の名前だ」
「名前……?これは失礼しました。それではケイゴ様と……」

 言いながらホムラは固まった。
 前から、後ろから、斜めから、三人が同時に睨みつける。

「えーっと……皆様はなんとお呼びしているのでしょうか……?」
「それを聞いちゃいますか」

 よくある質問トップ5に入るのだが、毎回返答に困る。
 だってよ、どう考えても俺の趣味にしか聞こえないだろ?

「先輩」
「先輩です」
「先輩ね」

 ホムラの冷たい目が俺に突き刺さる。
 ほらね、やっぱりこうなった。

「えーっと……私も先輩とお呼びしたほうが?」
「やめてくれ…」

 このやりとりだけでどっと疲れが来た。
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