ワケアリな後輩達しかいないクランを押し付けられました

夜納木ナヤ

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火の国のクエスト

火の国のクエスト6

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「ところで先輩、2人にどんな顔をして会えばいいのか分からない。私のワガママで不快に思ってはいないだろうか」

 歩いていると、リナはポツリと言った。

「考えすぎだ。エミリにはそんな発想はないだろうし、ミキに至っては心配して泣いているかもしれないぞ」

 ちょっと大袈裟に言うと、リサは笑った。

「そうだな。ミキを泣かせるのは可愛そうだ」
「エミリはいいのかよ」
「気にしていないのだろう?」
「それもそうだ」

 そういえば2人に饅頭を買い忘れたなとか思ったが、リナの顔を見ていたらどうでもよくなってきた。

 3人が揃っているときには、最年長のリナはお姉さん役だ。
 いつも真っすぐ前を向き、ふたりをを引っ張っていく。

 その姿に、俺も何度も助けられてきた。

 だが今のリナからは、そんな頼もしさは感じない。
 隣を歩くその横顔は少し俯いていて、歩く速度もいつもの半分だ。
 
 まるでこの時間を噛み締めるかのように、ゆっくりと時間をかけて進んでいく。
 
 リナがどう感じているのか分からない。だが俺にははっきりと伝わってきた。
 リナの温もりと彼女の中を流れる異能の力が。

「実はな、ホタルを見られるのは少しばかり楽しみなんだ」

 リナが自分から過去の話をすることは珍しい。
 あったとしても苦しみを吐き出す時で、その声はいつも沈んでいた。

「あの場所には辛い思い出もあるが、それを吹き飛ばしてくれるぐらいに綺麗なんだ」

 けれど今は、はっきり前を向いていた。

「炎の妖精の使い。伊達にそう呼ばれてはいないってわけか」

 いっそのこと、辛い思い出なんて燃やし尽くして、忘れられたらいいんだけどな。

「リナ、最後にいいか」

 ギルドを目前にして、俺達は裏の道に入った。

「本当にここでするのか?誰か見られたりしないか?」
「見知らぬ誰かに見られるのと、見知った二人に見られるの。どっちがいい?」
「むむむ……ここで、頼む……」

 繋いだ手を離すと、背中に手を回し、リナの体を引き寄せる。
 いつもは大きく見えている姿も、いざ抱きしめると一人の少女だ。

「なんか言った方がいいか?」
「早く済ませてくれ……」

 密着して分からないが、顔は真っ赤に違いない。
 体内を流れる力の脈流が、早くなっているのが伝わってくる。

「いただきます」
「は、早くっ」

 セリフなんていらないんだろうけど、言ったあとの反応が可愛くていつも言ってしまう。

 それからそっと、リナの首元に口づけをする。

「あっ」 

 その刹那、全身に力が宿る。
 リナの体の脈流と同じ流れが、俺の体内にも生み出される。

 よし、準備は万端だ。そっと唇を離すと、リナの目はとろけ、意識を失いかけていた。
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