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第二章 勝負の三年間 一年生編
第十二話 「たまたまですよ…!」
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前半八分、岩浜西高校はドリブルで山取東高校陣地へ。ペナルティーエリア手前で九番の選手が右足でボールを収め、周囲を見渡す。
何かを警戒するような眼差しは一人の選手へ向けられる。
視線の先に映る選手はゴールエリア内で統制をとる。彼女の言葉で九人のフィールドプレーヤーはゾーンを敷くように位置をとる。
パスコースを塞ぐ作戦だ。
九番の選手はパスコースを見つけることができず、ドリブルを仕掛ける。同時に、山取東高校のフィールドプレーヤーはラインを下げる。
ゴール前を上手く塞いだ山取東高校。九番の選手はシュートを放とうとしたが、サポートへ回った十番の選手へパスを送る。ボールを受け、十番の選手は揺さぶるようなドリブルでペナルティーエリア内へ。そして、右足を振り抜く。
僅かなスペースを見逃さなかった。
ボールは枠を捉え、GKの小谷松美佳が左上に跳ぶ。そして、左手でパンチング。ボールはペナルティーエリアの外へ。
ボールはまだ生きており、岩浜西高校の七番の選手が拾う。彼女のマークにつく綾乃。
「来たか…!」と言うように七番の選手は綾乃の目を見る。
「ふぅ…」と気合を入れるような表情を作り、七番の選手に動きを注視する綾乃。
周囲が静まり返る。
七番の選手は右足から左足へボールを持ち替える。綾乃は静止。
しばらく睨み合い、七番の選手が先に動く。
同時に、綾乃は右にほんの少し動く。すると、ボールは綾乃の右足つま先に当たり、転がる。七番の選手がボールを追う。
綾乃も。
一瞬早く、七番の選手の脚がボールに伸びる。
苦い表情を壁る綾乃。しかし、それは一瞬だけ。
「サイドを広く使え!」
ベンチから宮城の声。
ボールを拾ったのは鈴恵。彼女の視線の先には綾乃。
鈴恵の右足からボールが転がる。
ディフェンスの間を縫うようなパスは綾乃へと繋がる。
すると、再び校舎から声援が。
ボールを受けた綾乃は中央から左サイドへ。そして、ドリブルで駆け上がる。
七番の選手がしつこく綾乃をマーク。しかし、綾乃は突き進む。
左サイド深くまで進んだ綾乃。ライン際での七番の選手との攻防。右足を出し、ボールを奪おうとする七番の選手。綾乃は上手くキープし、奪わせない。
真希がサポートへ回る。綾乃は真希へ視線を向ける。しかし、真希に六番の選手がマークに。パスコースは塞がれてしまう。
再び、真希へ視線を向ける綾乃。七番の選手は視線を動かさない。
すると、ゴール前に走る選手が一人。綾乃はその選手の動きが目に入った瞬間、高いボールをピッチ中央へ。七番の選手はボールの行方を目で追う。
ボールに先に触ったのは…。
綾乃がボールを上げた数秒後、山取東高校の選手が声を上げる。
「すずちゃん!」
真希の声。
そして、続々と山取東高校のフィールドプレーヤーが鈴恵の元へ集まる。
手荒い祝福に笑顔で応える鈴恵。
綾乃は微笑みながらゆっくりとした足取りで鈴恵の元へ。そして、ハイタッチを交わす。
「ナイスパス!」
笑顔の鈴恵。
「何とか上げることができました」
照れるように応える綾乃。
「まだまだ分からない時間です。もっと点を獲りにいきましょう」
「うん!」
綾乃の言葉に頷く鈴恵。
二人はポジションへ戻る。
綾乃はふと、校舎へ視線を移す。すると、綾乃を見つめ、笑顔で手を叩く潤の姿が。
綾乃は頭を下げ、応える。
「たまたまですよ…!」
囁くような声で潤に言葉を届ける。
視線をセンターサークルへ向ける綾乃。同時に、岩浜西高校ボールで試合が再開。綾乃は小さく頷き、ボールを奪いに駆け出した。
何かを警戒するような眼差しは一人の選手へ向けられる。
視線の先に映る選手はゴールエリア内で統制をとる。彼女の言葉で九人のフィールドプレーヤーはゾーンを敷くように位置をとる。
パスコースを塞ぐ作戦だ。
九番の選手はパスコースを見つけることができず、ドリブルを仕掛ける。同時に、山取東高校のフィールドプレーヤーはラインを下げる。
ゴール前を上手く塞いだ山取東高校。九番の選手はシュートを放とうとしたが、サポートへ回った十番の選手へパスを送る。ボールを受け、十番の選手は揺さぶるようなドリブルでペナルティーエリア内へ。そして、右足を振り抜く。
僅かなスペースを見逃さなかった。
ボールは枠を捉え、GKの小谷松美佳が左上に跳ぶ。そして、左手でパンチング。ボールはペナルティーエリアの外へ。
ボールはまだ生きており、岩浜西高校の七番の選手が拾う。彼女のマークにつく綾乃。
「来たか…!」と言うように七番の選手は綾乃の目を見る。
「ふぅ…」と気合を入れるような表情を作り、七番の選手に動きを注視する綾乃。
周囲が静まり返る。
七番の選手は右足から左足へボールを持ち替える。綾乃は静止。
しばらく睨み合い、七番の選手が先に動く。
同時に、綾乃は右にほんの少し動く。すると、ボールは綾乃の右足つま先に当たり、転がる。七番の選手がボールを追う。
綾乃も。
一瞬早く、七番の選手の脚がボールに伸びる。
苦い表情を壁る綾乃。しかし、それは一瞬だけ。
「サイドを広く使え!」
ベンチから宮城の声。
ボールを拾ったのは鈴恵。彼女の視線の先には綾乃。
鈴恵の右足からボールが転がる。
ディフェンスの間を縫うようなパスは綾乃へと繋がる。
すると、再び校舎から声援が。
ボールを受けた綾乃は中央から左サイドへ。そして、ドリブルで駆け上がる。
七番の選手がしつこく綾乃をマーク。しかし、綾乃は突き進む。
左サイド深くまで進んだ綾乃。ライン際での七番の選手との攻防。右足を出し、ボールを奪おうとする七番の選手。綾乃は上手くキープし、奪わせない。
真希がサポートへ回る。綾乃は真希へ視線を向ける。しかし、真希に六番の選手がマークに。パスコースは塞がれてしまう。
再び、真希へ視線を向ける綾乃。七番の選手は視線を動かさない。
すると、ゴール前に走る選手が一人。綾乃はその選手の動きが目に入った瞬間、高いボールをピッチ中央へ。七番の選手はボールの行方を目で追う。
ボールに先に触ったのは…。
綾乃がボールを上げた数秒後、山取東高校の選手が声を上げる。
「すずちゃん!」
真希の声。
そして、続々と山取東高校のフィールドプレーヤーが鈴恵の元へ集まる。
手荒い祝福に笑顔で応える鈴恵。
綾乃は微笑みながらゆっくりとした足取りで鈴恵の元へ。そして、ハイタッチを交わす。
「ナイスパス!」
笑顔の鈴恵。
「何とか上げることができました」
照れるように応える綾乃。
「まだまだ分からない時間です。もっと点を獲りにいきましょう」
「うん!」
綾乃の言葉に頷く鈴恵。
二人はポジションへ戻る。
綾乃はふと、校舎へ視線を移す。すると、綾乃を見つめ、笑顔で手を叩く潤の姿が。
綾乃は頭を下げ、応える。
「たまたまですよ…!」
囁くような声で潤に言葉を届ける。
視線をセンターサークルへ向ける綾乃。同時に、岩浜西高校ボールで試合が再開。綾乃は小さく頷き、ボールを奪いに駆け出した。
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