Toward a dream 〜とあるお嬢様の挑戦〜

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最終章 勝負の三年間 三年生編

第十四話 高校総体優勝を目指して

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 五月十五日、山取東高校女子サッカー部は高校総体地区大会で岩浜西いわはまにし高校に四対〇で勝利し、県大会出場を決めた。

 着替えを済ませ、試合会場を出た綾乃は鈴江とともに、最寄り駅である岩浜駅に歩みを進める。


 「来月、県大会だね。昨年度の冬の選手権で全国大会に出場したからプレッシャーはあるけど、それをバネにしないと」


 鈴江の言葉に綾乃は頷く。


 山取東高校女子サッカー部は前年度の冬の選手権大会全国大会で快進撃を見せ、多くのサッカーファンにその名を知らしめた。

 
 「プレッシャーは潤にだってあるはず。前年度の高校総体、冬の選手権で唯一、下級生でメンバー入りを果たして、大きな活躍を見せたんだもん。潤の活躍、男子サッカー部の躍進にとても刺激を受けた。今度は、私達が潤に活躍を見せる番だよね」


 「ええ。私達も負けていられません」


 鈴江の言葉にこたえた綾乃は気合いを入れるように、右手に握り拳を作る。

 
 二人はその後、サッカーの話題に花を咲かせ、岩浜駅に続く歩道を歩む。

 その道中、車道を挟んだ向かいの歩道で携帯電話を右手に握り、通話するスーツ姿の男性が綾乃と鈴江の瞳に映るが、特に気にすることなく歩みを進める。

 
 「まずは、高校総体優勝を目指して勝ち進むのみ。ですね」
 

 綾乃が凛々しい声を発すると、鈴江がゆっくりと頷く。


 「頑張ろう、綾乃ちゃん」


 綾乃は鈴江の言葉に頷く。


 同時に、追い風なのか、誰かからのメッセージなのか、二人の背後からやさしい風が吹き抜けていった。
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