27 / 113
グレーゲル1
しおりを挟む
2人に教えてもらったおすすめの宿に入る。
この宿はいつも2人を心配して声をかけてくれる老夫婦が営んでいる宿らしく、こじんまりとしているが雰囲気がよく落ち着いた宿だ。
小型なら従魔も預かってくれるそうなのでノアは外の小屋へ預けた。
「ロルフとミルルの紹介で来ました。とりあえず2泊お願いします」
受付にいたシルバーヘアの優しげでふくよかな女性に声をかけると、「まぁ! あの2人からの!」と嬉しそうだ。
「お友達かしら?」と聞かれたが、2人が魔物に襲われたと知ったら心配するだろうから、この町に来る途中で素材採取から帰る2人と知り合い町を案内してもらったと話す。
色々と省いて説明したがニコニコと聞いていたので問題はないだろう。
「部屋は2階の奥の部屋で鍵はこれよ。食事は1階に降りてきて食堂で食べてね」
ロルフとミルルからこの町は港町だから夕食には新鮮な魚介類が出ると聞いてとても楽しみにしていたのだ。
「美味しい!」
楽しみにしていた夕飯は魚介類のズッペとパン、サラダだった。
このズッペ、魚介類の味がギュッと濃厚で控えめに言っても最高だ。
「そんなに美味しそうに食べてもらえて嬉しいねぇ。このズッペは料理人の夫の得意料理なのよ」
この宿では奥さんが接客、旦那さんが料理を担当しているらしい。
宿の食事とは別でお金を払うので鍋ごとズッペを買えないか頼んだら「そんなに気に入ってくれて嬉しいわ」とあっさりOKしてくれた。
出来るだけ多くほしいと言ったら「そんなに!?」と驚かれたがアイテムボックス持ちだと言ったら納得してくれたようだ。
普段の仕事の合間に作るのを考えると鍋3杯までならというので2日後に宿を出るときに鍋3杯分受け取ることにした。
ふっふっふっ、これでこの町を出た後もしばらくはこの美味しいズッペを堪能できるわ。
『さ、ノア、行きましょう!』
今日は丸一日買い物の日だ。
この町を出たら大森林に入るので必要なものを買い込まなくてはいけない。
『なにを買うんだ?』
ノアは今までその身一つで大森林で生活していたので必要なものと言っても特に思いつかないようだ。
『まず調味料を含めた食料でしょ。あと野営道具も買い足さなきゃ。あ、あとノアのお友達にもお土産が必要よね!』
そう言うとノアは不満そうに私に乗って行けばすぐだぞ。私が飛べることを忘れていないか? と言う。
『確かにノアに乗って行けばすぐだけど、隣国に行った後の費用もできればもう少し用意しておきたいから歩いて狩りをしながら進みたいの。大森林なら高額で買い取ってもらえるような強い魔物も多いし。大森林は普通なら歩いて1ヶ月くらいだけど、私とノアなら10日くらいで通り抜け出来ると思うわ!』
そうきちんと説明してあげると自分に乗れるのを忘れられた訳じゃないと知り、今度は「強い魔物を狩ってやる!」と急にご機嫌になった。
『まずはあそこにあるパン屋さんに行きましょう。2週間分のパンを買い込まないと!』
そこにあるパン屋さんはロルフとミルルおすすめのパン屋さんだ。
町にあるパン屋さんの中でも特に美味しいと地元の人に人気らしい。
ノアは連れては入れないので入り口近くの木に止まって待っててもらう。
カランコロン
「いらっしゃいませ!」
店に入ると若い女性が店番をしていてる。
ハキハキしていて笑顔が素敵な人だ。
「パンをたくさん買いたいんですが可能ですか?」
人気店なだけあってまとめ買いする人が他にもいるのかあっさり「大丈夫ですよ。おいくつですか?」と聞かれる。
大森林だし何があるかわからない。念のため多めに買っておこう。
「とりあえず200個お願いします」
「にひゃ!? わ、わかりました。ちょっとお父さんに確認してきますね」
お父さんが店主なのだろうか。思ったよりも数が多かったらしく奥に確認しに行ってしまった。
少しするとガッチリとした男の人が店員さんと一緒に出てくる。
「パンを200個買いたいってのはお前か?」
そう聞かれたので頷くと、「そんなに買ってどうするつもりだ? 俺はパンに人生をかけて作ってるんだ。たくさん買うって言われても、食べきれず捨てられるくらいなら売ることはできねぇ。それかあれか? どっかでうちのパンを転売でもするってのか?」
なるほど。
たしかに小娘1人で買いに来て、パンを200個も食べ切れるとは思えないよな。
でもまさか転売を疑われるとは。
「きちんと美味しいうちに全部食べますよ。アイテムボックス持ちなので」
そう言うと店主の男の人も店員の娘さんも目が点になる。
「「……アイテムボックス??」」
「そう。アイテムボックス」
そう言って目の前でパッとアイテムボックスに入っているパンを出してみると、「うぉっ!」と声を出して驚く。
「全部美味しく食べるので、200個、購入させていただけませんか?」
この宿はいつも2人を心配して声をかけてくれる老夫婦が営んでいる宿らしく、こじんまりとしているが雰囲気がよく落ち着いた宿だ。
小型なら従魔も預かってくれるそうなのでノアは外の小屋へ預けた。
「ロルフとミルルの紹介で来ました。とりあえず2泊お願いします」
受付にいたシルバーヘアの優しげでふくよかな女性に声をかけると、「まぁ! あの2人からの!」と嬉しそうだ。
「お友達かしら?」と聞かれたが、2人が魔物に襲われたと知ったら心配するだろうから、この町に来る途中で素材採取から帰る2人と知り合い町を案内してもらったと話す。
色々と省いて説明したがニコニコと聞いていたので問題はないだろう。
「部屋は2階の奥の部屋で鍵はこれよ。食事は1階に降りてきて食堂で食べてね」
ロルフとミルルからこの町は港町だから夕食には新鮮な魚介類が出ると聞いてとても楽しみにしていたのだ。
「美味しい!」
楽しみにしていた夕飯は魚介類のズッペとパン、サラダだった。
このズッペ、魚介類の味がギュッと濃厚で控えめに言っても最高だ。
「そんなに美味しそうに食べてもらえて嬉しいねぇ。このズッペは料理人の夫の得意料理なのよ」
この宿では奥さんが接客、旦那さんが料理を担当しているらしい。
宿の食事とは別でお金を払うので鍋ごとズッペを買えないか頼んだら「そんなに気に入ってくれて嬉しいわ」とあっさりOKしてくれた。
出来るだけ多くほしいと言ったら「そんなに!?」と驚かれたがアイテムボックス持ちだと言ったら納得してくれたようだ。
普段の仕事の合間に作るのを考えると鍋3杯までならというので2日後に宿を出るときに鍋3杯分受け取ることにした。
ふっふっふっ、これでこの町を出た後もしばらくはこの美味しいズッペを堪能できるわ。
『さ、ノア、行きましょう!』
今日は丸一日買い物の日だ。
この町を出たら大森林に入るので必要なものを買い込まなくてはいけない。
『なにを買うんだ?』
ノアは今までその身一つで大森林で生活していたので必要なものと言っても特に思いつかないようだ。
『まず調味料を含めた食料でしょ。あと野営道具も買い足さなきゃ。あ、あとノアのお友達にもお土産が必要よね!』
そう言うとノアは不満そうに私に乗って行けばすぐだぞ。私が飛べることを忘れていないか? と言う。
『確かにノアに乗って行けばすぐだけど、隣国に行った後の費用もできればもう少し用意しておきたいから歩いて狩りをしながら進みたいの。大森林なら高額で買い取ってもらえるような強い魔物も多いし。大森林は普通なら歩いて1ヶ月くらいだけど、私とノアなら10日くらいで通り抜け出来ると思うわ!』
そうきちんと説明してあげると自分に乗れるのを忘れられた訳じゃないと知り、今度は「強い魔物を狩ってやる!」と急にご機嫌になった。
『まずはあそこにあるパン屋さんに行きましょう。2週間分のパンを買い込まないと!』
そこにあるパン屋さんはロルフとミルルおすすめのパン屋さんだ。
町にあるパン屋さんの中でも特に美味しいと地元の人に人気らしい。
ノアは連れては入れないので入り口近くの木に止まって待っててもらう。
カランコロン
「いらっしゃいませ!」
店に入ると若い女性が店番をしていてる。
ハキハキしていて笑顔が素敵な人だ。
「パンをたくさん買いたいんですが可能ですか?」
人気店なだけあってまとめ買いする人が他にもいるのかあっさり「大丈夫ですよ。おいくつですか?」と聞かれる。
大森林だし何があるかわからない。念のため多めに買っておこう。
「とりあえず200個お願いします」
「にひゃ!? わ、わかりました。ちょっとお父さんに確認してきますね」
お父さんが店主なのだろうか。思ったよりも数が多かったらしく奥に確認しに行ってしまった。
少しするとガッチリとした男の人が店員さんと一緒に出てくる。
「パンを200個買いたいってのはお前か?」
そう聞かれたので頷くと、「そんなに買ってどうするつもりだ? 俺はパンに人生をかけて作ってるんだ。たくさん買うって言われても、食べきれず捨てられるくらいなら売ることはできねぇ。それかあれか? どっかでうちのパンを転売でもするってのか?」
なるほど。
たしかに小娘1人で買いに来て、パンを200個も食べ切れるとは思えないよな。
でもまさか転売を疑われるとは。
「きちんと美味しいうちに全部食べますよ。アイテムボックス持ちなので」
そう言うと店主の男の人も店員の娘さんも目が点になる。
「「……アイテムボックス??」」
「そう。アイテムボックス」
そう言って目の前でパッとアイテムボックスに入っているパンを出してみると、「うぉっ!」と声を出して驚く。
「全部美味しく食べるので、200個、購入させていただけませんか?」
86
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる