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ラルージュ帝国2
しおりを挟む「4人とも、助けてくれて本当にありがとう!」
あの後入国手続きをして無事ラルージュ帝国に入国できた私はお礼を言うために門を通ったところで銀色の刃を待っていた。
待っていたと言っても4人ともすぐに門を通って来たのであのまま私の後にすぐ入国手続きしてもらえたみたい。
ちなみに私の入国手続きはあの1番立派な鎧を着た兵士さんがやってくれたんだけど、手続き中嫌と言うほど繰り返し問題だけは起こさないでくれとお願いされた。それとノアが小型の鳥魔物で登録されているのでその変更を、そして魔物の種類が種類なのでネージュも冒険者ギルドですぐに従魔登録してタグをつけてくれと頼まれた。
「いやぁ、お互い帝国に行くことはわかっていたからそのうち会うとは思っていたが、まさかあのタイミングで会うとはな!」
「私のノアちゃん愛が引き寄せたんですよ!きっと!!」
愛のパワーかはしらないが、本当に銀色の刃のみんなに会えてよかった。あそこでみんなが現れなかったら帝国に入れなかったかもしれないのだ。
銀色の刃の皆んなにはお礼をさせてほしいと言ったが「いやいや、大した事してないし!」と受けてもらえなかった。
なんとかお礼を受け取ってもらおうと粘ったが銀色の刃には宿を探しに行かなければないないからと逃げられてしまった。
まぁ向こうもしばらくはこの町にいると言っていたし、そのうち冒険者ギルドででも会うだろう。その時にはお礼に食事でも奢ろう。
さて、私は冒険者ギルドに行ってネージュの従魔登録をしようかな。
早く行かないとあの兵士さんがストレスで胃を悪くしてしまうかもしれない。
「ノア、ネージュ。まずは冒険者ギルドに行くよ」
「おぉ! やっとか!! 俺の強さを見せつけてやるぜ!」
「ネージュ、やめておけ」
やめてください。本当に。
「そんなことしたらもう町に入れなくなって美味しいご飯の材料が手に入らなくなるよ」と言ったら秒で大人しくなった。
「じゃ、行こうか」
冒険者ギルドに向かおうと大通りを一歩踏み出すと、遠巻きにこちらを伺っていた人の壁が綺麗にパッカリ割れた。
大きなノアとネージュを連れてるからすごく通りやすくてありがたいんだけど、なんか申し訳ない。
2匹に今からでも小さくなってもらおうかな? と思うがそれもそれで急に伝説の魔物が小さくなったら騒ぎになりそうだと思ってやめる。
結局パッカリ開けた大通りを通り、なぜか後ろから遠巻きについてくる人の群れを連れて冒険者ギルドにたどり着いた。
「じゃ、ここで待っててね」
どう考えてもノアとネージュはそのままでは冒険者ギルドに入れないので入り口の横で待っててもらうことにする。
カランコロン
冒険者ギルドの大きな木製のドアを開け、中をぐるっと確認し奥にある受付へと向かう。
「従魔登録をお願いします」
「従魔登録ですね! 魔物の種類はなんですか?」
「グリフォンとフェルリルです」
ノアも擬態状態で登録してあるから一緒に手続きしてしまおう。
そう思ったのだかなかなか返事が返ってこない。
「……も、もう一度よろしいですか?」
「グリフォンと、フェルリルです。ギルドの外で待たせています。」
もう一度答えたのにまた返事が返ってこなくなってしまった。
「あ、あの~「おい! お前そんな嘘言って受付の姉ちゃんを困らせるんじゃない!」
肩をガッと掴まれ振り返ると、首に魔物の牙でできたアクセサリーをつけ大斧を背中に担いだ蛮族かと勘違いしそうな見た目の大柄なイカついおじさんがこちらを見下ろしている。
「え? 急になんなんですか?」
そう言うとカッと目を吊り上げまた大きな声を出す。
「だから! そんな嘘をつくんじゃないと言っている! グリフォンにフェンリルだ!? そんなもん従魔にできるわけないだろうが」
このおじさんの声が大きすぎるせいでギルド中の注目の的だ。こちらの様子を伺っている冒険者達からも「グリフォンにフェンリル?」「従魔だと?正気か?」と言う声が聞こえる。
「本当です。外に連れてきてますから。お姉さんも一緒に確認お願いします」
こうなったら実際に見て確認してもらうのが早いだろう。
全く信じていない蛮族おじさんは「引っ込みがつかなくなったからって、はやく謝りゃいいものを……」とぶつぶつ言いながら後をついてくる。受付嬢のお姉さんもやはり信じていないようで困った顔をしながら仕方なさそうについてくる。仕事だから確認はしてくれるのだろう。
ギルドの重いドアを開け外に出ると、さっき門から後をついてきた人たちがまだ集まっている。
「うぉお!? なんだこの人だかりは!」
なんかあったのか? と頭をガシガシ掻きながらキョロキョロしていたが、ハッと思い出したようにこちらを見て「で?グリフォンとフェルリルがどこにいるってんだ?」と言う。
ノアとネージュには近くにいるように言ったからギルド周りにいるはずだけど、この人だかりのせいで姿が見えない。
ほら見ろと言わんばかりの明らかにこちらが嘘をついていると決めつけている顔。イラッッとするわ。
「ノア! ネージュ!」
名前を呼ぶと人だかりを飛び越して向こうからノアとネージュが現れる。
蛮族おじさんは急に大きな声を上げた私を見ていて、後ろに現れた2人に気づいていない。
せっかく2人が来たのに。
はぁ、とため息をつき蛮族おじさんの後ろを指差すが、「なんだ? こっちを指差して。俺ァそんなんで誤魔化されないぞ!」とかよくわからないことを言っている。
「後ろですよ。う・し・ろ!」
私が後ろを指差したまま黙っていると、蛮族おじさんは困った子供を見る目をしてため息をつき、仕方ない、付き合ってやるか。という態度で後ろを振り向いた。
そしてそのまま白目を剥き泡を噴きながらひっくり返った。
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