婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai

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ノアとネージュの狩り

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 あの後メイドさん達に別の部屋へと案内され、全身ありとあらゆるところを採寸された。
 ドレス作るのにそんなとこ測るの!? ってところまで。
 そして今は精神的にも身体的にもクタクタの状態で、物凄いスピードで飛ぶノアの背中に乗ってクレンセシアの町へ帰っている。
 最速で帰るって話だったからね……。

 今朝帝都へ来た時はAランク冒険者リアだったのに、今は皇太子殿下の婚約者オレリア・アールグレーンだ。たった1日でこんなことになってしまった。意味がわからない。
 意味がわからないけど、とりあえずアンドレ様との再婚約はなくなりそうでよかった。もし皇帝陛下に手紙通り国に帰ってアンドレ様と再婚約しろと言われていたら、帝国からも逃げなければいけないところだった。

 クレンセシアに到着して次の日、冒険者ギルドでお金を受け取りロドリグさんの所に顔を出して大森林へ。

「帰ってきたぞおぉぉぉお!!」

「狩りをするぞぉぉぉおおお!!!」

 そう叫んだノアとネージュはあっという間に森の奥へ駆けて行った。

「さて、私も今のうちに色々済ませちゃいますか」

 パーティーは1ヶ月後とはいえ、ドレスの細かい調整や全身のお手入れ、パーティーの流れについてなど、パーティーの1週間前には王宮へ行ってやらなければいけないことがたくさんある。
 大森林にいられるのはあと3週間しかないのだ。

 ここ最近で消費してしまったお料理を補充するために、料理を大量に作ってはアイテムボックスへ入れ、作ってはアイテムボックスへ入れ。クレンセシアで建築中の家に置く家具も作り。テンションの上がった2匹が狩ってきた魔物の山に頭を抱え、大森林の中を散策しては金を採掘したり、宝石になるような石を採掘したり。

 そういつも通り過ごしているうちにあっという間に3週間が経った。

「ノア! ネージュ! そろそろ出るわよ!」

「待ってくれっ! あと1匹! あと1匹狩ってからっ!」

「そうだ! 人間の王……皇帝だったか? に手土産も必要だろう!? すぐに度肝を抜くようなやつを狩ってくるから!」

 3週間毎日毎日狩りをしていたというのに、これからまた大森林を離れると思うとまだ足りないらしい。

「もう十分でしょ!? こんなに狩ってどうするのよ!」

「肉はいくらあっても良いだろう?」

「そうだっ! 俺たちがたくさん食べるぞ! またギルドとかいうところで解体させればいい!」

 こんなに持って行ったら今度こそソビェスさんが倒れちゃうよ……。
 それに食べるって、その大量の肉を必死こいて料理するのは誰だと思っているのよ。
 肉が勝手に焼ける訳じゃないんだからねっ!

「「あと1匹! あと1匹!」」

 ここでごはんを肉抜きにするよっ! って言って止めるのは簡単だけど、きっとそうして出発するよりあと1匹狩ってから出発した方が速く帝都に着くのよね……。ノアのヤル気的に。

「……はぁ。あと1匹。10分以内ね」

「よしっ!! 時間がない。行くぞネージュ!! あっちに大物がいる!!」

「あぁ! 俺もずっと狙ってたぜっ!」

 ドーン!!! ドーーーン!!!
 バリバリバリッ!!
 ザシュッ! ザンッ!!!

 やばい。2匹が物凄い勢いで走って行った方角から今まで以上の激しい音がし始める。
 あ、大森林の巨木が倒れるのが遠目で見えた。

 10分とか言わなければよかったかも……。
大森林とはいえ、さすがに森が心配になってきた。

 ちょうどあと少しで10分と言うところでノアとネージュが戻ってきた。

「物凄い音がしたんだけど、大丈夫だったの?」

「余裕だ」

「最後に1番の大物を残しといたからな! 10分に間に合うように火力で押したぜっ!」

 やっぱりあの激しさは私が10分とか言ったせいらしい。失敗、失敗。

「これを見てくれ! 立派だろ!?」

「それなりに手強かったぞ」

 キラキラと瞳を輝かせた2匹がそう言って首に下げたアイテムバッグから出してきたのは、大きな赤い竜だった。
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