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皇帝陛下へのお土産
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「で、どんな魔物なのかな?」
皇帝陛下に案内され到着した演習場はかなり広い。魔物を出すと言ったからか、汚れても大丈夫なようにこの場所を選んでくれたようだ。
「皇帝陛下っ、どうされたのですか?」
演習場で騎士の訓練をしていた騎士団長が、皇帝陛下が来たのを見て何事かとこちらへ駆けてくる。
「おお、騎士団長か。いや、アールグレーン嬢が土産に魔物を持ってきてくれたと言うのでな。魔物を出すには城の敷地内だとここがいいかと思ったんだ」
「そうだったのですね。ではここを空けましょう」
騎士団長が指示すると、騎士たちはザッと端によけた。
キチッとしているが、こちらを見る騎士たちの目には好奇心の色が見える。
「では出しますね」
念のためそう声をかけてからアイテムボックスからアレを取り出す。
ドンッ、と地面が揺れ、あの赤いやつが現れた。
「火竜です」
シーーーン。
皆んなポカンとした顔で火竜を見つめている。
しばらく待っていると、1番に復活した騎士団長が声を上げた。
「な、竜、だと!?」
その声で他の面々もハッと気づき話し始める。
「ほ、本物か?」
「こんなのどうやって倒すんだ!?」
「デカイ……」
さっきまでぎゃーぎゃー騒いでいたノアとネージュもその声を聞いてご満悦だ。
「ふふん! 私の爪で切り裂いたんだ」
「俺の雷魔法も当たったぜ!」
「ということで、皇帝陛下。こちら貰ってください」
「「ダメだーーー!!!」」
2匹がまた肉だのなんだの騒ぎ始める。
「いやいや、凄いね。こんなに驚いたのは久しぶりだよ」
流石の皇帝陛下も、しばらく我を忘れて見入ってしまったそうだ。
「こいつはダメだぞ! ドラゴン肉は俺たちの物だっ!」
「こら! ネージュ! 失礼でしょう! それにこれを狩った時に皇帝陛下へのお土産を狩りに行くって言ってたじゃない!!」
「それは、その時のあれだ……、モゴモゴ……」
どうやら自分達の言ったことは覚えているようだ。
「とりあえずこれはダメだっ! 他のやつならいくらでもいいが、これはダメっ!」
もう完全に駄々っ子だ。
「アールグレーン嬢。流石に私も狩った本人達が嫌がっているのに竜をタダで貰うなんて事はできないよ」
うーん、そうは言われても、見せるだけ見せて渡さないっていうのもね。
あ!
「ではさっきネージュが言っていたように、お土産は他の魔物から選んでいただくのはどうでしょうか!? ノアとネージュもそれなら文句ないんでしょう?」
「もちろんだ! 他ならなんでも持ってってくれ!」
「私も火竜以外ならなんでもいい。アレなんかどうだ? この間のベヒーモス。角もあるし、人間は角も欲しがるのだろう?」
「だが人間は竜っぽい方が喜ぶのではないか? ヒュドラとか。そうだ! こいつらが大森林に来た時に追いかけられていたやつはどうだ!?」
「ん? あれか。長いやつ! リア! あの長いやつだっ!」
あれか。ノアとネージュが見つけた時にウィルフレッド様達が追いかけ回されていたという……。
この会話を聞いていたウィルフレッド様も騎士団長も、当時を思い出したのか青い顔をしている。
皇帝陛下は追いかけられてたやつ……? と不思議そうだ。
一旦火竜をしまい場所を作ると、大蛇を取り出した。
ズシンッ! と地面が震え、白く長い巨体が目の前に現れる。
端で見ていた騎士達の内数人が「ひっ!」と声を出して倒れた。多分アレは大森林に来た使者団メンバーだな。
「皇帝陛下、お土産なんですがこちらでもよろしいでしょうか?」
「よろしいも何も、お土産にしては十分すぎるよ」
そうして皇帝陛下へのお土産は皇太子殿下を追いかけていた大蛇に決定した。
大蛇は大きすぎてそのままではとても仕舞えそうにないということで、そのまま演習場で解体作業をするそうだ。
「それじゃ、私たちは邪魔になるから部屋に戻ろうか」
「そうだな!」
「そうだ! 部屋で菓子を食べよう!」
2匹はもういっぱい食べたでしょう……。
「オレリア! パーティー準備の進み具合はどうだい?」
「ヴィルフレッド様! 今日で資料は覚え終わりました」
「じゃあ明日時間を貰っても良いかな? 中庭でお茶をしないか?」
「ええ、もちろんです」
「それじゃあ明日の午後に」
「はい。楽しみにしていますね」
これは婚約前に少しお互いについて知っておこうという事だろうか?
考えてみれば幼い頃からの知り合いとはいえ、ここ最近は私的な話をしたこともない。
本来なら思い合う相手と婚約するはずだったんだもの。皇太子殿下だって不安になるはずだわ。
皇太子殿下のお陰であのアンドレ様と再婚約しなくて済むんだもの。
明日は出来るだけ皇太子殿下の不安を取り除くように努めなければ。
皇帝陛下に案内され到着した演習場はかなり広い。魔物を出すと言ったからか、汚れても大丈夫なようにこの場所を選んでくれたようだ。
「皇帝陛下っ、どうされたのですか?」
演習場で騎士の訓練をしていた騎士団長が、皇帝陛下が来たのを見て何事かとこちらへ駆けてくる。
「おお、騎士団長か。いや、アールグレーン嬢が土産に魔物を持ってきてくれたと言うのでな。魔物を出すには城の敷地内だとここがいいかと思ったんだ」
「そうだったのですね。ではここを空けましょう」
騎士団長が指示すると、騎士たちはザッと端によけた。
キチッとしているが、こちらを見る騎士たちの目には好奇心の色が見える。
「では出しますね」
念のためそう声をかけてからアイテムボックスからアレを取り出す。
ドンッ、と地面が揺れ、あの赤いやつが現れた。
「火竜です」
シーーーン。
皆んなポカンとした顔で火竜を見つめている。
しばらく待っていると、1番に復活した騎士団長が声を上げた。
「な、竜、だと!?」
その声で他の面々もハッと気づき話し始める。
「ほ、本物か?」
「こんなのどうやって倒すんだ!?」
「デカイ……」
さっきまでぎゃーぎゃー騒いでいたノアとネージュもその声を聞いてご満悦だ。
「ふふん! 私の爪で切り裂いたんだ」
「俺の雷魔法も当たったぜ!」
「ということで、皇帝陛下。こちら貰ってください」
「「ダメだーーー!!!」」
2匹がまた肉だのなんだの騒ぎ始める。
「いやいや、凄いね。こんなに驚いたのは久しぶりだよ」
流石の皇帝陛下も、しばらく我を忘れて見入ってしまったそうだ。
「こいつはダメだぞ! ドラゴン肉は俺たちの物だっ!」
「こら! ネージュ! 失礼でしょう! それにこれを狩った時に皇帝陛下へのお土産を狩りに行くって言ってたじゃない!!」
「それは、その時のあれだ……、モゴモゴ……」
どうやら自分達の言ったことは覚えているようだ。
「とりあえずこれはダメだっ! 他のやつならいくらでもいいが、これはダメっ!」
もう完全に駄々っ子だ。
「アールグレーン嬢。流石に私も狩った本人達が嫌がっているのに竜をタダで貰うなんて事はできないよ」
うーん、そうは言われても、見せるだけ見せて渡さないっていうのもね。
あ!
「ではさっきネージュが言っていたように、お土産は他の魔物から選んでいただくのはどうでしょうか!? ノアとネージュもそれなら文句ないんでしょう?」
「もちろんだ! 他ならなんでも持ってってくれ!」
「私も火竜以外ならなんでもいい。アレなんかどうだ? この間のベヒーモス。角もあるし、人間は角も欲しがるのだろう?」
「だが人間は竜っぽい方が喜ぶのではないか? ヒュドラとか。そうだ! こいつらが大森林に来た時に追いかけられていたやつはどうだ!?」
「ん? あれか。長いやつ! リア! あの長いやつだっ!」
あれか。ノアとネージュが見つけた時にウィルフレッド様達が追いかけ回されていたという……。
この会話を聞いていたウィルフレッド様も騎士団長も、当時を思い出したのか青い顔をしている。
皇帝陛下は追いかけられてたやつ……? と不思議そうだ。
一旦火竜をしまい場所を作ると、大蛇を取り出した。
ズシンッ! と地面が震え、白く長い巨体が目の前に現れる。
端で見ていた騎士達の内数人が「ひっ!」と声を出して倒れた。多分アレは大森林に来た使者団メンバーだな。
「皇帝陛下、お土産なんですがこちらでもよろしいでしょうか?」
「よろしいも何も、お土産にしては十分すぎるよ」
そうして皇帝陛下へのお土産は皇太子殿下を追いかけていた大蛇に決定した。
大蛇は大きすぎてそのままではとても仕舞えそうにないということで、そのまま演習場で解体作業をするそうだ。
「それじゃ、私たちは邪魔になるから部屋に戻ろうか」
「そうだな!」
「そうだ! 部屋で菓子を食べよう!」
2匹はもういっぱい食べたでしょう……。
「オレリア! パーティー準備の進み具合はどうだい?」
「ヴィルフレッド様! 今日で資料は覚え終わりました」
「じゃあ明日時間を貰っても良いかな? 中庭でお茶をしないか?」
「ええ、もちろんです」
「それじゃあ明日の午後に」
「はい。楽しみにしていますね」
これは婚約前に少しお互いについて知っておこうという事だろうか?
考えてみれば幼い頃からの知り合いとはいえ、ここ最近は私的な話をしたこともない。
本来なら思い合う相手と婚約するはずだったんだもの。皇太子殿下だって不安になるはずだわ。
皇太子殿下のお陰であのアンドレ様と再婚約しなくて済むんだもの。
明日は出来るだけ皇太子殿下の不安を取り除くように努めなければ。
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