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脱出
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「自力で出る……? 何を言っているんだい、オレリア。この檻はグリフォンを入れる為に作った檻だよ? いくらか魔法が使えるからといって破れるものではない」
この人はなにを言っているのだろうか。
私が連れて来たノアとネージュを見ただろうに。
いくらか魔法が使えるレベルの令嬢がグリフォンとフェンリルを従魔にできるわけないでしょう。
もう何を言っても聞いてはもらえないし、私は手っ取り早く魔力を練り始める。
これで退いてくれればいいんだけど。
「そこを退かないと危ないですよ」
「ハハハッ、何を言っているんだ。そんなことをしてもどうにもならないよ。素直に諦めないか」
……はぁ。
怪我させてもめんどくさいことになるし……。
「……えいっ」
とりあえず軽めにウィンドカッターを檻に向かって撃つと、キンキンッ、キンッと弾けた。
「う、うぉぉ!?」
アンドレ殿下は今まで聞いたことのない情けない声を出して後ずさった。
「……ハハッ、ほら、無理だろう?」
「次は本気でいきますよ」
アンドレ殿下が一緒にいた私は魔法が使えなかったから、きっと私が魔法が使えると話には聞いていてもよく理解できていなかったのだろう。
これで私が魔法が使えることはよくわかっただろう。ということで、今度はさっきと比にならないくらいの魔力を練る。
王族がグリフォンの為に作った檻というだけあって、結構しっかりしてそうだったし。
魔力を右手に集め、どんどん練って、練って。
そうしていると「無理に決まってるだろ?」と余裕の表情を浮かべていたアンドレ殿下の表情が曇り始め、額に汗を浮かべる。あ、青ざめてきた。
練って圧縮された魔力によって右手の周りの景色が歪み始めている。
「お、おい……」
冗談だろ? とでも言いたげな顔。
私が殿下に冗談を言ったことなんて一度もないのにね。
「殿下がこんなことをするのが悪いのですよ」
それだけ言って、私は右手を檻に向かって振った。
「えいっ」
さっきよりもゆっくりと、そしてたくさんの大きな風の刃が飛んでいく。
「ひえぇぇぇ!」
ストンッと尻餅をついて四つん這いになり、這って檻から離れようとする殿下。
こんなにカッコ悪くて間抜けな殿下は初めて見る。
「プッ……」
思わず笑いがこみあげてくる。
キンキンキンッ! キンキンッ!
先ほどよりも大きな金属音が響く。
いくら頑丈な檻だといってもこの刃の雨には勝てなかったようで、風の刃は檻を破りその先の壁をドゴォォォンと音を立てて崩していった。
「よしっ、スッキリ!」
檻に空いた穴から出ると、腰を抜かしてへたり込んだ殿下がいる。
とっくにどこかにいったかと思っていたが、どうやらそこまでは動けなかったらしい。這いずってたものね。
「ひいぃぃぃいいいぃぃぃ!!」
真っ青を通り越して真っ白になった顔でこちらを見上げる目は、とても元婚約者を見る目ではない。
私は化け物かなにかかな?
「で、殿下っ! ご無事ですか!?」
えーっと、確かこの人はこの国に戻ってきた時に会った……。
「……クズンっ!」
そう! それ! たしか騎士団長だったはず。
最初に会った時もあまりいい感じはしなかったけど、今回のことにもこの人が関わっていたなんて。
王子と騎士団長が誘拐犯だなんてほんと笑えない。
この国はどうなってるんだ。
「グリフォンがいるからと罪を無かったことにされた分際で殿下に暴力を振るうとは! とんだ悪女だな!!」
「へ?」
……ええーーー!! え、なに!? そういうことになってるの??
「とぼけるな! 既にグリフォンは王城にいるし、国外追放になるほどの罪を犯したお前なんて不用だっ!」
クズンはそう言って腰に下げた鞘から剣を抜き取り振りかぶった。
この人はなにを言っているのだろうか。
私が連れて来たノアとネージュを見ただろうに。
いくらか魔法が使えるレベルの令嬢がグリフォンとフェンリルを従魔にできるわけないでしょう。
もう何を言っても聞いてはもらえないし、私は手っ取り早く魔力を練り始める。
これで退いてくれればいいんだけど。
「そこを退かないと危ないですよ」
「ハハハッ、何を言っているんだ。そんなことをしてもどうにもならないよ。素直に諦めないか」
……はぁ。
怪我させてもめんどくさいことになるし……。
「……えいっ」
とりあえず軽めにウィンドカッターを檻に向かって撃つと、キンキンッ、キンッと弾けた。
「う、うぉぉ!?」
アンドレ殿下は今まで聞いたことのない情けない声を出して後ずさった。
「……ハハッ、ほら、無理だろう?」
「次は本気でいきますよ」
アンドレ殿下が一緒にいた私は魔法が使えなかったから、きっと私が魔法が使えると話には聞いていてもよく理解できていなかったのだろう。
これで私が魔法が使えることはよくわかっただろう。ということで、今度はさっきと比にならないくらいの魔力を練る。
王族がグリフォンの為に作った檻というだけあって、結構しっかりしてそうだったし。
魔力を右手に集め、どんどん練って、練って。
そうしていると「無理に決まってるだろ?」と余裕の表情を浮かべていたアンドレ殿下の表情が曇り始め、額に汗を浮かべる。あ、青ざめてきた。
練って圧縮された魔力によって右手の周りの景色が歪み始めている。
「お、おい……」
冗談だろ? とでも言いたげな顔。
私が殿下に冗談を言ったことなんて一度もないのにね。
「殿下がこんなことをするのが悪いのですよ」
それだけ言って、私は右手を檻に向かって振った。
「えいっ」
さっきよりもゆっくりと、そしてたくさんの大きな風の刃が飛んでいく。
「ひえぇぇぇ!」
ストンッと尻餅をついて四つん這いになり、這って檻から離れようとする殿下。
こんなにカッコ悪くて間抜けな殿下は初めて見る。
「プッ……」
思わず笑いがこみあげてくる。
キンキンキンッ! キンキンッ!
先ほどよりも大きな金属音が響く。
いくら頑丈な檻だといってもこの刃の雨には勝てなかったようで、風の刃は檻を破りその先の壁をドゴォォォンと音を立てて崩していった。
「よしっ、スッキリ!」
檻に空いた穴から出ると、腰を抜かしてへたり込んだ殿下がいる。
とっくにどこかにいったかと思っていたが、どうやらそこまでは動けなかったらしい。這いずってたものね。
「ひいぃぃぃいいいぃぃぃ!!」
真っ青を通り越して真っ白になった顔でこちらを見上げる目は、とても元婚約者を見る目ではない。
私は化け物かなにかかな?
「で、殿下っ! ご無事ですか!?」
えーっと、確かこの人はこの国に戻ってきた時に会った……。
「……クズンっ!」
そう! それ! たしか騎士団長だったはず。
最初に会った時もあまりいい感じはしなかったけど、今回のことにもこの人が関わっていたなんて。
王子と騎士団長が誘拐犯だなんてほんと笑えない。
この国はどうなってるんだ。
「グリフォンがいるからと罪を無かったことにされた分際で殿下に暴力を振るうとは! とんだ悪女だな!!」
「へ?」
……ええーーー!! え、なに!? そういうことになってるの??
「とぼけるな! 既にグリフォンは王城にいるし、国外追放になるほどの罪を犯したお前なんて不用だっ!」
クズンはそう言って腰に下げた鞘から剣を抜き取り振りかぶった。
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