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力の証明 2
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カラカラと台に乗せられた患者が修道女によってホールの中央へと運ばれてくる。
運ばれてきた瞬間、ホールがざわついたのがわかった。
「あの方を!?」
「こんなふうに使うとは! なんてことを……!」
そんな声が聞こえてくる。
それほどに身分の高い人なのだろうか?
「さあ、アールグレーン嬢」
そう言われ患者の側へと近寄る。
「この方はどんな回復魔法の使い手でも治せなかった。もちろん私でも。」
教皇聖下でも治せなかったということは、相当な病なのだろう。それこそ不治の病レベルでなければ教皇聖下が治せないはずがない。
患者は女性で顔色がかなり悪い。歳は60代くらいに見えるけど今は痩せ細って皮膚も弛み、頬も痩け、唇もガサガサだから実際はもう少し若いのかもしれない。
このままならば近いうちに亡くなるだろう。
「本来ならば聖女認定の試験にここまでの病状の患者を使うことはないが、今回は誰も治せなかった帝国の皇妃様を治療し完治させたということと、急に現れた聖女候補ということでこのレベルの患者を用意することになった」
「ふんっ、怖気付いたのか? 今正直に言えば罰は軽くなろう」
状態を確認しているだけなのにあのだるんだるんな男がそう言う。
別に聖女になりたいとかはないけど腹は立つので盛大になることにしよう。
ぐぐぐっと大量の魔力を練り上げていく。
魔力の量と密度に周りが騒つくが気にしない。
よし。このくらいやればだるんだるん男も黙るでしょ。
「……【パーフェクトヒール】!」
練り上げた濃密な魔力がブワッと広がり患者を包み込む。
ホール中が強い光に照らされ、「なんだっ!?」、「目がぁっ!」と言う声があちらこちらで聞こえる。
もちろん私は初めから目を瞑っていた。
治療が終わり、強い光が柔らかな光に変わり金の粒が舞う。
「ふぅ。これで治ったと思います」
そう言い周りを見ると、皆んなポカンと口を開け動かない。
……1人を除いて。セサルさんは通常運転だ。いや、いつもよりも酷い。涙を流しながらなにやら祈りをささげている。見なかったことにしよう。
「パーフェクトヒール、だと……?」
だるんだるん男……、だる男がそう呟いたのを機に、周りからも驚きの声がポツポツと上がる。
「素晴らしい……。これがあの二百年前の聖女が使えたというパーフェクトヒールですか」
そう言いながら教皇聖下が近づいてくる。
パッと見いつも通りに見えるがその足取りは軽く、頬に赤みがさしている。
というか教皇聖下、私がパーフェクトヒールを使えること、黙っていましたね……!
「ちょっとしたサプライズ、ですよ」
お茶目感出してもダメですっ!
患者の女性は意識は戻らずとも顔色は劇的に良くなり、先ほどまで息をしているのか分からないほど弱々しかった呼吸も回復し、今はスースーと音を立てて眠っている。
治っているのは明らかだ。
「さて、これで力の証明は成された。彼女を聖女に任命します。異議のあるものは?」
シーーーン
当たり前だが誰もいない。
あのだる男も血管が切れるんじゃないかというほど顔を真っ赤にしてぐぬぬと唸っているが何も言わない。
「それではオレリア・アールグレーン嬢を聖女に任命いたします。パレードは彼女たちが帝国に帰る予定も考慮し3日後です。急ぎ新たな聖女の誕生を伝えましょう」
「3日!?」
「3日だと!?」
短すぎる! せっかくパーフェクトヒールの使える聖女が誕生したのだから盛大にやるべきだ! 聞こえるのはそういう声ばかり。
「聖下。その前に、聖女が帝国に帰るというのはどういうことですかな?」
まただる男が口を挟んできた。
さっきまでは真っ赤な顔で唸っていたのに、なぜか今は気持ち悪いほどに笑顔だ。
「そのままだ。彼女は帝国皇太子の婚約者だからね」
「聖下! それはいけません! 聖女、それもパーフェクトヒールの使える聖女です! 教国にいるべきではありませんか!」
「それはできません。彼女はいずれ帝国皇妃になります。教国にいるわけにはいきません。ただ、年に一度の生誕祭には参加する予定です」
「そもそもそこがおかしいのです。パーフェクトヒールを使える聖女です。教皇聖下と婚姻を結ぶべきではありませんか」
はあぁぁぁあ!?
運ばれてきた瞬間、ホールがざわついたのがわかった。
「あの方を!?」
「こんなふうに使うとは! なんてことを……!」
そんな声が聞こえてくる。
それほどに身分の高い人なのだろうか?
「さあ、アールグレーン嬢」
そう言われ患者の側へと近寄る。
「この方はどんな回復魔法の使い手でも治せなかった。もちろん私でも。」
教皇聖下でも治せなかったということは、相当な病なのだろう。それこそ不治の病レベルでなければ教皇聖下が治せないはずがない。
患者は女性で顔色がかなり悪い。歳は60代くらいに見えるけど今は痩せ細って皮膚も弛み、頬も痩け、唇もガサガサだから実際はもう少し若いのかもしれない。
このままならば近いうちに亡くなるだろう。
「本来ならば聖女認定の試験にここまでの病状の患者を使うことはないが、今回は誰も治せなかった帝国の皇妃様を治療し完治させたということと、急に現れた聖女候補ということでこのレベルの患者を用意することになった」
「ふんっ、怖気付いたのか? 今正直に言えば罰は軽くなろう」
状態を確認しているだけなのにあのだるんだるんな男がそう言う。
別に聖女になりたいとかはないけど腹は立つので盛大になることにしよう。
ぐぐぐっと大量の魔力を練り上げていく。
魔力の量と密度に周りが騒つくが気にしない。
よし。このくらいやればだるんだるん男も黙るでしょ。
「……【パーフェクトヒール】!」
練り上げた濃密な魔力がブワッと広がり患者を包み込む。
ホール中が強い光に照らされ、「なんだっ!?」、「目がぁっ!」と言う声があちらこちらで聞こえる。
もちろん私は初めから目を瞑っていた。
治療が終わり、強い光が柔らかな光に変わり金の粒が舞う。
「ふぅ。これで治ったと思います」
そう言い周りを見ると、皆んなポカンと口を開け動かない。
……1人を除いて。セサルさんは通常運転だ。いや、いつもよりも酷い。涙を流しながらなにやら祈りをささげている。見なかったことにしよう。
「パーフェクトヒール、だと……?」
だるんだるん男……、だる男がそう呟いたのを機に、周りからも驚きの声がポツポツと上がる。
「素晴らしい……。これがあの二百年前の聖女が使えたというパーフェクトヒールですか」
そう言いながら教皇聖下が近づいてくる。
パッと見いつも通りに見えるがその足取りは軽く、頬に赤みがさしている。
というか教皇聖下、私がパーフェクトヒールを使えること、黙っていましたね……!
「ちょっとしたサプライズ、ですよ」
お茶目感出してもダメですっ!
患者の女性は意識は戻らずとも顔色は劇的に良くなり、先ほどまで息をしているのか分からないほど弱々しかった呼吸も回復し、今はスースーと音を立てて眠っている。
治っているのは明らかだ。
「さて、これで力の証明は成された。彼女を聖女に任命します。異議のあるものは?」
シーーーン
当たり前だが誰もいない。
あのだる男も血管が切れるんじゃないかというほど顔を真っ赤にしてぐぬぬと唸っているが何も言わない。
「それではオレリア・アールグレーン嬢を聖女に任命いたします。パレードは彼女たちが帝国に帰る予定も考慮し3日後です。急ぎ新たな聖女の誕生を伝えましょう」
「3日!?」
「3日だと!?」
短すぎる! せっかくパーフェクトヒールの使える聖女が誕生したのだから盛大にやるべきだ! 聞こえるのはそういう声ばかり。
「聖下。その前に、聖女が帝国に帰るというのはどういうことですかな?」
まただる男が口を挟んできた。
さっきまでは真っ赤な顔で唸っていたのに、なぜか今は気持ち悪いほどに笑顔だ。
「そのままだ。彼女は帝国皇太子の婚約者だからね」
「聖下! それはいけません! 聖女、それもパーフェクトヒールの使える聖女です! 教国にいるべきではありませんか!」
「それはできません。彼女はいずれ帝国皇妃になります。教国にいるわけにはいきません。ただ、年に一度の生誕祭には参加する予定です」
「そもそもそこがおかしいのです。パーフェクトヒールを使える聖女です。教皇聖下と婚姻を結ぶべきではありませんか」
はあぁぁぁあ!?
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