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とりあえず湯切りの時に流れる野菜は虚しい
しおりを挟む『ただいま』
俺は帰ってきた3人を見ずともわかる。
「何度言わせれば気が済むんだ!靴を脱げ!」
「…今何分経った?」
「コンビニから家までは徒歩2分」
「おいかなた、傾けるとお湯が零れるぞ」
突っ込んでもいいかな。
俺のセリフが完全に無視されてるのは二千歩くらい譲っていいとして、いや良くはないが。スルースキル高いなおい。
近所のコンビニでカップ麺にお湯を入れて家に着いたら食べようとしているところまでは理解できる。俺もよくやるからな。
遊馬は普通のカップラーメンだし、大食いのかなたがメガ盛り焼ソバなのもまあわかる。それ、湯を切るのが面倒臭いぞ。
それよりこいつは何なんだ。蓮の手元にある物はどう見てもおかしい。なぜそれに湯を入れて箸でザクザクしてるんだ。ザクザクやめろ。
「じゃが○こにお湯を入れるとポテトサラダになるんだよ」
俺の心を読むな、怖いわ。
「じゃ○りこはそのままが一番うまいだろ」
「あっくんはわかってないな、こんな手軽にポテトサラダを楽しめるなんて革命だよ?」
「湯切りしてくる…」
「ちなみに、たらこバター味で作るとたらもサラダの完成♪」
「あっくんではない。遊馬だ。何度言ったらわかるんだお前は…ちなみに僕はチーズ派だ」
俺はじゃがバター派だ。いや、そうじゃない。
「じゃが○こって期間限定で色々な味が出るから飽きないよね」
「それはそうだが、アレンジする必要性は感じない。じゃ○りこはそのまま食うに限る」
「まだ言うか。なら、このじゃが○こポテトサラダを食べてみるといい」
「いや、僕は食わん。じゃ○りこに失礼だ」
「お前ら、じ○がりこ○ゃがりこ連発しすぎだ!」
ピー処理は誰がするんだ。あとザクザクザクザクうるせーよ。手を止めろ、箸を置け。
「ノーーーン」
「ど、どうした遊馬?!」
「俺のカップ麺が…伸びてる……」
いや、そらそうだわ。
「さっさと食べないからだよ」
かなたはいつの間にお湯を切ってきて、あの量を完食したんだ。いったいその細っこい身体のどこに収まるのだろうかとつくづく思う。恐ろしい。
「かな、口に青のり付いてる」
「取ってー」
…ほんと、何なんだコイツら。
「何、ちーくん。物欲しそうな顔でこっち見て」
「そのじゃがり○ポテトサラダが食べたいんだよ、きっと」
「そっか、食べたいんなら言ってよ!素直じゃないな~(笑)ほら、あーん」
あーんじゃねぇ。どこまでじ○がりこ引っぱるんだよ。
遊馬、おいしっかりしろ。カップ麺伸びたくらいでどんだけダメージ受けてんだ。
いや、待てよ。そもそもよく考えてみろ。コイツらは俺以外の人間には見えないんじゃなかったのか?
ならどうやってコンビニで買って…はっ!まさか、盗ん…
「いやいや、家から持って行ってお湯を入れて帰ってきたんだよ」
意味わかんねーよ!
何わざわざ面倒臭いことしてんの!?家でお湯入れた方が数倍はえーよ。無駄手間だろ!
「最近の若者の気分を味わいたかった…」
余計わけわかんねーよ!
つかさっきからもしかしてだけど俺の心の声聞こえてるわけじゃあないよな。
「いや、適当に合わせてるだけだ」
聞こえてんだろ!確信犯だ。
「む、じゃ○りこをこうして食うのも悪くない」
「でしょ?次は違う味にも挑戦してみようよ」
「ZZZ」
○ゃがりこのくだりまだ続いてたのか。
かなたはいつの間に眠ったんだ。食って寝てしかしてねーじゃないか。気持ちよさそうに寝息たてやがって。ヨダレ垂れてんぞ。
この状況でよく眠れるよな。
もうなんか疲れた。日曜の10時だぜ、二度寝して優雅に朝昼兼用のブランチとやらをとる時間だ。
そのポテサラ、俺にも食わせろ。
何でこうなったんだ、俺の日常。うまく話をそらされた感が否めないが、俺を見くびるな!
「どーでもいいけど靴を脱げ!」
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