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私はバネッサ
私はバネッサ
しおりを挟むブラウン夫妻の相手をしてあげて、やっと長期休暇が終わったの。婚約者のスティーブンに会わなくちゃ。
そう思っていたら、スティーブンが私に話しかけてきたの。
「バネッサ、お昼ごはん一緒に食べよう?」
「もちろんよ」
あぁ、やっと私の名前を呼んでくれたわ。待たせ過ぎだけど、許してあげる。
ご飯を食べながら、スティーブンが言ったの。
「バネッサって結構面白いんだね。よく笑うし、なんか新鮮だよ」
(そうよ。私はバネッサなの。ふふっ)
スティーブンとはたまにしか会わないの。
スティーブンもお友達と過ごしたいだろうし、今はそれで良いわ。私にはお友達がいるもの。クラスは違うけど、経営コースのお友達とも話してあげるの。私はバネッサだもの。名前を呼ばれたら、誰とでも仲良くするの。
(あら…?あのバネッサと呼ばれている人はだあれ?私と同じ名前で呼ばれているのね…。私にそっくりだわ。なんだか怖いわね…)
・・・・・
また長期休暇になって、私はブラウン家に戻って来たの。
私の家はここじゃないのに、仕方ないから居てあげているの。早く学院に戻りたいわ。私には婚約者のスティーブンと、たくさんのお友達がいるもの。
二年目が始まってからは、毎日スティーブンといるの。
「今日は機嫌が良いのかな?今日のバネッサはいつもより可愛いね。昨日のバネッサより今日の方が好きだな」
(いつものバネッサ…?どういう意味かしら?よくわからないわ…。でも、昨日より今日が好きっていう事は、どんどん私を好きになって行くって事なのね!スティーブンも照れないではっきり言えば良いのに。ふふっ)
「私もどんどんスティーブンが好きになっているわ」
そう言って、私達はキスをしたの。
それから暫くして、私の初めても捧げたのよ?
「僕のバネッサ、愛してるよ」
スティーブンがそう言うんだもの。
(私はスティーブンに愛されているのね。ふふっ)
ある日、お昼休みに会ったスティーブンが、変な事を言っていたの。私達の婚約が破棄されたって。
そんなはず無いじゃない。私達はいつも一緒に居るのよ?不貞なんて出来ないわ。
「私はそんな事知らないわ。私はスティーブンの事を愛しているもの」
そう言ってスティーブンにキスをしたの。
次の日のスティーブンはちょっと様子がいつもより可怪しかったけど、キスをしたらすぐに戻ったわ。
二人で仲良くご飯を食べていたの。
「やっぱりあの手紙は、何かの勘違いだったんだね。不貞なんて言うから、驚いたよ。」
「当たり前よ。スティーブンとバネッサは愛し合っているのよ?」
(私達は愛し合っているのよ。心も体も結ばれているの。ふふっ)
そうしたら、二人の時間に邪魔が入ったの。
あのバネッサと呼ばれる子だったわ。そして、よくわからない事を言い出したの。
(この子は何を言っているの…?意味がわからないわ。バネッサは私よ?ケリーなんて名前は知らないわ…)
そう思っていたら、スティーブンがその子に言ったの。
「待ってくれ!僕はこんな女よりもバネッサが好きなんだ!」
(こんな女…?私はバネッサよ!どんどん好きになって行くって言ってたじゃない!いくら婚約者でも、言っていい事と悪い事があるわ!)
そう思って、私はスティーブンを怒ったの。
「ちょっと!どういう事よ!いつものバネッサよりも私の方が良いって、何回も言ってたじゃない!私の事可愛いねって言って、キスしてくれたじゃない!」
「あれは君がバネッサだと思ったからだよ。君に言ったわけじゃない」
(何を言っているの?私がバネッサよ。私の初めてを捧げた、あなたの愛するバネッサよ?)
「信じられない!私の初めてだってあげたのに!」
私は気付いたら、学院から追い出されていたの。
またブラウン家に戻って来たわ。私の家はミラー家なのに…。誰かがいつも見張っているから、お家に帰れないじゃない!
(あぁ、お父様、お母様。可哀想なバネッサをお助けください…)
そう祈っていたら、見張りに隙ができたのよ?
(お父様達が私を助けてくれたのね!ふふっ)
私は隙を潜り抜けて、ミラー家に帰ったの。
「お父様!お母様!」
(やっと帰って来れたわ!)
そう思ったのに、取り押さえられて馬車に乗せられてしまったの。どうして…?
・・・・・
ここは何処…?
お父様もお母様も、スティーブンもいないわ…。
誰かの声がする。誰を呼んでいるのかしら…?
―ケリーさん、ケリーさん。あぁ、もうっ!
誰を呼んでいるの…?返事をしてあげないと可哀想よ。
「バネッサさん!」
「なあに?ふふっ」
私はバネッサ
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