どうぞ、おかまいなく

こだま。

文字の大きさ
5 / 9

しおりを挟む
「クラリス、用事があるからと呼び出されて来たけど……友達と一緒なのかい?」

噂をすれば、御本人様が……スーパーアイドルのイアン様がカフェの2階に来た~。
はじめてご尊顔を拝見いたします。素晴らしい景色です。
今まで知らなかったのが、人生の損失ぐらいの美丈夫です。そんな気持ちを掻き消す悲鳴が起こりました。

「きゃ~~~っ!!
ラナのイアン様が、ラナのイアン様がっ!」

――別に貴女のイアン様ではないし、スティーヴンはどうした、妹キャラよ……。
スティーヴンが隣でドン引きしているわよ。

呆気に取られ、呆然とラナ嬢をみる私たち。すると、イアン様がラナ嬢を見て口を開く。

「あれ?随分雰囲気が変わったけど、君は……」

「はいっ、貴方のラナです!」

そんな即答は要らないのよ。

「確か、僕に接近禁止だったよね。しまったなあ……」

バツが悪そうにしていても、美丈夫は爽やかである。

「今、こちらのスティーヴン·セヴル伯爵令息とお付き合いしているのですって。
相思相愛だそうだから、イアンお兄様の事はもう大丈夫なのではなくて?
ね?ラナさん」

クラリスは笑顔でイアンに経緯を少し説明する。余計な事をイアンに吹き込まれたラナはワナワナ震えながら、

「貴女、随分イアン様と親しげにしているけれど、
何様なの?」

と、食ってかかった。

「何様って……親戚よ?
イアンお兄様は従兄弟なの。それが、何か?」

「あなた、ただのファンクラブの会員じゃ……」

「私が会長なのよ。
身内でイアンお兄様を女狐達から守っているの」

思いもよらないカミングアウトに、ラナがえっ?と怯んで少し後ずさる。
あんな事やこんな事が、よもや、本人に確実に知れ渡っているのだろう。
今日のステュとのやり取りも、後で事細かく告げ口されるに違いない。
諦めたとはいえ、イアンを目の前にしたら想いが再燃してしまった。
そして、スティーヴンとの事を少し後悔した。
こんなに近くで話が出来るなら、イアン様を無理矢理忘れることなんかなかった、と。

二人のやり取りをただ見ているだけのアンジェラは、スティーヴンとラナの事より目の前のカオス的な事案に集中力を全部持っていかれていた。

――クラリスの従兄弟がイアン様?
そう言えば、クラリスに呼び出されたって言っていたけど……。
色々知っている訳だわ。ファンクラブを仕切っているのが身内のクラリスだから安全なのね……。
いや、そんなことよりこの雌牛、顔面が蒼白になっている……。
あら?もう一人、横にいるスティーヴンの顔色も落ちて白いわ……。
面白いから、このまま傍観に徹しようかしら。

もはや、アンジェラのスティーヴンへの思いは、ゴッソリ削ぎ落とされてなくなっていた。ただの野次馬と化している。

付き合う人を選ぶって、すごく大事よね……。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

番を辞めますさようなら

京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら… 愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。 ※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡

嫌いなところが多すぎるなら婚約を破棄しましょう

天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私ミリスは、婚約者ジノザに蔑まれていた。 侯爵令息のジノザは学園で「嫌いなところが多すぎる」と私を見下してくる。 そして「婚約を破棄したい」と言ったから、私は賛同することにした。 どうやらジノザは公爵令嬢と婚約して、貶めた私を愛人にするつもりでいたらしい。 そのために学園での評判を下げてきたようだけど、私はマルク王子と婚約が決まる。 楽しい日々を過ごしていると、ジノザは「婚約破棄を後悔している」と言い出した。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約破棄を、あなたのために

月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの? こちらは恋愛ファンタジーです。 貴族の設定など気になる方は、お避けください。

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?

白雲八鈴
恋愛
 我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。  離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?  あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。  私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

処理中です...