嫌われ者の妖怪少女

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旧作

カイの中に眠る妖怪

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学校へ行く道の途中カイは不思議そうに葵に質問した

カイ「ねぇ、葵さん。昨日の帰りの時のことあの男子達に妖怪の力を見られちゃったけど大丈夫なの?」


「あぁ、それでしたら、心配は必要ありませんよ。深夜のうちにわたしと覚で彼らの記憶を消してきましたので」


カイ「えぇーー!記憶を消すなんて事ができるの!?」

「覚妖怪には、心を読むと同時に記憶に干渉することもできるのですよ。なので覚には彼らの心の中の記憶に干渉してもらい、記憶を消してもらいました」

カイ「覚妖怪っていろいろなことができるんだね」

「そういった事は本人に聞くのが一番だと思います。少々お待ちくださいね」

そう言うと葵は左目に手を当てさとりに話しかけるように念じた

「(ねぇさとり、カイさんと少し話してみない?今だともう力はまともに使えないけどわたしの体を使えばカイさんと話すことくらいはできるはずです。」

さとり「おぉそれは面白いな!じゃあ頼む」

すると葵は左目から眼帯を外しカイに向けて顔を向けた。

さとり「よう!少年」

カイ「え、えぇーー!ど、どちらさま!?」

さとり「あははは、葵から話は聞いているだろ?
私が覚妖怪のさとりさ、ただ今は時間的にも力を使えないから妖怪とは程遠いがな!アッハハハ!」

カイはいきなり喋りだしたさとりに驚いているようだ。
驚いていながらも冷静に疑問を言った

カイ「能力が使えない?時間的に?どういう事?」

さとり「あぁそれはな、深夜に力を使いすぎたってのもあるが、妖怪ってのにとって一番行動しやすいのが、
丑三つ時と言われる時刻なんだ、丑三つ時ってのはだいたい深夜2時から2時30分ごろまでを指す言葉だな

私くらいの力を持っていると丑の刻である深夜1時から3時くらいまではしっかりと力が使えるんだぜ!
丑の刻じゃなくても昨日みたいに能力を使う事はできるがそこそこ力を使うんだ。だからある程度に控えているんだよな
でもまぁ、もっと力のある妖怪は昼でも余裕で能力発揮しやがるけどな、ハハハ!」


カイ「な、なるほど…じゃあ今の君はぼくの心を読めないの?」

さとり「いや、そんな事はないんだ。妖怪ってのは元から持っている能力は普段使っているから時間には左右されないんだ、
でもな、私の場合の記憶を消すとかそう言う事は普段やらないから制限されるんだよ
まぁ、要は今のあんたの心を読むなんて容易いって事だな!ハハハッ!」

カイ「あまり、読まないでほしいな~
さとりさんはどうして葵さんと一緒にいるの?」

さとり「さとりで呼んでくれても
構わないぜ~
私が葵といる理由か………
まだ君には話せないな。ハハハ!
おっとそろそろ学校に着くな、じゃあ私は戻るからな葵を頼むぜ」

さとりはそう言うと眼帯を戻し、しばらく経つと葵が戻っていた。

「さとりに聞きたい事は聞けましたか?」

カイ「いきなりでびっくりしたけど聞きたい事はちゃんと聞けたよ」

「それなら良かったです。あら、もう学校の前でしたか、
カイさん行きましょう。
あ、もし昨日の事を何か聞かれてもこう答えてください
私と一緒に帰った、と」

カイ「わ、分かったよ。葵さんと一緒に帰った、だね」

「はい、では行きましょうか」

そう言うと2人は大きな学校の中に入り、迷路のような廊下を抜け教室へと着いた。

すると、教室から担任が出てきて授業に使う物を取りに来てほしいと言われ、言われるがままに連れて行かれた

「クラス委員…これだから他の人がなりたがらなかったのですね」

カイ「これもクラス委員ならではのお楽しみさ♪ぼくは案外こういう雑用は得意なんだよ」

「カイさん、変わっていますね」

カイ「あはは、よく言われるよ」


そして、午前の授業が終わりお昼休み

カイが葵を誘い今は学校の屋上で昼食を食べている。

カイ「あ、葵さん。朝のお弁当ありがとうございました」

そう言ってカイが青い包みに入ったお弁当箱を葵に渡した。

そのお弁当箱はきれいに洗ってあった

「きれいに洗っていただけたのですか…余計な手間をかけさせてしまいましたかね。」

カイ「そ、そんな事ないよ!すっごく美味しかったよ!」

「そう言っていただけて嬉しい限りです」

そう言って2人はお昼を食べ始めた。


午後の授業も終わり、帰ろうとしていると、また担任に呼び止められ荷物を運んでいた。

カイ「あはは、またお手伝いさせられちゃったね~」

「クラス委員とは案外こういった仕事が多いのですね、知りませんでした」


カイ「よし!お仕事完了、じゃあ帰ろうか」

外はもう夕暮れ空だった。急いで帰らないと日が暮れてしまいそうだ

帰り道カイが思い出したように葵に聞いた

カイ「あ、そういえば葵さん。葵さんってどこの中学校だったの?」

「あ、私は中学は通ってないのです。」

カイ「どういう事?」

「私は今まで悪い妖怪たちと戦うために、こことは違う世界…といえば良いのでしょうか、そこで戦っていたので、今までに学校というものはこれが初めてなのです」

カイ「違う世界って?」

「それはですね……あ、危ないです!カイさん伏せて!」

カイは葵に押さえつけられ伏せるたがいきなりの事に驚き戸惑っていた

ゆっくり立ち上がるとカイは

カイ「い、いきなりどうしたの?」

「敵襲…ですかね」

葵がそれを言い終わると同時に目の前に赤い服を着た女性が浮いていた

「あなたですか…攻撃を仕掛けてきたのは…
質問しますあなたは巫女ですか」

巫女「えぇ、そうよ察しが早くて助かるわ。じゃあ死んでね」

葵は急いで左目に目を当て、何か呪文を言い放った!

すると辺りが一変した

赤い空、壊れかけの家、ぞわぞわするような謎の違和感。そこはまさに地獄、そう呼んでもおかしくない場所だった。

カイ「こ、ここは」

「いきなりすみません。緊急事態だったもので、ここが先ほど言っていた違う世界。簡単に言えば妖の世界です」

カイ「妖の世界…」

すると、カイが頭を押さえつけて叫びだした

カイ「グ、グワァー!アアァァー!」

「カ、カイさん!?どうかしましたか!?」

いつも冷静な葵も戸惑っている。しかし、巫女はそんな事にかかわらず突っ込んできた

巫女「トリャー!」

巫女は空中から葵に向かって容赦なく蹴りをしてきた

葵はカイを守るため仕方なく受けるが耐えきれず吹っ飛ばされた

「か、カイさん!」

葵はカイを守るために再びカイの元へと戻りか左目の力を解放した

すると、左目から葵とカイを覆うように大きなバリアが張られた

巫女「ク、クソ!こんなもの!」

「しばらくはあのバリアで大丈夫でしょう。しかし、カイさんは一体どうしてしまったのでしょうか」

カイはまだ頭を抱えて叫んでいる

カイ「ウギヤァーー!イタイ!アタマがイタイ!」

「カイさん!正気をどうにか保ってください!カイさん!カイさん!」

するとカイは倒れてしまった
それと同時にバリアが壊されてしまった。

巫女「ハッ!やっと壊れたな!大人しく死ね!妖怪!」

巫女は再び葵を襲おうとした。その時

カイの体が動き出し巫女を襲った

「カイ…さん?」

カイはそのまま巫女を攻撃し続けた。

巫女「クソ!なんだこいつ!まさか、お前も妖怪か!」

再びカイの猛攻が始まる

巫女「ウワァァー!誰か!助け…て…」

カイはそのまま巫女を殺した

カイの動きはとても人間離れしており、とても、残酷な戦い方だった

「カイさん……さとり!カイさんの心読める?」

葵は急ぎさとりに話しかけるがその瞬間

カイ?「なぁお前この体の主の仲間か?それとも敵か?」

「カイさんとは友達です!あなたこそ誰ですか!さとり!」

さとり「あいよ!って、まさかあなたは…!」

「ど、どうしましたか!さとり!」

カイ?「ハハハ、人の心を勝手に読むとは流石は「嫌われ者」だな覚妖怪よ」

「さとりのことを知っている?あなたは一体…」

天狗「あぁ、自己紹介が遅れたな我の名は天狗。訳あってこの少年とともに暮らしている。が、少年自身は我の事など認識していないのだろうがな」


「て、天狗様だったのですか…よろしければお姿を拝見させて頂いても」

天狗「姿を見せたほうが信用できるか、まぁ、よいこの少年と仲良くしてくれている礼だ」

すると、カイの体から緑の光が出てきた
そして、その緑の光はだんだんと形をあらわにした。

長い鼻、葉っぱのようなうちわ、そして、背中の翼。それはまさに伝説通りの天狗であった

天狗「これでいいのか?」

「余計なお手を煩わせてしまい申し訳ございません。」

天狗「まぁまぁそうかしこまらなくても良い。
確かに我はこの日本ではかなりの力を持つ妖怪であるがカイの仲良しであらば、そんなものは関係ない」

「そこに少し疑問に思うことがあるのですが、よろしいでしょうか」

天狗「あぁなぜ我がカイの中にいるか、じゃな、それはこの少年自信が昔、我と出会っているからなのじゃ」

天狗「昔な、少年がまだ子供だった頃、こやつ山で迷いおっての、その時に我とあったのだ。
そして、この少年は自分が困っておるというのに1人でいた我のために元気付けようと遊んでくれたんだ。
あの頃人間どもに嫌われていた我にとってはとても楽しい時間だったよ」

天狗「それから十数年、我はあの山を離れて、そこら辺を飛んでいたら人助けをしている1人の少年がいたんだ」

天狗「よく見たらあの頃の少年ではないか、とな。姿が変わっておっても顔と優しさだけは変わらん。我は再びこの少年と出会えたのだ」

天狗「そして、この少年の体には勝手に入らせてもらっているのだ。
いつかは話さなければ行けないと、分かっていても、忘れられているかもしれぬと思うと。怖くてなぁ」

「なるほど…そういった理由でしたか…カイさんならきっと忘れていないと思いますよ
天狗様も思い切って言ってみてください。そうすればきっとスッキリとすると思います」

天狗「そうか?だが、今は気絶しておるのだ。きっと、我がカイの体を操ろうとした時に激しい頭痛に襲われたのだろう」

天狗「無茶なことをしなければよかったな」

「ところで、天狗様、どうして私を救ってくださったのですか?」

天狗「そんなもの決まっているだろう。カイの友達、だからな、それと、そこの覚妖怪を見たかったのもあるな」

さとり「わたしが何かしたっていうのか」

天狗「いいや、何でもない。我はこの少年の体に戻るが、少年はどうしたらいい?」

「でしたら、また、我が家で引き取らせていただきますよ。
夜になったらカイさんも交えて色々とお話ししましょう」

天狗「わかった。では少年を頼むぞ葵よ」

そう言うと天狗は再び光となってカイの体の中へと戻っていった


「天狗ですか…とんでもない妖怪がカイさんの中に…」

さとり「とりあえず今はカイを連れて家に帰ろう」

「そう…ですね」


そう言って葵は左目を眼帯で閉じた。

それと同時に葵は元の世界にいた。

「それではカイさん。帰りましょうか」

そう言うと葵はカイを持ち上げてなにか、悩みながら帰って行った

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