嫌われ者の妖怪少女

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旧作

濃霧

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「では、そろそろ2人の元へ戻りましょう」

カイ「そう…だね。うん、よし!戻ろう!あ、葵さん!あの霧?は何かな?」


「霧、ですか?公園の方向…ッッまさか!(さとり!聞こえますか!)」

カイ「も、もしかして天さんたちに何かあったの!?」

「い、いえ今さとりに…」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「なぁ天狗もうわかっただろ?少しは落ち着けよ」

天狗「あぁ分かっているさ……それとだな、さとりよ」

「あぁさっきから影でこそこそしてる嫌な気配がする。なぁ出て来いよ!」


さとりの目の向けた先からはモヤモヤと霧の様なものが出てきた。そしてその霧の中からは妖怪らしきものが現れた


天狗「そなたは…妖怪か?まだ不完全な様に見えるが…」

「なぁ天狗、ここに来たときに見た不完全な妖怪のこと覚えているか?きっとあいつはあの時のだ」

天狗「なんと!いや、しかし…姿が変わりすぎている様に見えるが…」


「なぁ天狗、数年前の不完全な妖怪が暴れた事例知ってるか?」

天狗「あぁ、あたり一面が霧で包まれ、その中だけで暴れ続け、霧が晴れた頃にはその霧の範囲だった場所だけがボロボロの街になってしまった、というものだな」

「まぁそうだな。多分これはそれだな…でもおかしいな…さっきの状態からここまで来るには半月はかかるはずなのにな…」

妖怪「フッ!」


天狗「避けろっ!ッと、悩むのは後だ!さとり戦えるか?」

「待て待て、まずは葵たちと合流しよう。私もその方が力を使いやすい。それと少し不安だ。」

妖怪「ニーガースーカァー!ハァァー!」

叫ぶ、と同時に霧が濃くなり視界が悪くなる、そして敵の気配が一気に増えた

「ちょっ!天狗こっち来い!」

天狗「お、おぅ!……そう簡単に逃げれそうではないな。なんだこの霧は…」

「私たち中心に円みたいに広がっていくな…見える範囲は半径十メートルくらいか…しかも霧の中からはかなりの妖怪の数の気配がするな…」

天狗「いつの間にこんな量を…」


コ    コ   コロ   コロセーー!


ギャーー

ウガーー


「クソッ!このままじゃ逃げれない…天狗、風で吹き飛ばせそうか?」

天狗「おう!分かった!一旦周りを敵ごと、霧を吹き飛ばす!」


天狗「オラァーー!」


天狗がうちわを大きく振り、霧を吹き飛ばす。

天狗たちを中心として大きな範囲の霧が飛んだが、それもつかの間、少し奥まで見えたと思ったら一瞬で霧は元に戻った。

そう簡単に霧をすべて飛ばす事はできなさそうだ。


天狗「どういう、事だ?まさか、外も霧に囲われているというのか!」


「霧は一瞬飛ばせたがすぐに戻ったか…しかもここら一帯は霧で覆われているのか……そして、敵は一匹も倒れていなかったな…」


「もしかしたら葵たちも襲われてるかもな…これは一刻も早く切り抜けて合流しないとだな」


ナニヲ  グチャグチャト  ハヤクシネ!ソシテ   クワセロ!

「また気配が増えやがった…こりゃ戦うしかないな、天狗!しばらく持ちこたえるぞ!葵たちは無事なはずだ!きっとすぐにこっちに来るさ!」


天狗「クソッ!お前ら全員相手してやるわ!」


「前衛は任せる!私は後ろでサポートする!」


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「(さとり!聞こえますか!)」


「ダメですね…返事がありません……カイさん少し危ないかもしれませんが、助けに行きます。カイさんは危ないかも知れません…どうしますか?」


カイ「どうするって…行くに決まってるでしょ!天さんを…助けに行くんだ!」

「分かりました…ですがカイさん1つ約束を…」


そう言うと葵はカイに宝石のようなものを差し出した

「…もし私が危険と判断して、それを使ってと言ったら必ず使用してください。その宝石にはワープできる能力が備わっています。使えるのは一度だけ、ワープの先は私の家です。」

カイ「つまり危険になったら僕は逃げろって事?そんな事できないよ!」

「すみませんカイさん。これを約束できなかったらこの先は連れて行けません。天狗さんに怒られてしまいます」

カイ「うぅ…分かったよ…どうやって使うの?」

「その宝石を握って私の部屋を思い浮かべてください。そうすれば光に包まれ私の部屋にワープされるハズですから。」


カイ「分かった…天さん…必ず助けるからね…」
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