素直な魔王の物語

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魔王の姿の勇者編

魔王として?

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俺は勇者、しかし今は魔王。

かつて勇者として回った村々ではエセ勇者だの、夢見る青年などと言われて、誰も俺を勇者だとは信じようとはしなかった

勇者の使いのはずの光の精霊に出会ったのも、魔王に戦いを挑みに来る少し前のことだ

なぜなんだ…世界は俺に魔王を倒せと光の力を宿させたのに、なぜ…誰も信じてくれないんだ



俺がこんな思いをするのは全て魔王がいるせいなんだ。俺はいつもそう思い、魔王を倒すためだけに力をつけてきた。
そして魔王との戦いのときに俺にとっての救いが来た。





そう。この姿だ

今俺は魔王の姿をしている。そしてある程度、力も操れる。
今まで我慢し続けてきたが、これはまたと無いチャンス。今まで俺を馬鹿にしてきた人間どもを始末するチャンスだと、俺は考え、実行した




「おい、ゴブリン。魔物を集め魔王城の前に整列させろ」

「は、ハイでゴンス!」


俺は世界を滅ぼすために、魔王軍を率いて人間の領土を侵略しようと思う。


「魔王様!集まりましたでゴンス!」


「よし、お前ら!今から人間の領土を侵略しに行く!準備はいいか!」


「…………………」

「ま、魔王様、やはり勇者との戦いで皆、疲れているんでゴンス。もう少し休ませてやったほうがいいのでは無いかと思うでゴンス」


「何を言っている!貴様らは魔物だろ?そして兵士だろう?ならば魔王の言うことは絶対だ!働かない奴にやるエサは無い!」

「理不尽だー!」
「そーだそーだ」

「うるさい!反対意見のやつは堂々と出てこい!俺との戦いに勝ったらお前らの好きにしてやってもいいが、俺に負けたら、死ぬまで…いや、その場で死んでもらおう。」


「(魔王様…今まではこんなんじゃ無かったでゴンス…いったいどうしたんでゴンスか…)」


「じゃあ俺が相手をしてやろう。」


「構わん。ところでお前は誰だ?」

「親父の顔も忘れたか…このクソ王子が」

「あぁん?」

「ま、魔王様!まさか忘れてしまったんでゴンスか!?あのお方は先代魔王様でゴンス!しばらくこの魔王城にいらっしゃらなかったのに、いきなり現れるだなんて…」


「なるほどなぁ?つまり一般的に見れば親子ゲンカに見えるのか、だがまぁ俺の親父じゃなくてこのカラダの親父だろうがな!」

「(このカラダの?一体どういうことでゴンス…」


「1から指導してやろう!来い」

「今の魔王は俺の意のままだ!倒せるものならやってみやがれ!」


「あぁ!このままではこの魔王城が壊れてしまうでゴンスー!みんな逃げるでゴンスーー!」
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