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琥珀の森 5
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「わたし、本当に、その、ここの王になる人の時空双子、なのかな」
「その首飾り、それが何よりの証。ただし、今は、まだ王を継ぐもの、王子、であるが」
「……」
考えこんだノアに向って、ロータスが言葉を続ける。
「とにかく一度おもどりになられよ。アラバスターさまは現在行方知れず。もしやあなたの世界に迷いこんでいるのではないか」
「あ、実は、うちの猫に仮住まいしたことがあって、少し話したんです。でも、長くはこちらにいられないからってもどったはずなんです、こちらに。それで、わたし、探しにきたんです」
「だが、アラバスターさまは、ここにはおられぬ」
ロータスの言葉にノアは言葉を失った。
そんな馬鹿な。
ノアは、香りを辿ってここに来たのだ。
少なくとも、一度彼はここにもどったに違いない。
それから再び何処かへ行ったのだろうか。
もしくは自らの気配を封じて身を潜めているのだろうか。
「最後におわしたのがあなたの世界であれば、手がかりはそこにあるはず。その残り香を手がかりに、あなたの世界の座標から辿るしか、すべはない」
「でも、彼はもどると言っていたので、最後にいたのはここだと思います」
「……」
ロータスはしばし黙考し、それから口を開いた。
「時空双子である存在がここにいないとなると、あなたは危険な目にあいやすい状態となる。私といるかぎりはだいじょうぶだが、ずっといっしょにいるわけにもいかぬ。ここは、ひとまずあなたの世界へもどられるがよい。もどられてから、もう一度、そちらの世界での痕跡を探されるがよい」
声は穏やかだが有無を言わせぬ威厳に、ノアはうなずくしかなかった。
「では、今、ここで」
ロータスに促されノアは目を閉じて手順を思い出す。
香り。
そう、自分の香りの記憶さえ呼び覚ませば確実にもどることはできるはずだった。
「再びあいまみえるまで、息災に」
ロータスの声を遠くに聞きながら、ノアはアロマダウジングに入っていった。
「その首飾り、それが何よりの証。ただし、今は、まだ王を継ぐもの、王子、であるが」
「……」
考えこんだノアに向って、ロータスが言葉を続ける。
「とにかく一度おもどりになられよ。アラバスターさまは現在行方知れず。もしやあなたの世界に迷いこんでいるのではないか」
「あ、実は、うちの猫に仮住まいしたことがあって、少し話したんです。でも、長くはこちらにいられないからってもどったはずなんです、こちらに。それで、わたし、探しにきたんです」
「だが、アラバスターさまは、ここにはおられぬ」
ロータスの言葉にノアは言葉を失った。
そんな馬鹿な。
ノアは、香りを辿ってここに来たのだ。
少なくとも、一度彼はここにもどったに違いない。
それから再び何処かへ行ったのだろうか。
もしくは自らの気配を封じて身を潜めているのだろうか。
「最後におわしたのがあなたの世界であれば、手がかりはそこにあるはず。その残り香を手がかりに、あなたの世界の座標から辿るしか、すべはない」
「でも、彼はもどると言っていたので、最後にいたのはここだと思います」
「……」
ロータスはしばし黙考し、それから口を開いた。
「時空双子である存在がここにいないとなると、あなたは危険な目にあいやすい状態となる。私といるかぎりはだいじょうぶだが、ずっといっしょにいるわけにもいかぬ。ここは、ひとまずあなたの世界へもどられるがよい。もどられてから、もう一度、そちらの世界での痕跡を探されるがよい」
声は穏やかだが有無を言わせぬ威厳に、ノアはうなずくしかなかった。
「では、今、ここで」
ロータスに促されノアは目を閉じて手順を思い出す。
香り。
そう、自分の香りの記憶さえ呼び覚ませば確実にもどることはできるはずだった。
「再びあいまみえるまで、息災に」
ロータスの声を遠くに聞きながら、ノアはアロマダウジングに入っていった。
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