46 / 46
アロマダウザー ノア 3
しおりを挟む
翌日、いつになく目覚めがよくて、早く起きたノアは、近くの公園へ散歩に出かけた。初夏の早朝の空気は清々しかった。
公園のベンチには、偶然なのか、凍汰が座っていた。
「おはよう」
めずらしく、凍汰から、声をかけてきた。
「お、おはよう」
ノアは答えると、少し迷ってから、ベンチの端に腰かけた。
「王子は、おまえの時空双子は、最後に、何て言ってた」
凍汰がいつもの調子でぶっきらぼうにたずねてきた。
「王子は、こちらへ渡る直前に、副神官ロータスから、重大な秘密を明かされていたの」
「重大な秘密?」
「強力な魔力で身を守っている、神官長アンバーの力を封印するものがあるの」
「それは、なんだ」
「悪しきものを浄化できる香料を集めて、それを蜜ろうに混ぜてにろうそくをつくって、そこにアンバーの邪心を封じ込めて、長い時間をかけて燃やし尽くすのですって。ここに必要な香料が記されているみたい」
ノアは首にさげたアラバスター王子から授けられた銀のスカラベのロケットをあけて、その中に入っていたびっしりと象形文字の記された草から作った紙パピルスを凍汰に見せた。
「古代タムリ文字かな。これは夢惣さんに解読してもらわないと読めないな」
凍汰はパピルスをじっと目で追っている。
「読み解けたら、探しに行くつもり、わたし」
ノアの心もとなさげな声の宣言に、凍汰がノアの顔をじっと見つめた。
凍汰の目には、同意を表わす強い光が宿っていた。
ノアは心強さとともに、照れくささを感じて、しきりにまばたきをした。
叔父の夢惣も、助手の礼基も、頼りになる大人だ。
けれど、ノアは、今この瞬間、隣りにいる少年が、誰よりも頼もしく思えた。
そして、もう一人の自分だという王子アラバスター。
初夏の朝日を浴びながら、ノアは、思いを新たに顔をあげた。
公園のベンチには、偶然なのか、凍汰が座っていた。
「おはよう」
めずらしく、凍汰から、声をかけてきた。
「お、おはよう」
ノアは答えると、少し迷ってから、ベンチの端に腰かけた。
「王子は、おまえの時空双子は、最後に、何て言ってた」
凍汰がいつもの調子でぶっきらぼうにたずねてきた。
「王子は、こちらへ渡る直前に、副神官ロータスから、重大な秘密を明かされていたの」
「重大な秘密?」
「強力な魔力で身を守っている、神官長アンバーの力を封印するものがあるの」
「それは、なんだ」
「悪しきものを浄化できる香料を集めて、それを蜜ろうに混ぜてにろうそくをつくって、そこにアンバーの邪心を封じ込めて、長い時間をかけて燃やし尽くすのですって。ここに必要な香料が記されているみたい」
ノアは首にさげたアラバスター王子から授けられた銀のスカラベのロケットをあけて、その中に入っていたびっしりと象形文字の記された草から作った紙パピルスを凍汰に見せた。
「古代タムリ文字かな。これは夢惣さんに解読してもらわないと読めないな」
凍汰はパピルスをじっと目で追っている。
「読み解けたら、探しに行くつもり、わたし」
ノアの心もとなさげな声の宣言に、凍汰がノアの顔をじっと見つめた。
凍汰の目には、同意を表わす強い光が宿っていた。
ノアは心強さとともに、照れくささを感じて、しきりにまばたきをした。
叔父の夢惣も、助手の礼基も、頼りになる大人だ。
けれど、ノアは、今この瞬間、隣りにいる少年が、誰よりも頼もしく思えた。
そして、もう一人の自分だという王子アラバスター。
初夏の朝日を浴びながら、ノアは、思いを新たに顔をあげた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(7件)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ファンタジー感が増してきてワクワクします!
感想をありがとうございます。
幻想的な雰囲気が好きなので、描くのも楽しいです。
急展開ですね、新キャラも次々登場で気になります!
感想をありがとうございます。
新キャラがどのように関わっていくのは、お楽しみに!
生き物のようなクリサリスのリングがどんな風に使われるのか楽しみです。
感想をありがとうございます
ファンタジー小説を書く楽しみの一つに、特別な装身具を考え出すことがあります
そして、それを身につけた人が使いこなせるようになるまでの過程を考えるのも楽しいです