転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~

喰寝丸太

文字の大きさ
22 / 164
第4章 冒険者のドラゴン

第22話 運搬依頼

しおりを挟む
 朝っぱらから塀の外がうるさい。
 ドラゴンは耳が良いから遠くの声も拾っちゃう。

「出て来い!! ドラゴン!!」

 あの声は確かテイマーのズリー。
 俺が塀の外に舞い降りると、とんでもない事を言い始める。

「俺は遂に許可なしで隷属させる呪文を開発した。いくぞ。ヒラニシ・モチニミ……む」

 魔法の詠唱が終わるとズリーは気絶した。
 これは隷属魔法だなどこが違うのかと言うと『メホン』の文言が『メン』になっている。
 その行のイメージはこうだな。

 『system("copy /Y temp テニツチスシ.soul");』

 書き換えを許可なしにして、システムに弾かれたのか。
 そうして気絶したと。
 馬鹿だな。
 神様が創ったのかは分からないけど。
 そんなに簡単にシステムの穴が突ける訳ないだろう。

 今日は魔法名鑑定士が一緒じゃないのだな。
 リタリーによると魔法名鑑定士は一族で魔法を秘匿しているらしい。
 そういえば俺と会った時は口元を隠し小声で詠唱していたな。
 呪文がばれないように対策しているんだろう。
 魔法名の鑑定は一回金貨一枚からだそうだ。
 美味しい商売だな。
 でも、ミニアにやらせたりしたら、殺し屋が飛んできそうだ。
 前回は金を沢山積んで無理やり連れてきたのだろう。
 友達とかじゃなかったのだな。

 そうだ、魔法名鑑定の魔道具を作ってみようか。
 でも、売り捌くのが難しいな。
 商人も殺し屋はごめんだろうし。
 中々うまい具合にはいかないものだ。



 今日の課題依頼は穀物の運搬だ。
 普通の冒険者なら荷馬車を借りて来てそれを使う。
 俺、俺ならアイテムボックスで一発だ。

 穀物を受け取りに農村まで飛ぶ。
 農村に着くと。

「怪物だ。Sランク魔獣だ」

 やっぱり大騒ぎになったか。
 今度この手の依頼をする時は伝言魔法を使っておこう。



「注目。頭。入れても。食われない」

 ミニアが大口を開けた俺の口の中に頭を入れるというパフォーマンスを見せる。
 村人は納得したみたいだ。
 俺は依頼の穀物をアイテムボックスに収納して街に引き返した。
 倉庫に穀物を入れ、報告のため訪れたギルドの外で俺は待った。
 いくら経ってもミニアは出てこない。
 あまりに遅いので耳を澄ます。

「冗談ですよね。二時間でこの依頼が終わるわけありません」
「終わった」
「とにかくズルは駄目です。どうせ依頼主を脅すとかしたんでしょう」
「してない」

 おう、もめてるな。
 俺って言っちゃあなんだけど無敵だ。
 しかし、こういうのは解決できない。
 仕方ない力技でいこう。

 俺は大声で吠える。
 なんだなんだとギルドから人が出てきた。
 ミニアともめていた職員も出てきたので、職員を口に咥え背中に乗せる。
 ミニアが背中によじ登ったのを見て飛び上がった。

 職員はわめいていたが気にせず森に進路をとる。
 エアカッターの魔法で木を数十本、伐採。
 アイテムボックスに木を入れて、街に戻る。

 職員は相変わらずわめいていた。
 ギルドの前に丸太を積み上げ、ブレス一発。
 職員の顔は青くなった。
 なんだか、怪獣になった気分だ。
 そういえば俺ドラゴンだった。

「出来る。証明した」
「ばかもん! やりすぎじゃ!」

 ギルドマスターが怒鳴った。

「ウィザ、悪くない」
「従魔の責任は飼い主の責任じゃ」
「私、悪くない」

 ごめん、ミニアかばってやれなくて。

「受付が困っとる。お金をちょろまかしても分からないじゃろうと言っとった。不心得者が出てドラゴンが暴れるんじゃないかと。罰として計算を覚えてもらうのじゃ」
「そんな」



 ギルドマスターに首根っこをつかまれミニアは連行されていった。
 そっと耳を澄ます。

「6足す。8は。14」

 ミニアの元気な声。

「8引く6は」
「4」

 少し自信なさげなミニアの声。

「2じゃ。足し算はできるのに引き算は出来ないとはのう。4足す6は」
「魔力ない」
「なぜ魔力が関係あるのじゃ。こやつズルしておるな」
「ギクッ」

 声からミニアが焦った様子が伝わった。

「出来るまで帰さん。計算問題を十ページじゃ」

 やってるな。
 魔力が切れそうなんで、もう足し算はできないのか。
 良い機会だから教えてもらうと良い。

 俺はそうだな。
 四則演算が出来る魔法でも開発するか。
 数式イメージを入力。
 数字と記号を分離して後は順番に計算すれば良いな。
 まだ魔法では判明してないが多方向分岐があれば簡単だな。
 多方向分岐というのはこういうのだ。

switch(ichimoji){ /*ichimojiというデータを参照*/
 case '+': /*+ならば*/
  プラスの処理
 break; /*処理の終わり*/
 case '-':
  マイナスの処理
 break;
 case '*':
  掛け算の処理
 break;
 case '/':
  割り算の処理
 break;
 case '=':
  イコールの処理
 break;
 case '0':
  数字の処理
 break;
  ︙


 と計算の魔法ではこういうイメージになる。
 要するに文章でいえば箇条書きだ。
 『if』を重ねても可能だが、こっちの方がすっきりする。


 厳密にやるなら掛け算と割り算を最初に計算するようにしないとな。
 その場合、乗除算のループと加減のループを分ければ良いだけか。
 魔法の構築に夢中になり何時しか時は過ぎていて、計算魔法のイメージが出来上がる頃にはミニアの罰は終わっていた。

「すまん、やりすぎた」

 俺はミニアに魔法で謝った。

「良い。私も。頭きてた。もう少しで。殴ってる」
「今日はなんでも一つだけお願いを聞いてもいいぞ」
「うーん。指輪ほしい」

 指輪か。
 宝物庫にあったかな。
 記憶を探る。
 そう言えば拾ったのがあったけど、中古はなんか嫌だな。
 作るか。

「指輪作ろうと思うけど、材料はどれがいいかな」
「ウロコ」

 俺のウロコか。
 そんなので良いのか。
 ウロコは何かに役に立つかなと思って宝物庫に沢山ある。
 俺が急いで一枚取って来るとミニアが宝石店に依頼。
 特級料金で頼んだらしい。
 数分で出来上がった。
 魔法で作ったのか。
 呪文を是非知りたいな。
 ミニアは全てが赤いド派手な指輪を手に取る。
 それを指に嵌めると透かしたり色々な角度から眺めてご満悦だった。
 とにかく波乱の運搬依頼は終わった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

26番目の王子に転生しました。今生こそは健康に大地を駆け回れる身体に成りたいです。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー。男はずっと我慢の人生を歩んできた。先天的なファロー四徴症という心疾患によって、物心つく前に大手術をしなければいけなかった。手術は成功したものの、術後の遺残症や続発症により厳しい運動制限や生活習慣制限を課せられる人生だった。激しい運動どころか、体育の授業すら見学するしかなかった。大好きな犬や猫を飼いたくても、「人獣共通感染症」や怪我が怖くてペットが飼えなかった。その分勉強に打ち込み、色々な資格を散り、知識も蓄えることはできた。それでも、自分が本当に欲しいものは全て諦めなければいいけない人生だった。だが、気が付けば異世界に転生していた。代償のような異世界の人生を思いっきり楽しもうと考えながら7年の月日が過ぎて……

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...