転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~

喰寝丸太

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第5章 教習生のドラゴン

第28話 野営訓練

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 今日は野営訓練だ。
 俺はミニアを背に乗せて教官と他の教習生と一緒に森を歩いていた。
 ミニアはだいぶ楽をしているが良いのかなと思ったが教官によればオッケーらしい。
 持っている才能は余す事なく使うというのが方針らしい。
 アイテムボックスを持っている者は必然的にそれを使う。
 テイマーはテイムしている従魔を使う。
 同じ事だとミニアに向かって言っていた。

 日が暮れてきたので野営の準備を始める。
 俺は石で出来た竈をアイテムボックスから出し設置。
 晴れていたのでテントは張らずミニアは俺に包まれて眠るようだ。

「こんなのありか」
「ある」

 二十代前半で髪を短く刈り上げた男がミニアに絡んでいる。
 教官はニヤニヤしながら見守っていた。
 どうせ冒険者たるもの冒険に出れば自分の身を守るのは自分しかないとか言うんだろうな。

「お前、子供の癖に生意気だぞ」
「文句なら。教官に」
「ふん実力もない小娘が。ドラゴンもどうせ、はったりなんだろう」
「ウィザ、無敵。あなた。雑魚」
「なんだと、やるか」

 俺は筋力強化をミニアに掛けた。
 実は筋力強化、重ねがけが出来る。
 しかし、何回も掛けると酷い筋肉痛が起こるのだ。
 ミニアに掛ける魔法は五回ループするようにした。
 だいたい筋力六倍だろうか。
 これが筋肉痛を起さない限界のようだ。
 効力は十分ぐらい続く。

 男のパンチがミニアを見舞う。
 ミニアはそれを片手で受け止めた。

「よわ。よわ」
「糞。びくともしやがらねぇ」

 男は腕を引こうとしてミニアが急に離したのでたたらを踏んだ。
 ミニアはすかさず足を払い。
 馬乗りになって拳を振り上げた。

「参った」
「なら。良い」

 教官が手を叩く。

「ミニア、見事だったぞ。やられそうになったら助けようと思ったが、要らぬ気遣いだったようだ」
「手出し無用」
「ここに居る奴に言っておく。ミニアはCランクの実力はあるぞ。侮らない事だ。武器を抜いていればドラゴンが反撃するだろう。覚えておけ」

 ミニアを侮る空気は消えたように思う。

 ミニアが竈で干し肉を焙る。
 少し柔らかくなった干し肉を俺の顔に向かって投げる。
 俺は口を大きく開けキャッチ。
 ありがたく頂いた。
 こんなちょっとで腹は膨れないが、自分が食べるより先に差し出すミニアの気遣いが嬉しい。

 ミニアの食事も終わり、俺が丸まるとミニアは毛布を持ってすっぽり収まった。
 見張りは交代制のようだ。
 夜中に恐る恐る俺をよじ登りミニアを起こしに来た。

「んっ。眠い」
「ガォ」

 俺が舌で突くとミニアは起きたようだ。
 俺も一緒に見張りに立つ。
 この辺の魔獣は俺に恐れをなして来ないのは分かっているが、何事も経験だからな。
 草むらが揺れる。
 ミニアがショートソードを構えた。
 出てきたのは兎だ。
 真っ赤に光る目が禍々しいが、無害な普通の兎だ。
 角がある喧嘩早い兎とは違う。

 アースバインドの魔法を発動させる。

 呪文のイメージはこうだ。

char earth[10000]; /*大地の領域*/
void main(void)
{
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 mp=bind_make(earth); /*大地の領域を拘束の魔法に*/
 bind_move(mp); /*拘束の魔法を動かす*/
}

 先日遂に大域変数の役目が判明した。
 それは世界だ。
 世界を変える時は大域変数を使うらしい。
 しかも場所の指定が曖昧だ。
 『earth』ってイメージは魔法言語だと『イチスカク』になる。
 この単語だけで獲物の下の地面を指定している。
 大域変数を使う場合名前も重要なのだな。
 勝手にはつけられないらしい。
 魔法ゆえのルールだな。
 地面は沢山あるのに獲物の下の地面を自動的に指す。
 世界を指定するのは自分の魔力を指定するのとは違うということなんだろう。
 魔法だからな。

 でも、これ魔力の消費が半端ない。
 アースバインドは二次元だから良いが、大気や地下や水なんかを動かしたければ三次元だ。
 魔力がもの凄く要る。

 一立方メートルの物に干渉するには領域が百万要る。
 魔力にして一万だ。
 とても現実的ではない。
 俺の全魔力でも3メートル75センチの箱の範囲しか影響を及ぼせない。
 まあ、世界を丸ごと動かしたいとは思わないがな。



 兎は土のロープに捕まり、ミニアが仕留めた。
 ミニアの朝飯にちょうど良いだろう。
 見張りしながらミニアが手早く解体する。
 生肉が美味しそうだ。

 魔獣が現れる事なくミニアの担当の時間は終わり、俺達は再び睡眠に入った。
 朝が来て昨日の兎をミニアは竈で焼く、例によって一番に俺に焼肉を投げる。
 うまうま。
 タレが美味しいです。

 ミニアの要らない物を俺のアイテムボックスに入れ出発する。
 足取りの重い者は居ない。
 曲がりなりにもCランク候補だからな。
 そろそろ、俺にびびらない魔獣が出て来てもいい頃だな。

 出てきたか。
 オーガベアだな。

「ミニア、お手本にやってみろ」

 教官の言葉を聞いて俺は間髪を容れずオーガベアを前足で押さえた。
 3メートル近い巨体も俺には幼児の大きさだ。

「いく」

 慌てて俺はミニアに筋力強化の魔法を掛ける。
 ミニアはショートソードをオーガベアの脳天に突き立てた。

「見事だ。相変わらずドラゴンとの連携が良いな」

 教官が褒める。

「俺もドラゴンがほしい」
「無理だよ。お前じゃ」
「そんな事ないやい」
「じゃ一撃でオーガベアの頭蓋を貫通できるか」
「むっ」

 他の教習生がそう話しているのが聞こえた。
 野郎に使われる趣味はない。

 教習は続き魔獣もちらほら現れ、流石に危なげなく他の教習生が仕留めた。
 ソロではなくパーティでだが。
 ミニア以外の教習生に疲れが見えた時に野営の準備を教官が告げた。

 野営は順調に進み、寝静まった頃。
 夜中に教官が全員を起こした。

「お前ら、朝までに街道まで帰るんだ」
「なんの訓練ですか」
「逃げる訓練だ。夜中に魔獣に襲われ撤退するという設定だ。油断していると死ぬぞ。魔獣には夜行性のものも居るからな」
「そんな」
「誓約書には訓練中の事故には責任を求めませんと書いてあるからな。さあ急げよ。ちなみに朝までに街道に着けない奴は力不足だ」

 おう、厳しいな。
 俺の背中にミニアが乗る。
 俺は不安一杯の教習生を尻目に夜空へ舞い上がった。
 もちろん街道には一番乗りだ。

 空が白くなる頃には教習生が次々に疲労困憊で駆け込んで来た。
 ミニアをこんなに甘やかして良いんだろうか。
 でもミニアも頑張っている。
 木剣の素振りもへとへとになるまで欠かさずしてる。
 まだ子供だからな守ってやらなきゃ。
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