転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~

喰寝丸太

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第18章 課外授業のドラゴン

第107話 防衛戦

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「ちゅーもーく。これから誘引剤を使う。魔獣が押し寄せてくるから、気を引き締めるように」

 ロッカルダが生徒を前にそう宣言した。
 いよいよ始まるのだな。
 思った通り防衛戦のようだ。

 なにやら馬車から厳重に封印された箱を持って来る。
 紙の封を剥がして、蓋の隙間にナイフを突き立てた。
 あれが誘引剤か。
 俺の鼻が非常に食欲が沸く匂いを捉える。
 たまらん、いくらでも食えそう。
 周りの人間が肉の塊に見えてきた。
 よだれが垂れまくる。
 生徒の顔が盛大に引きるのが見えた。
 いかん、いかん。

 俺は理性を保つために陣地の外に逃れた。
 陣地の外にも匂いが漂う。
 辛抱たまらん。
 その時、森からオーガが飛び出して来た。
 おお、ちょうどいい肉が来たぞ。

 オーガを足で押さえて生きたまま低温ブレスでじっくり焼き上げる。
 死んだようなので裏返して低温ブレス。
 こんがりジューシーに焼きあがったな。
 いただきます。
 頭からぼりぼりとやっていたら、石の塀の上に立つ生徒が真っ青な顔になっていた。
 これで腹八分目だから、人間は食わないよ。

 オーガを食っていたら、いつの間にか周りはゴブリンだらけになっていた。

「魔力が尽きるまで魔法を撃ちまくれ」

 ロッカルダがげきを飛ばす。
 生徒達の詠唱が始まった。

 次々に放たれる火球。
 トーチカからも火球が放たれる。

 ゴブリンは黒焦げになるが、森の奥から続々と援軍がやってくる。
 これはジリ貧だな。
 オーガを俺が食っちまったから良いようなものの。
 石の壁と俺がいなかったら陣地は落とされていた可能性が高い。
 無茶な計画を立てるものだな。
 おっ、またオーガがやって来た。

「ミニア、ドラゴン手出しするなと伝言!」

 ロッカルダが怒鳴った。
 生徒にやらせるつもりか大丈夫かな。

 オーガは石の壁に拳を叩きつけた。
 石の壁はゆれて上に乗っていた生徒が落ちる。
 オーガが邪魔だったのでしっぽで足払いを掛けた。
 転がったオーガに火球が集中する。

 複数落ちたので、両手としっぽを総動員だ。
 生徒を空中でキャッチして壁の上に戻してやった。
 いかん、手助けしちまったな。
 ロッカルダを見ると複雑な表情をしている。
 このくらいの窮地きゅうちは自分で乗り越えろと言いたいのだろうが、スパルタが過ぎるのではないか。
 オーガはどうなったかと見ると、立ち上がり再び石の壁を攻撃し始めた。
 今度は生徒も学習して、揺れる時には必死に壁にへばりついていた。
 壁の上に柵を作って落ちにくいようにしとけば良かったか。

 オーガの攻撃で石の壁に亀裂が走る。
 むっ、壁が薄かったか。
 遂に壁は壊されてオーガとゴブリンの侵入を許した。
 あー、死人が本当に出るかもな。
 俺は壁の穴から中を覗き観戦モードになった。
 ゴブリンは誘引剤に狂っているのか俺を避けようともせずに穴に飛び込んで行く。

「ひっ、こっちに来るな」

 あれはエイドリクじゃないか。
 ゴブリンにビビッて取り巻きを前面に押し出そうとしていた。
 エイドリクは取り巻きに見捨てられて反対にゴブリンの前に突き出された。
 よろけて転がり漏らすエイドリク。

「ひっ」
「今、助けるぞ」

 ライナルドからナイフが飛んでゴブリンを貫通した。

「立てるか」

 エイドリクから返事はない。
 あー気絶しているな。



 剣士達がゴブリンの首をはねていく。
 ゴブリンはなんとかなりそうだ。
 オーガを見るとミニアが剣を一閃。
 すねを断ち切られてオーガは転がった。
 すかさずミニアが目玉に一突き。
 頭蓋深く剣を差し込んだ。

 びくびくと痙攣けいれんするオーガ。
 おー、ミニアの奴、無双しているな。
 石の壁の破れた所に馬車を持ってきて塞ぐ事に成功したみたいだ。
 ゴブリンの陣地への侵入が止まる。

 さてどうなる。
 しばらくして火球の数が減り始めた。
 魔力切れのようだ。
 そして、火球が全く飛んでこなくなった。

 トーチカも撤退したようだ。
 トンネルは石で塞がれたのだろう。

「ミニア、ドラゴンを使ってブレスで掃討して!」

 ロッカルダが壁の上でミニアに指示を出す。
 ロッカルダから許可が下りたので、ブレスでゴブリンを掃討し始める。
 程なくして動くゴブリンは居なくなった。

 人間の感覚では肉の焼ける臭いで凄惨な感じなんだろうが。
 ドラゴンの感覚では食い物がいっぱいって感じだ。
 不意に空腹感が薄れた。
 誘引剤を再封印したのだろう。

 ミニアから陣地の中に来いと伝言を貰ったので、陣地の中に舞い降りる。

「ひよっこ共。どうだ、実戦は」

 ロッカルダが生徒を前に意見を聞いている。

「魔獣に対して壁が薄かったです」
「そうだね。他には」

「壁に弓を撃つ穴が開いているといいかも」
「確かにそうすれば、戦士が有用に使えるね。他には」

「岩を壁の上から落とすのもいいのかも」
「余裕があれば煮えたぎった物を落とすといい」

「魔力が尽きると何にもできません」
「そこは魔道具などで工夫だね。切り札は用意しておくものよ」

「ドラゴンが居なかったらどうしてたんですか」
「それね。誘引剤をそのままにして撤退したわ。今回はミニアとドラゴンに感謝ね」

 明日から陣地の補強だな。
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