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第1章 クラン加入編
第4話 クラン・ヴァルド
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昨晩はマリーとすっかり話し込んでしまった。
ベッドは二つあるのにマリーはいつの間にか俺のベッドにもぐりこんで抱きついて寝ていた。
この子ヤンデレの素質があるんじゃなかろうな。
それは勘弁してもらいたい。
朝になり、小さいロビーで女冒険者を待ち伏せした。
「何だい?」
「相談があって」
「言ってみな」
「たぶん今の状況で不味いのは飼い殺しになる事だと思う」
「賢いね」
「どうしたら良いと思う?」
「そうさね。クランに入るのをお勧めするよ」
「クランって冒険者の集まり?」
「そうさ。お勧めはヴァルドだよ」
「お姉さんも、もしかして所属している?」
「そうさ。まだCランクだけどね」
「じゃ、今日訪ねてみる」
「私が案内してあげるよ」
「ディザだよ、よろしく」
「リーナさ、よろしく。未来のSランクさん」
「マリーは宿でお留守番できるかな」
「うん大丈夫、いってらっしゃい」
マリーに見送られクラン・ヴァルドに乗り込む事になった。
「クランマスターはいるかな」
リーナがクランハウスの待機室で声を掛けた。
「奥にいるよ」
クランハウスの奥の部屋に行くと、老婆が帳簿をつけていた。
「マスター、この子は覚醒者だ。クランに加入させてみちゃどうかと」
「【鑑定】。ふん確かに覚醒者だ。ポリゴン? 聞いた事のないスキルだね」
「たぶん分類分けすると生産系」
「いいだろう。食い扶持は自分で稼ぐんだね」
「世話になる。ところで何をすればいい」
「坊主のスキルじゃ。当面やる事はないさね。雑用でもやってもらおう」
「じゃ、掃除をするよ」
「好きにすればいい。毎日銅貨30枚を掃除代として出そう」
「それで良いよ」
俺が宿に帰るとマリーが抱きついてきた。
「寂しかったのか」
「ううん、なんかディザが遠くに行っちゃうような気がして」
「どこにも行かないさ」
「追う女は駄目なんだって、追わせないと。私は駄目。追う女になっちゃった」
マリーの母親の謎知識だな。
「さあ、土産物屋に一緒に行こう」
「うん」
「おばさん、また土産物買ってよ」
土産物屋のドアを開けるなり俺はそう言った。
「うるさいね。耳は良いんだ」
「買うの? 買わないの?」
「買うよ」
「そう来なくちゃ」
土産物屋に八面体を納品してから、マリーと一緒にクランハウスに行った。
怖いのかマリーは俺の後ろに隠れるようにしている。
「掃除に来ました。これからよろしくお願いします。ほら、マリーも挨拶して」
「おねがいします」
クランハウスの待機室にいる人間のほとんどが掃除の邪魔にならないように出て行った。
「掃除道具はどこかな」
「またまた、クランマスターの酔狂が始まった。坊主、クランに加入した訳じゃないよな」
「お試し期間みたいな物かな」
「やっぱりな、このクランの加入条件はCクラスからだ。イラス様の目の黒いうちはな」
「イラス、そんな器が小さいものだから通り名が定着しないんだぞ」
「王打さん、そりゃないっす」
イラスと言った男は蛇皮の模様の鎧を着ていて、王打と呼ばれた男は黒い鎧を着ていた。
俺にはコスプレした男達といった風情に見えた。
「おじさん、掃除用具しらない?」
「おおそれなら、隅にある箱に入っている。」
俺は隅の箱からほうきとちり取りを取った。
ちり取りをマリーに渡して掃除を始める。
「イラス、邪魔」
「こいつ、俺を呼び捨てにしやがった」
「ぼーっと立っているのが悪いんだ。馬鹿みたいに見える」
「だそうだ。確かに馬鹿に見えるな」
「ひどいですよ。王打さん」
「クランマスターに聞いたが、この坊主は覚醒者らしい。この歳で覚醒しているのは大食幼女と頭脳明晰ぐらいだ。案外あっと言う間にSランクになるかもな」
「そんな事はないと思いたい。しかし、雑用係の例もあるしな。侮れん事は確かだ」
「俺はレイデン。通り名は王打だ。一応Sランクだ」
「俺はイラス。通り名は毒牙。坊主覚えておけよ。今はAランクだが、いずれSランクになる男だ」
「イラスは毒牙なんて通り名で呼ばなくていいぞ。定着していないから、誰もその名前では呼ばない」
「どうでもいいけど邪魔」
「そりゃ悪かったな」
「このガキ、王打さんに、なんちゅう事を」
二人は部屋にある椅子に腰を掛けた。
「借金王は何時戻る?」
「借金くずですか。どうなんでしょうね。俺はあいつの実力を疑っている」
「そんなだから、覚醒者になれないんだ。信じる心を持たないとな」
二人の会話が耳に入った。
借金王なんて強そうな通り名とは思えない。
敵対する訳でもないし、覚えておくだけにしよう。
ベッドは二つあるのにマリーはいつの間にか俺のベッドにもぐりこんで抱きついて寝ていた。
この子ヤンデレの素質があるんじゃなかろうな。
それは勘弁してもらいたい。
朝になり、小さいロビーで女冒険者を待ち伏せした。
「何だい?」
「相談があって」
「言ってみな」
「たぶん今の状況で不味いのは飼い殺しになる事だと思う」
「賢いね」
「どうしたら良いと思う?」
「そうさね。クランに入るのをお勧めするよ」
「クランって冒険者の集まり?」
「そうさ。お勧めはヴァルドだよ」
「お姉さんも、もしかして所属している?」
「そうさ。まだCランクだけどね」
「じゃ、今日訪ねてみる」
「私が案内してあげるよ」
「ディザだよ、よろしく」
「リーナさ、よろしく。未来のSランクさん」
「マリーは宿でお留守番できるかな」
「うん大丈夫、いってらっしゃい」
マリーに見送られクラン・ヴァルドに乗り込む事になった。
「クランマスターはいるかな」
リーナがクランハウスの待機室で声を掛けた。
「奥にいるよ」
クランハウスの奥の部屋に行くと、老婆が帳簿をつけていた。
「マスター、この子は覚醒者だ。クランに加入させてみちゃどうかと」
「【鑑定】。ふん確かに覚醒者だ。ポリゴン? 聞いた事のないスキルだね」
「たぶん分類分けすると生産系」
「いいだろう。食い扶持は自分で稼ぐんだね」
「世話になる。ところで何をすればいい」
「坊主のスキルじゃ。当面やる事はないさね。雑用でもやってもらおう」
「じゃ、掃除をするよ」
「好きにすればいい。毎日銅貨30枚を掃除代として出そう」
「それで良いよ」
俺が宿に帰るとマリーが抱きついてきた。
「寂しかったのか」
「ううん、なんかディザが遠くに行っちゃうような気がして」
「どこにも行かないさ」
「追う女は駄目なんだって、追わせないと。私は駄目。追う女になっちゃった」
マリーの母親の謎知識だな。
「さあ、土産物屋に一緒に行こう」
「うん」
「おばさん、また土産物買ってよ」
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「買うよ」
「そう来なくちゃ」
土産物屋に八面体を納品してから、マリーと一緒にクランハウスに行った。
怖いのかマリーは俺の後ろに隠れるようにしている。
「掃除に来ました。これからよろしくお願いします。ほら、マリーも挨拶して」
「おねがいします」
クランハウスの待機室にいる人間のほとんどが掃除の邪魔にならないように出て行った。
「掃除道具はどこかな」
「またまた、クランマスターの酔狂が始まった。坊主、クランに加入した訳じゃないよな」
「お試し期間みたいな物かな」
「やっぱりな、このクランの加入条件はCクラスからだ。イラス様の目の黒いうちはな」
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「おおそれなら、隅にある箱に入っている。」
俺は隅の箱からほうきとちり取りを取った。
ちり取りをマリーに渡して掃除を始める。
「イラス、邪魔」
「こいつ、俺を呼び捨てにしやがった」
「ぼーっと立っているのが悪いんだ。馬鹿みたいに見える」
「だそうだ。確かに馬鹿に見えるな」
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「そんな事はないと思いたい。しかし、雑用係の例もあるしな。侮れん事は確かだ」
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「イラスは毒牙なんて通り名で呼ばなくていいぞ。定着していないから、誰もその名前では呼ばない」
「どうでもいいけど邪魔」
「そりゃ悪かったな」
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