39 / 409
第1章 ニオブざまぁ編
第39話 婚約者と、選挙準備と、複写魔法
しおりを挟む
寮への帰り道、ある場面に出くわした。
「誰かぁ、物取りです。捕まえてぇ」
メイドが声を張り上げている。
元締めは堅気になって奪還屋を辞めてしまったのか。
治安に貢献してたんだから続ければいいものを。
「【軽誘導電撃】」
俺はスペルブックを開くと短縮詠唱で魔法を放った。
電撃は物取りを追いかけていき、背中に当たって痺れさせた。
マイラが駆けて行き、物取りから奪われた物を取り返して戻ってきた。
「ありがとうございました」
お礼を言ってきたのはメイドではなく、お嬢様だった。
年の頃は12歳といった所か。
垂れ目でどことなく人が好さそうな雰囲気がある。
香水の匂いが僅かに漂ってきた。
まだ子供だな。
香水をつけているのは背伸びしたいからか。
俺達に比べると年上だが、前世を入れるとお子様だ。
「気をつけた方がいいよ。前は取り締まっている奴らが居たんだけど、今はいなくて治安が悪いから」
「そうですか。気を付けます。ご丁寧にありがとうございます。あの私はアルミナ・オルタネイトといいます。あなた様のお名前は?」
「タイト・バラクタだよ」
「これはとんだ失礼を。ご叱りはいかようにも」
「お忍びだから、かしこまらなくていいよ。それに王族と言っても末席だから。今は魔法学園の学生だし。魔法学園では身分差は関係ない事になっている」
「そうですか。魔法学園に通っているのですか。タイト殿下はニオブ・バリアブルをご存じでしょうか」
「知っているけどなんで」
「私の婚約者なのです。明日から私も魔法学園に通う事になっています」
「そうなんだ。頑張って」
俺は言葉を濁した。
気まずいな。
仇の身内に会うとは、人が好さそうだし、憎めそうにもない。
「何かニオブが」
言葉の雰囲気から不穏な気配を感じ取ったのだろう。
アルミナの言葉が不安げに曇った。
「俺とニオブは兄弟なんだ。後は言わなくても分かるだろう。よくある貴族のごたごたさ」
「そうでしたか。ならば和解できるように尽力したいと思います」
和解か、考えた事がなかった。
命を狙うような相手に和解は無理だな。
だがアルミナがしたいなら好きにさせておくさ。
俺の骨折りではないからな。
「できればいいな。じゃあ俺達は行くよ」
「次は学園でお会い出来れば嬉しいです」
俺はそそくさとそこから離れた。
ニオブへの怒りをアルミナにぶつけてしまいそうだったからだ。
学園に帰ると、寮でカソードと行き会った。
「よう」
カソードが陽気に声を掛けてくる。
「おう」
俺は応じた。
「兄貴の手伝いで、てんてこ舞いさ。手伝ってくれないか」
「いいよ。何をやるんだ」
「チラシを書くんだ」
ええと、アノードに清き一票をと書いてある。
選挙か?
生徒会の選挙の時期なんだな。
魔法でチラシぐらい作れないか。
やってみた。
char paper[1000]; /*紙を指定*/
extern MAGIC *paper_init(char *paper_material);
extern void paper_write(MAGIC *mp,char *spell);
extern int mclose(MAGIC *mp);
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=paper_init(paper); /*紙を魔法の対象に*/
paper_write(mp,"アノードに清き一票を"); /*紙に印字*/
mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}
俺の魔法は効率が良いため何万枚でも印刷できる。
瞬く間にチラシが出来上がった。
何だか寂しいな。
文字だけだからか。
それに機械みたいな感じで印刷すると温かみがない。
俺はチラシを一枚手に取ると、花とハートマークを書き入れ始めた。
これの方がずっといい。
「書き写すの手間だな。魔法で方をつけるか」
char paper1[1000]; /*複写元の紙を指定*/
char paper2[1000]; /*紙を指定*/
extern MAGIC *paper_init(char *paper_material);
extern void paper_draw(MAGIC *mp,char *paper_material);
extern int mclose(MAGIC *mp);
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=paper_init(paper2); /*紙を魔法の対象に*/
paper_draw(mp,paper1); /*複写元の絵を紙に描く*/
mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}
うん、上手く出来た。
「うわっ凄い。俺だと、魔法で全部はできないや」
「それが大きな強みだからな」
「タイトって魔力量いくつ?」
「113+100万」
「凄いね。俺は1万ちょっとしか無いから」
「実は113しかないんだ。100万は魔道具でブーストしてる」
「そう。でも凄いよ。そういう在りえない事をするなんてさ」
「魔法の可能性は無限大だよ」
「俺も頑張らないと」
魔力を増やす秘術を教えろと言わないのが、カソードの美点だな。
嫉妬したふうが無いのもいい。
そういう所に好感が持てる。
「誰かぁ、物取りです。捕まえてぇ」
メイドが声を張り上げている。
元締めは堅気になって奪還屋を辞めてしまったのか。
治安に貢献してたんだから続ければいいものを。
「【軽誘導電撃】」
俺はスペルブックを開くと短縮詠唱で魔法を放った。
電撃は物取りを追いかけていき、背中に当たって痺れさせた。
マイラが駆けて行き、物取りから奪われた物を取り返して戻ってきた。
「ありがとうございました」
お礼を言ってきたのはメイドではなく、お嬢様だった。
年の頃は12歳といった所か。
垂れ目でどことなく人が好さそうな雰囲気がある。
香水の匂いが僅かに漂ってきた。
まだ子供だな。
香水をつけているのは背伸びしたいからか。
俺達に比べると年上だが、前世を入れるとお子様だ。
「気をつけた方がいいよ。前は取り締まっている奴らが居たんだけど、今はいなくて治安が悪いから」
「そうですか。気を付けます。ご丁寧にありがとうございます。あの私はアルミナ・オルタネイトといいます。あなた様のお名前は?」
「タイト・バラクタだよ」
「これはとんだ失礼を。ご叱りはいかようにも」
「お忍びだから、かしこまらなくていいよ。それに王族と言っても末席だから。今は魔法学園の学生だし。魔法学園では身分差は関係ない事になっている」
「そうですか。魔法学園に通っているのですか。タイト殿下はニオブ・バリアブルをご存じでしょうか」
「知っているけどなんで」
「私の婚約者なのです。明日から私も魔法学園に通う事になっています」
「そうなんだ。頑張って」
俺は言葉を濁した。
気まずいな。
仇の身内に会うとは、人が好さそうだし、憎めそうにもない。
「何かニオブが」
言葉の雰囲気から不穏な気配を感じ取ったのだろう。
アルミナの言葉が不安げに曇った。
「俺とニオブは兄弟なんだ。後は言わなくても分かるだろう。よくある貴族のごたごたさ」
「そうでしたか。ならば和解できるように尽力したいと思います」
和解か、考えた事がなかった。
命を狙うような相手に和解は無理だな。
だがアルミナがしたいなら好きにさせておくさ。
俺の骨折りではないからな。
「できればいいな。じゃあ俺達は行くよ」
「次は学園でお会い出来れば嬉しいです」
俺はそそくさとそこから離れた。
ニオブへの怒りをアルミナにぶつけてしまいそうだったからだ。
学園に帰ると、寮でカソードと行き会った。
「よう」
カソードが陽気に声を掛けてくる。
「おう」
俺は応じた。
「兄貴の手伝いで、てんてこ舞いさ。手伝ってくれないか」
「いいよ。何をやるんだ」
「チラシを書くんだ」
ええと、アノードに清き一票をと書いてある。
選挙か?
生徒会の選挙の時期なんだな。
魔法でチラシぐらい作れないか。
やってみた。
char paper[1000]; /*紙を指定*/
extern MAGIC *paper_init(char *paper_material);
extern void paper_write(MAGIC *mp,char *spell);
extern int mclose(MAGIC *mp);
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=paper_init(paper); /*紙を魔法の対象に*/
paper_write(mp,"アノードに清き一票を"); /*紙に印字*/
mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}
俺の魔法は効率が良いため何万枚でも印刷できる。
瞬く間にチラシが出来上がった。
何だか寂しいな。
文字だけだからか。
それに機械みたいな感じで印刷すると温かみがない。
俺はチラシを一枚手に取ると、花とハートマークを書き入れ始めた。
これの方がずっといい。
「書き写すの手間だな。魔法で方をつけるか」
char paper1[1000]; /*複写元の紙を指定*/
char paper2[1000]; /*紙を指定*/
extern MAGIC *paper_init(char *paper_material);
extern void paper_draw(MAGIC *mp,char *paper_material);
extern int mclose(MAGIC *mp);
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=paper_init(paper2); /*紙を魔法の対象に*/
paper_draw(mp,paper1); /*複写元の絵を紙に描く*/
mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}
うん、上手く出来た。
「うわっ凄い。俺だと、魔法で全部はできないや」
「それが大きな強みだからな」
「タイトって魔力量いくつ?」
「113+100万」
「凄いね。俺は1万ちょっとしか無いから」
「実は113しかないんだ。100万は魔道具でブーストしてる」
「そう。でも凄いよ。そういう在りえない事をするなんてさ」
「魔法の可能性は無限大だよ」
「俺も頑張らないと」
魔力を増やす秘術を教えろと言わないのが、カソードの美点だな。
嫉妬したふうが無いのもいい。
そういう所に好感が持てる。
65
あなたにおすすめの小説
ReBirth 上位世界から下位世界へ
小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは――
※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。
1~4巻発売中です。
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる