異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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閑話集 その2

第359話 本屋と、回復呪文と、夢

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 ある日、マイラを連れて街へ買い物に出た。

「ねぇ、タイト」

 マイラがニコニコ顔で話し掛けてきた。

「何だい」
「あそこ、もめている。楽しそうな気配」

 見るとゴザを広げた露店商が、冒険者の男となにやら言い合っている。

「さぁ、品物を全部買ってやる。ただしツケでな」
「ツケはお断りだ」
「ほう、腕の一本が惜しくないらしいな」

「みなさん、この男は武器を強奪しようとしてます。その武器が、今度はみなさんに向かわないと、誰が断言できるでしょう」

 露店商が扱っているのは、どう見ても本だ。
 どういう事だろう。

「ぐひゃひゃ、誰もお前に加勢したりはしてくれないぞ。屁理屈なんかに力なんざない」

 下品に笑って、冒険者が言った。

「知識は力であり武器だ。生活を守る盾になったり、悪漢を退治する剣になったりするんだ。たとえ刺し違えても本は守る」

 そうだな。
 俺のプログラム知識がまさにそれだ。
 効率の良い呪文でできた魔道具を作って、生活を潤わせている。
 敵は攻撃魔法で、退治している。
 その考えには賛同できる。

「マイラ、助けてやってくれ」
「そう言うと思った」

 マイラが駆け出して、野次馬の人混みをすり抜けるように進み、冒険者のケツを蹴り飛ばした。

「何しやがる」

 マイラは冒険者の死角に入っている。
 また、ケツを蹴飛ばした。

「姿を見せろ」

 マイラは常に死角に入っている。
 冒険者は気味が悪くなったのか逃げ出した。

「ありがとう」
「どういたしまして。礼ならタイトに言って、彼が助けるように言ったから」
「ありがとう」
「俺はマイラが首を突っ込みたがっている感じがしたから。それと知識は武器という考えは何となく共感したよ」

「ロムです。あなたとは友達になれそうです」
「友達ならタメ口で話せ」
「わかった。マイラは強いね。どの流派?」
「我流よ。しいて言うなら、死角一撃流。死角からずばっとが、最強だと思っている」

「ロムは本屋みたいだな。そこにあるモンスター大全が気に入った。売ってくれないか」
「その知識を何に使う?」
「モンスターの被害から民を救う。そして、モンスターを狩り過ぎないように生態系の維持に努める」
「さすが親友。モンスターの保護まで考えているとは。気に入ったよ。金貨1枚のところ銀貨80枚で売ってやる」
「金貨1枚で良いよ」

「私はあれが欲しいな。恋文指南」
「まいど。銀貨20枚だ」
「マイラには何に使うか聞かないんだ」
「そんな野暮は言わないよ」

 ロムが店を畳むまで、3人でお喋りした。

「俺は世界一の本を手に入れる。そして、それを世界一の人物に売るんだ」
「なら俺は世界一の魔法使いだ」
「私は世界一のお嫁さん」

「よし、この出会いに掛けて誓おう」

 3人で誓いの盃を飲んだ。
 何となく性格が災いしてロムに危機が訪れる予感がした。

 こんな感じの魔法を使う事にした。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

void main(void)
{
 system("copy スラモ.body スラモ.bback"); /*ロムの体のバックアップ情報を作る*/
}

 『スラモ』とはロムの神秘魔法名だ。
 呼び名だと重複があるが、神秘魔法名には重複がない。
 この知識だけでも魔法使いとして一流だ。
 とにかくバックアップを作った。

 ロムは背負子に20冊余りの本とゴザを括りつけ去って行った。

 そして、一年の月日が経ち。
 俺はロムの事など忘れていた。

「よう、親友。探したぜ」

 街を歩いていると、ボロボロの状態のロムが現れて倒れた。
 切り傷、火傷、どう見ても普通の怪我じゃない。

 回復しないと。
 俺はスペルブックを開いて無詠唱した。
 スペルブックには以下の魔法が書いてある。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

void main(void)
{
 system("copy スラモ.bback スラモ.body"); /*ロムのバックアップから体を再構成する*/
}

 この魔法を実行した。
 完全回復する魔法だが、ロムは治らない。
 他の人には同じ方法で上手くいったのに。
 なぜだ。
 知識は力じゃなかったのか。
 運命には勝てないのか。

「もう俺は長くない。もう死んでいる感覚さえある」
「そんな事を言うなよ」
「貴族のアスロンがお前を亡き者にしよ……」

 ロムがこと切れた。
 アスロンを始末するのは後だ。
 俺のスペルブックをロムの懐に入れた。

「これは最高の本だ。世界制覇出来る知識だと言っても良い。天国で世界一の誰かに売れよ」
「がはっ」

 ロムが意識を取り戻した。
 傷も治ったようだ。

「ロム、しっかりしろ」

 俺はロムを揺さぶった。

「天国の神様に嫌われちまったらしい」
「みたいだな」

 知識は力だ。
 その集大成の本は素晴らしい。
 本屋であるロムは尊敬できる奴だ。
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