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第7章 魔王大戦編
第371話 閑話・アキシャルとエミッタ
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Side:アキシャル
僕はアキシャル、さすらいの花職人さ。
今日も花を作るのに余念がない。
花は良い。
部屋に飾れば部屋の雰囲気を良くするし、大切な人に贈れば喜ばれたりする。
僕が造花を作るのは、花を摘むと花の悲鳴が聞こえるような気がするからなんだ。
石、鉄、ガラス、木、紙、布といろいろな素材で花を作ったけど、理想とする物には届かない。
「どれも綺麗ね。じゃあ、その紙の花束を頂こうかしら」
「お姉さん綺麗だから、1本おまけ」
「もう上手ね」
路銀を稼ぐための露店はいいけど、いま一つマンネリだね。
「ねえ、蝋で作れないの」
ロウソクなら旅の必需品だから持っている。
「いいアイデアだね。【花作成】」
ロウソクと塗料を手に魔法を使うと着色された花ができ上がった。
「おっと、茎がへなへなで柔らかいから折れ曲がってしまう。針金を入れるべきかな。【花作成】」
今度はちゃんと曲がらない花ができた。
やはり透明感のある素材はいいね。
蝋はガラスみたいに手を傷つけたりしない。
柔らかいのが欠点であり美点だ。
「はい、アイデアを貰ったからただでいいよ」
花を手渡した。
「ありがと、親切でハンサムなお兄さん。恋人はいるの?」
「婚約者がいるよ」
「そう残念ね」
そう言えば婚約者のエミッタはどうしているだろうか。
一度帰るかな。
僕は王都に戻ることにした。
「誰が助けて」
僕は花を見に、森奥に踏み込んだところ、オーガに追われていた女性に出会った。
オーガは花を踏み散らして迫って来る。
「無粋だね。【吸血花】」
オーガの足元から石英の薔薇が出て絡みつく。
そして血を吸って真っ赤に色づいた。
「綺麗」
「お嬢さん、後ろに」
「はい」
オーガは血を吸い取られて死んだ。
「あの、お名前を教えて下さい」
「アキシャルさ」
「アキシャル様、もしよろしければ街まで送って下さい」
「もちろんだよ。お近づきの花束をどうぞ【花束作成】」
「まあ、素敵。私も手折って貰えませんか」
「生きている花は手折らないことにしている。ごめんね」
「いいえ」
彼女は何か悟ったのかそれから話し掛けて来なかった。
街道を歩いていたら、盗賊に襲われている馬車を発見した。
「無粋だね。【吸血花】」
「なんだこの花は」
「くそっ、刈り取れ」
「駄目だ石で出来てやがる」
「成長する速度が速すぎる」
盗賊は全て血を吸い取られ、石の薔薇を赤く染めた。
「ありがとうございます」
商人らしい人からお礼を言われた。
「あの」
商人の娘さんだろうか。
「何かな。怖かっただろう。【花作成】。これでも見てなごんでよ」
石の花束を差し出した。
「貴方の花が欲しいです。結婚して下さい」
「ごめんね。僕の心の花は手折られて渡してしまったんだ」
「そんな」
エミッタの工房は王都の城壁の近くにある。
「ただいま。ハニー」
「おお、久しぶりなのだ。ダーリン」
「これは再開を祝した蝋細工の花。綺麗だろう」
「綺麗なのだ。私も花火を上げるのだ」
二人の甘い時を過ごし、旅の思い出話を話した。
「蝋が意外良かったのだね」
「まあね。今のお気に入り」
「半透明な物なら他にもあるのだ」
「へぇ」
「ゼリーの干した物とか、寒天を干した物とかなのだ。最近、料理を覚えたので知っているのだ」
「好きだよハニー」
エミッタを抱きしめて、ゼリーと寒天を買いに出た。
食材を花にするって考えなかった。
野菜とかだと腐り易いけど、干した野菜とかもある。
いっそのことゼリーと寒天の花は、食べられる染料で染めて、砂糖を混ぜようかな。
1日鑑賞してから食べてもらう。
いいかも知れない。
食べられる花は、最初にエミッタに奉げた。
「ふむ、花は果物の味がするのだ。葉っぱも甘瓜の味なのだ。ちょっと口の中で溶けないのが難点なのだ。飴や砂糖で作らないのはなんでなのだ」
「砂糖菓子とか飴細工は昔からあるからね」
「ならば、クッキーの花の方が美味しいのだ」
「今度作ってみるよ」
理想とする造花は出来ない。
だけど、花は良い。
僕の作った花を見るエミッタの笑顔で僕の心の中にも花が咲く。
食べられる花を探求したら、次は光る花でも作ってみようかな。
暗闇の部屋に光る花が挿してあったら、凄いなごむだろうな。
待っててハニー。
きっと良い物を作るから、そして心の花をもっと咲かせよう。
そして互いに手折って奉げ合うのだ。
僕はアキシャル、さすらいの花職人さ。
今日も花を作るのに余念がない。
花は良い。
部屋に飾れば部屋の雰囲気を良くするし、大切な人に贈れば喜ばれたりする。
僕が造花を作るのは、花を摘むと花の悲鳴が聞こえるような気がするからなんだ。
石、鉄、ガラス、木、紙、布といろいろな素材で花を作ったけど、理想とする物には届かない。
「どれも綺麗ね。じゃあ、その紙の花束を頂こうかしら」
「お姉さん綺麗だから、1本おまけ」
「もう上手ね」
路銀を稼ぐための露店はいいけど、いま一つマンネリだね。
「ねえ、蝋で作れないの」
ロウソクなら旅の必需品だから持っている。
「いいアイデアだね。【花作成】」
ロウソクと塗料を手に魔法を使うと着色された花ができ上がった。
「おっと、茎がへなへなで柔らかいから折れ曲がってしまう。針金を入れるべきかな。【花作成】」
今度はちゃんと曲がらない花ができた。
やはり透明感のある素材はいいね。
蝋はガラスみたいに手を傷つけたりしない。
柔らかいのが欠点であり美点だ。
「はい、アイデアを貰ったからただでいいよ」
花を手渡した。
「ありがと、親切でハンサムなお兄さん。恋人はいるの?」
「婚約者がいるよ」
「そう残念ね」
そう言えば婚約者のエミッタはどうしているだろうか。
一度帰るかな。
僕は王都に戻ることにした。
「誰が助けて」
僕は花を見に、森奥に踏み込んだところ、オーガに追われていた女性に出会った。
オーガは花を踏み散らして迫って来る。
「無粋だね。【吸血花】」
オーガの足元から石英の薔薇が出て絡みつく。
そして血を吸って真っ赤に色づいた。
「綺麗」
「お嬢さん、後ろに」
「はい」
オーガは血を吸い取られて死んだ。
「あの、お名前を教えて下さい」
「アキシャルさ」
「アキシャル様、もしよろしければ街まで送って下さい」
「もちろんだよ。お近づきの花束をどうぞ【花束作成】」
「まあ、素敵。私も手折って貰えませんか」
「生きている花は手折らないことにしている。ごめんね」
「いいえ」
彼女は何か悟ったのかそれから話し掛けて来なかった。
街道を歩いていたら、盗賊に襲われている馬車を発見した。
「無粋だね。【吸血花】」
「なんだこの花は」
「くそっ、刈り取れ」
「駄目だ石で出来てやがる」
「成長する速度が速すぎる」
盗賊は全て血を吸い取られ、石の薔薇を赤く染めた。
「ありがとうございます」
商人らしい人からお礼を言われた。
「あの」
商人の娘さんだろうか。
「何かな。怖かっただろう。【花作成】。これでも見てなごんでよ」
石の花束を差し出した。
「貴方の花が欲しいです。結婚して下さい」
「ごめんね。僕の心の花は手折られて渡してしまったんだ」
「そんな」
エミッタの工房は王都の城壁の近くにある。
「ただいま。ハニー」
「おお、久しぶりなのだ。ダーリン」
「これは再開を祝した蝋細工の花。綺麗だろう」
「綺麗なのだ。私も花火を上げるのだ」
二人の甘い時を過ごし、旅の思い出話を話した。
「蝋が意外良かったのだね」
「まあね。今のお気に入り」
「半透明な物なら他にもあるのだ」
「へぇ」
「ゼリーの干した物とか、寒天を干した物とかなのだ。最近、料理を覚えたので知っているのだ」
「好きだよハニー」
エミッタを抱きしめて、ゼリーと寒天を買いに出た。
食材を花にするって考えなかった。
野菜とかだと腐り易いけど、干した野菜とかもある。
いっそのことゼリーと寒天の花は、食べられる染料で染めて、砂糖を混ぜようかな。
1日鑑賞してから食べてもらう。
いいかも知れない。
食べられる花は、最初にエミッタに奉げた。
「ふむ、花は果物の味がするのだ。葉っぱも甘瓜の味なのだ。ちょっと口の中で溶けないのが難点なのだ。飴や砂糖で作らないのはなんでなのだ」
「砂糖菓子とか飴細工は昔からあるからね」
「ならば、クッキーの花の方が美味しいのだ」
「今度作ってみるよ」
理想とする造花は出来ない。
だけど、花は良い。
僕の作った花を見るエミッタの笑顔で僕の心の中にも花が咲く。
食べられる花を探求したら、次は光る花でも作ってみようかな。
暗闇の部屋に光る花が挿してあったら、凄いなごむだろうな。
待っててハニー。
きっと良い物を作るから、そして心の花をもっと咲かせよう。
そして互いに手折って奉げ合うのだ。
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