無職の俺は追放されてもへっちゃらカタログスペック100%があるから ~現実を強引に俺の真実で塗り替える~

喰寝丸太

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勇者こらしめ編

第5話 火の精霊祭り

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 今日は何やら朝から騒がしい。
 カウンターに行き従業員に話し掛ける。

「今日は何かあるのか」
「お客さん今日は火の精霊祭りですよ」

「お祭りかぁ。どんなお祭りなの」
「都合の悪い物を火の精霊に焼いてもらって浄化するお祭りです」

「えっ、不正の証拠とか燃やすの」
「いえいえ、昔、貰った女房以外のラブレターとかそういうのを燃やします」
「なるほど。捨てたくても捨てられない、人に見せられない物を燃やすのか」



 村の広場にはキャンプファイヤーそっくりな木組みが出来て燃え盛っていた。
 若い男女が泣きながら木組みの中に燃やす物を投げ入れている。
 そんなに悲しいのだったら無理に燃やす必要ないのに。

 一際大きな鳴き声がするのでそちらに視線を向けるとリリーちゃんがわんわん泣いていた。
 手には傷だらけの絵本を持っている。
 絵本なんて取って置けば良いだろうに。

「リリーちゃん、何で泣いているのかな」
「ゴブキンたんが。コブキンたんが」
「あのですね、この絵本は禁書でして」

 父親が代わりに答えてくれるらしい。

「それは物騒だ」
「そんな大げさな物ではなくて、持っていると神官に眉をひそめられる程度なんです」



「どんな内容なんだ」
「魔物のゴブキンがある日、女の子に頭を叩かれます。そして、記憶を無くしやさしい魔物になって、友達になるという内容です」

 魔王は魔物を率いているそうだ。
 という事は。

「今、魔物は人類の敵だから禁書なのか」
「その通りです」

「そうだ、リリーちゃん。お兄さんがその絵本を預かってあげよう。大人になって必要になったら返すから」
「燃やちゃないの」
「ああ、燃やさない」
「本当。指切り出来る?」
「出来るよ」

 リリーちゃんと指切りをして本を貰った。
 さて、カタログスペック100%は魔物に効くかな。

 森へ恐る恐る入る。
 ちょうど良い、ゴブリンが一匹いた。

 俺は戦闘能力がないから死角からお冷を継ぎ足す技を駆使して魔物に近づく。
 そして、死角から近づき、タッチして。

「カタログスペック100%」

 片手には例の絵本があり、ゴブリンは光に包まれた。
 掛かったぞ。



「グギャ」

 後は頭を殴るだけだ。
 ゴブリンは俺に気づき襲い掛かって来た。
 森で拾った枝をゴブリンの頭に振り下ろす。
 瞬きの瞬間を狙ったので、ゴブリンには攻撃が見えてないから当然、当たる。



「ぐぎゃ」

 ゴブリンの血走った目が和らいだように見える。
 ゴブリンはきょろきょろと辺りを見回すと森の奥へ帰って行った。

 成功だ。
 頭を叩かないと効力を発揮しないのが難点だが、とりあえずの攻撃手段としては上出来だろう。
 リリーちゃんに感謝だ。
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