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魔族蠢動編
第21話 美食のフライパン
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途中立ち寄った村で、道を歩いていたら皿が家の中から飛んで来た。
「この味音痴が! こんなもの食えるか!」
「なにこの唐変木!! もういっぺん言ってみな!!」
「ああ何度でも言ってやる! 味・音・痴!!」
家の中から中年の男女の争う声が表に響く。
「仲裁してあげたら」
「御花畑はそう言うけど、自分はどうなんだ」
「犬も食わないっていうし」
「やっぱり面白がっていたんだな」
「波久礼君のスキルでなんとかしてあげようよ」
「小前田、俺にも出来る事と出来ない事がある」
「話を聞くだけでも。お願い」
可愛くおねだりされてしまった。
無視しても良いのだが、機嫌が悪くなると困る。
「ポーションの聖女様のお達しならしょうがないな」
「何ピンク色の空間作っているのよ」
「どこがだ。とっとと話を聞くぞ」
言い争う声が続いている家の中に入る。
「あー、喧嘩をやめて、何でこんな事になったか聞かせてくれ」
「外野が口を挟むな」
「あんた、良い機会だから、白黒つけてもらうじゃないの」
「ああ良いだろう。そのかわりお前の方が悪いってなったら、土下座してもらおう」
「望むところよ」
「話がまとまったところで諍いの原因は?」
「こいつの作る料理の不味い事といったら、もう我慢できねぇ」
「味見はちゃんとしてるんだ。私の舌がおかしいってのかい」
「まずは現場だ。調理場を見せてくれよ」
調理場では鍋やフライパンなど調理器具が整頓されていて、すぼらな性格だとは思えない。
味音痴って事も考えられるが、それならもっと前に別れているだろう。
よく観察すると、フライパンの一つに例の黒い水晶がはまっている。
原因はこれじゃないのか。
「御花畑、そのフライパンで目玉焼きを作ってみろ」
「何で私が料理しなくちゃいけないの」
「君の手料理が食べたい。……なんちゃって」
御花畑は顔を赤らめ一瞬、上の空になった。
「そうなの、仕方ないわね」
そういうと御花畑は目玉焼きを作り始め、瞬く間に完成させた。
「召し上がれ」
俺は一口食べ言い放つ。
「激マズ」
俺の言葉に御花畑は驚いて詰め寄った。
「そんなはずは」
御花畑は目玉焼きを一口食べ至福の表情を浮かべた。
「極上の味じゃないの」
「分かったぞ。そのフライパンは味覚を狂わせる何かが出ている」
「呪いじゃないのかな。鑑定。良かった、未依子ちゃんに呪いは掛かっていないみたい」
「作った本人には極上の味で、他の人には激マズになるように魔法が掛かるのだろう」
「さっ、さっさとスキルを掛けてフライパンを改造してよ。ぜったい美味いって言わせてやる」
奥さんに説明書を借りて読むと、極上の味を約束しますと書いてある。
これならいける。
「カタログスペック100%」
フライパンは光につつまれた。
「さあ、リベンジよ」
御花畑はうきうきとした様子で料理する。
俺は新たに作った目玉焼きを食べた。
「美味い美味すぎる。しかし、これは逆に不味い事のような」
「いいんじゃない。美味すぎて困る物でもないでしょう」
「そうだな」
夫婦のもとで説明する事にした。
「あの黒い水晶がはまっているフライパン、あれが元凶みたいだ」
「あれは最近買ったお気に入りよ」
「なんだ、おかしいと思っていたんだ。急に料理が不味くなるから。すまなかったな」
「いいんだよ、お前さん」
いちゃいちゃしたい二人には悪いけど口を挟む。
「フライパンは支障が出ないようにしといた」
「悪いわね。そんな事が出来るなんて、貴方様はさぞかし凄い職業なんでしょうね」
「無職だよ」
「そんな、ジョブズ教では無職は罪の証だわ」
「ジョブズ教ってのはこの国では広く信じられているのか」
「ええ、国教になっているわよ」
ちょっと不味いな。
嘘はつきたくないから、英語の無職って確かジョブレスだったような。
「そうだ。秘密だったけど、俺の職業はジョブレスだよ」
「やっぱり、聞いた事のない職業だわ。きっとレア職ね」
「ところであのフライパンはどうしたの」
「行商人が持って来たのさ」
「風体は覚えている?」
「特徴のない人よ。中肉中背の灰色の髪だったわ」
一応聞いてみたがこれまで聞いた商人の姿はどれも違っていた。
大掛かりな組織なのかもな。
そして、ボロが出ない様に俺達は家を早々に出た。
村では同様にフライパンが売られていたので全て改造。
いくばくかの謝礼を手に次の街へ旅立った。
「この味音痴が! こんなもの食えるか!」
「なにこの唐変木!! もういっぺん言ってみな!!」
「ああ何度でも言ってやる! 味・音・痴!!」
家の中から中年の男女の争う声が表に響く。
「仲裁してあげたら」
「御花畑はそう言うけど、自分はどうなんだ」
「犬も食わないっていうし」
「やっぱり面白がっていたんだな」
「波久礼君のスキルでなんとかしてあげようよ」
「小前田、俺にも出来る事と出来ない事がある」
「話を聞くだけでも。お願い」
可愛くおねだりされてしまった。
無視しても良いのだが、機嫌が悪くなると困る。
「ポーションの聖女様のお達しならしょうがないな」
「何ピンク色の空間作っているのよ」
「どこがだ。とっとと話を聞くぞ」
言い争う声が続いている家の中に入る。
「あー、喧嘩をやめて、何でこんな事になったか聞かせてくれ」
「外野が口を挟むな」
「あんた、良い機会だから、白黒つけてもらうじゃないの」
「ああ良いだろう。そのかわりお前の方が悪いってなったら、土下座してもらおう」
「望むところよ」
「話がまとまったところで諍いの原因は?」
「こいつの作る料理の不味い事といったら、もう我慢できねぇ」
「味見はちゃんとしてるんだ。私の舌がおかしいってのかい」
「まずは現場だ。調理場を見せてくれよ」
調理場では鍋やフライパンなど調理器具が整頓されていて、すぼらな性格だとは思えない。
味音痴って事も考えられるが、それならもっと前に別れているだろう。
よく観察すると、フライパンの一つに例の黒い水晶がはまっている。
原因はこれじゃないのか。
「御花畑、そのフライパンで目玉焼きを作ってみろ」
「何で私が料理しなくちゃいけないの」
「君の手料理が食べたい。……なんちゃって」
御花畑は顔を赤らめ一瞬、上の空になった。
「そうなの、仕方ないわね」
そういうと御花畑は目玉焼きを作り始め、瞬く間に完成させた。
「召し上がれ」
俺は一口食べ言い放つ。
「激マズ」
俺の言葉に御花畑は驚いて詰め寄った。
「そんなはずは」
御花畑は目玉焼きを一口食べ至福の表情を浮かべた。
「極上の味じゃないの」
「分かったぞ。そのフライパンは味覚を狂わせる何かが出ている」
「呪いじゃないのかな。鑑定。良かった、未依子ちゃんに呪いは掛かっていないみたい」
「作った本人には極上の味で、他の人には激マズになるように魔法が掛かるのだろう」
「さっ、さっさとスキルを掛けてフライパンを改造してよ。ぜったい美味いって言わせてやる」
奥さんに説明書を借りて読むと、極上の味を約束しますと書いてある。
これならいける。
「カタログスペック100%」
フライパンは光につつまれた。
「さあ、リベンジよ」
御花畑はうきうきとした様子で料理する。
俺は新たに作った目玉焼きを食べた。
「美味い美味すぎる。しかし、これは逆に不味い事のような」
「いいんじゃない。美味すぎて困る物でもないでしょう」
「そうだな」
夫婦のもとで説明する事にした。
「あの黒い水晶がはまっているフライパン、あれが元凶みたいだ」
「あれは最近買ったお気に入りよ」
「なんだ、おかしいと思っていたんだ。急に料理が不味くなるから。すまなかったな」
「いいんだよ、お前さん」
いちゃいちゃしたい二人には悪いけど口を挟む。
「フライパンは支障が出ないようにしといた」
「悪いわね。そんな事が出来るなんて、貴方様はさぞかし凄い職業なんでしょうね」
「無職だよ」
「そんな、ジョブズ教では無職は罪の証だわ」
「ジョブズ教ってのはこの国では広く信じられているのか」
「ええ、国教になっているわよ」
ちょっと不味いな。
嘘はつきたくないから、英語の無職って確かジョブレスだったような。
「そうだ。秘密だったけど、俺の職業はジョブレスだよ」
「やっぱり、聞いた事のない職業だわ。きっとレア職ね」
「ところであのフライパンはどうしたの」
「行商人が持って来たのさ」
「風体は覚えている?」
「特徴のない人よ。中肉中背の灰色の髪だったわ」
一応聞いてみたがこれまで聞いた商人の姿はどれも違っていた。
大掛かりな組織なのかもな。
そして、ボロが出ない様に俺達は家を早々に出た。
村では同様にフライパンが売られていたので全て改造。
いくばくかの謝礼を手に次の街へ旅立った。
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