無職の俺は追放されてもへっちゃらカタログスペック100%があるから ~現実を強引に俺の真実で塗り替える~

喰寝丸太

文字の大きさ
59 / 100
クラスメイト相談編

第54話 お嬢様の性格改善

しおりを挟む
 今日は桜沢さんに相談された。

「どんな事。俺に出来るならやるけど」
「領主のお嬢様がね。わがままでね。少し問題があるの。私は新兵教育でもしたら良いのだと思うけど。周り反対されて困ってしまって」
「やってみるけどあんま期待しないでくれ」
「ええ」



 俺達は領主の娘の部屋の前にやって来た。
 中からは壁に物が当たるような音と陶器が壊れる音がする。
 俺達はノックして中に入る。

「いらいらするったら、いらいらする。何でマナーってあんなにややこしいのぉ」

 十歳ぐらいのお嬢様は現在憤懣やるかたない様子。
 飲んでいたであろうティーセットは壁に当たり粉々だ。
 仕方ないので俺は侍女に話し掛ける。

「依頼を受けてきたのだけど、いつもこんなのか」
「ええ、困ってます。後一時間も暴れれば元に戻ります」

 うーん、どうしよう。
 やさしさの種って手もあるけど、ストレスを軽減させてやりたいな。

「あの、お茶をさっきまで飲んでいたようだったけど、お嬢様はお茶が好きなのかな」
「ええ、よくお召し上がりになります」

 決まったな。
 お茶だな。
 こういう時は『ティナ・コンダのテイスティングノート』だな。
 この中で『ヴェステア産』の紅茶に決めた。
 『淑女のお淑やかな香りはあなたを淑女に誘うでしょう』とある。

 お嬢様が落ち着いたところでこのお茶を侍女に淹れてもらう。
 幸いな事に茶葉は領主館に備えてあった。
 なんでも一通り有名なお茶はあるんだそうだ。

 淹れ立てのお茶にテイスティングノートを片手にお嬢様に見えない所で。

「カタログスペック100%」

 ティポットは光に包まれた。



 俺達侍女と一緒にお嬢様の部屋に行った。

「また、来たのね。何度きても同じよ。いらいらは収まらないわ。それともあなたが芸でもして笑わせてくれるの」
「まあまあ、いろいろあって喉が渇いたんじゃないか。紅茶でも一杯どうだろう」
「気が利くのね。飲むわ」

 お嬢様は例のお茶を飲んだ。

「そうだわ、あなたにもお茶をお出ししないと。はぁー」

 お嬢様は盛大にため息をついた。

「はぁー、なんでわたくしはこんなにグズなんでしょう。簡単なマナーも出来ないなんて。はぁ」

 お嬢様はお淑やかになったが、盛んにため息をついていて少し可哀相だ。



 ストレスの元が解消されてないからだろう。
 部屋から退出して別のお茶にスキルを掛けてみようと侍女に俺は言った。

 『ティナ・コンダのテイスティングノート』からこんどは『アルジャー産』をチョイスした。
 『落ち着いた牧草に似た香りはトスレスを和らげるでしょう』とある。

 茶葉にカタログスペック100%を掛けて影からそっと様子を見る事に。

「お嬢様、お茶のおかわりをお注ぎいたしましょう」
「ええ、はぁ」

 お嬢様は侍女が淹れたお茶を飲み顔が柔らかくなる。

「突然、気分が晴れましてよ。今ならマナーの授業を一日中受けても平気のようですわ」
「では遅れている分を取り戻しましょう」

 俺達のそばに侍女がやってきて言う。

「紅茶を飲んだお嬢様はさっぱりしたお顔になられました」
「常用も恐いからストレスが溜まったなと思ったらあの茶葉を使うように」

 そう俺は念を押すように言った。
 とにかくお嬢様の性格改善はなった。



 桜沢さんの所に行って事態を報告。

「ありがと。どうも魔物相手とは違うから調子が狂うのよね。なんとかなって良かったわ」
「リーダー、大変よ、大変」

 新郷しんごうさんが駆け込んで来た。

「何かあったのか」
「怪盗から予告状が。午前零時『女神の祝福』いただきに参りますだって」
「心配しなくとも、盗まれたらまた作ってやるって。でも面白そうだな。よし捕まえるか」

 俺達は怪盗を捕まえる事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...