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1話 3つ目のスキル
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俺の名前はトシユキ
勇者様や転移者様たちにあやかりたいと、俺が生まれたときに農民のジョブの両親がトシユキと付けてくれた。
父方はそういう名前を付ける家系でもあるらしい。
ただ 農民の親からは農民の子が生まれると言うのが世の中の道理だろうと思っていた。
少し昔のある日、子供だったボクは父親に連れられて父・母・俺の三人でギルドに行くことになった。
昨日もボクのことで喧嘩をしていたみたいで 普段はとても仲がいい二人なのに
ボクが父方と母方のどちらのスキルを継承したのかということでケンカになったんだ。
ただ大事にされ過ぎているようにも思えるけど理由もあったりする。
ギルドへ向かう通りの道でボクの頭をクシャクシャと撫で回すのが好きな父さんは胸を張ってこういった。
「いいかトシユキ。農民というジョブをバカにしちゃいけないぞ。農民はなその昔、あの勇者様のパーティーに加えていただいたことがある由緒正しいジョブなのだ。誇りに思え!がははは」と農民にとっては勇者様は憧れの存在なんだ。
お母さんはボクを見守るように二歩下がって付いてきてくれる人で
ときどき 追いつかれて農民衣装のショールが触れてくすぐったい。
たまに本当にくすぐるために追いかけてきて ボクをおもちゃにするんだ。
バザーの通りまで差し掛かるとだいぶ賑やかになってきた。
ボクと同じ年くらいの女の子が一人で暑い日差しの中を働いているけど それはこの街ならそれほど珍しい事じゃない。よくある風景で買ってあげたいところだけど あっちは八百屋さんみたいだしどちらかと言えば、うちからお願いして買ってもらう方の立場だ。
街の広場にやってくるとギルドがあり重い開き戸を先に押すけどボクの力では動かなくて、両親に手伝ってもらってやっと開けることができた。
ギルドの中を見上げると クエストを探す冒険者たちや報酬を分け合いすでにお酒を飲んでいる冒険者がにぎやかにしている。
「うわ~ ここが ギルド・・」
子供の目の高さのボクには見上げるすべてが憧れのものに見える
丸いテーブルに何かの魔物の骨のオブジェの飾りや、杖をもった可愛いお姉さんや
受付のお胸の大きなお姉さん、防御力がゼロに近い不思議な鎧を着たお姉さんたちが楽しそうに話をしていた。
マタの背丈ぐらいしかないボクは人混みを進む父に付いて行くけど ついにお姉さん戦士の前で立ち止まってしまい上を見上げてしまうと、気が付いたお父さんは手を引いて進んでくれた。
受付のカウンターに着くと受付嬢はちょうど交代のタイミングだったようで新米の受付嬢と代わる。
お父さんは気にせずに、破れそうな服のポケットの中から料金ピッタリの鑑定料を取り出して「これで頼む・・」と手のひらを差し出した。
父の豆だらけのボロボロな手のひらは 武道家とも剣士とも違うが苦労の染みついた手。
家族思いの手のひらだった。
受付のお姉さんも 父の手のひらをわかってくれているようで眉間にシワが出来るほど見つめていた。
「あ。。。数えますのでコインをテーブルに置いていただけますか?・・うわぁ きたな・・はい ございますね。それではこちらへ・・」
水晶のある鑑定室は文字がよく見えるようにするためなのか少し薄暗くて水晶の光が広がる妖艶な雰囲気の部屋だけど 元気いっぱいの両親は「さあ 手を置くんだトシユキ」「頑張るのよ トシユキ」と期待をしている。
受付のお姉さんがそれでは手のひらを水晶玉においてくださいと言うので
大きな水晶の玉に 大人に負けないくらいに手のひらを大きく広げて乗せてみた。
だけど お姉さんには「確りおいてください。」といわれし 戸惑っていると「失敗したらイヤなので手の上に分厚い本を置かせてください。」とお姉さんがボクの手に上に置いてくれた。
ドン! ギュ!グリィ グリィ
「水晶玉:ピー・・サーチ 開始」
息をのむ父、両手を組んで祈る母を前に父と母の期待に応えてあげたいと渇いた喉にツバを飲み込む。
父の話では 農民というジョブは勇者様も重宝がられてくださったスキルを持っているらしく
捨て身の「体当たり」というスキルもあれば当たれば威力がすごい一撃になる「正拳突き」というのもあるらしい。
父方の「体当たり」
母方の「正拳突き」
どちらに似たのだろう???
水晶玉が眠りし力に光を当てる。
写し出された結果は・・
水晶玉:「体当たり」「正拳突き」・・。・・。・・。
両親は鑑定中にもかかわらず 俺をギュっと抱きしめてくれた。
「でかした トシユキ!!体当たりだ」
「すごいわ おじいちゃんの正拳突きを受け継いでくれたのね・・」
俺は 農民だったら通常は一つしか継承できないスキルを二つも継承していた。
よかった 両親がこんなに喜んでくれるんだからきっと いいことをしたんだな。
おっほん!ん!んんん!!
咳払いをする受付嬢は 盛り上がっている俺達を見て眉間にシワを作って眺めていた。
近所のよく吠えてくるワンコみたいだ。
「盛り上がっているところですが、サーチはこれで終わりにしましょう。
これ以上やっても無駄ですので。それにしても
スキルを二つも継承していてよかったですね。
命中率がほぼゼロの当たらない「正拳突き」に
体力の半分以上を持っていかれる「体当たり」。
クスクス。ふふふふ。血気多感な勇者様なら死ぬまで重宝してくださるでしょうね。死ぬまでね。ふふふ」
サーチは続いていたようで水晶玉が 突然まぶしく光り出した!!
水晶玉:「体当たり」「正拳突き」・・。・・。「召喚」
・・・。
・・並べ替え・・
・・
水晶玉:「召喚」SS、「体当たり」S、「正拳突き」A・・。サーチ終了
両親と受付嬢はポカンとしているけど何が起きたのだろう?
「3つ目のスキルなのか? 農民は二つしかスキルがないはずだ。何のスキルだ?」と驚く父
「あの 受付嬢さんすみませんが、私たちはあまり文字が読めないのです。何と書かれているのでしょうか?」と受付嬢にすがる母
そして 顔をひきつらせた受付嬢。
「し・・し・・ショウカン(召喚)よ! ウソでしょ? こんな田舎の街から召喚士が生まれるなんて信じられないわ!!」
歓喜の両親の声とともに俺の右手を父のゴツゴツした手が握り、
左手を擦り傷だらけの母の手が握ってくれた。
両親の眼差しは まるで教会で祈りを捧げているようなそんな眼差しだった。
俺は 神様にでもなった気分だった。
何かを思い出したように受付嬢は服装を整えてから、遮るように両親の間に入るとニッコリと俺に微笑んで
「はいはいはい ちょっと待ってね。まだ 書いてもらう書類があったのよ。ねえ、トシユキちゃん?お姉ちゃんとあっちの部屋に行こうか?ね?ね?ね?」と半ば強引に手を引いて重い木製の扉の部屋に連れていかれた。
内側から扉のカギをかけた受付嬢は整えたはずの制服を再び整えて「私の名前はリーシャ、受付のリーシャよ。安心してすぐに返してあげるから。でもね お姉ちゃんと約束してくれたら、そしたら出て行ってもいいわよ」といって胸元にカギを沈めた。
子供の目線の高さにかがんだ受付嬢はやさしさとは違う視線を向けて
「出たいんでしょ? ほ~ら カギを取って自分で開けるのよ。それくらいできるでしょ?」なんて事をいってくる。
ボクと遊びたいのかな?用事も済んだみたいだったし お姉さんも胸元を突き出して早くカギを取ってほしそうなのでドアを開けてあげることにした。
でも 手を伸ばすと
キャ!
いやぁ~ん
とはしゃげるようにコソコソと動くお姉さんは、とっても年上の人がする目線で軽く軽蔑したように
「今触ろうとしたわよね?女の子のお胸を触ったら結婚しなくちゃいけないんだからね。わかったわね?ふふふ さて、もう一度よ」と言いながら続けるように胸を促した。
胸に触らないように何度かカギを取ろうとしたけど
「ほら もう一度よ ふふふ」・・もう一度・・もう一度・・いやぁ~ん もう。
軽やかにはしゃぐのでカギを取ることはできなかった。
だけど そのうちお姉さんの方から「捕まえた」といってお姉さんは俺をギューっと強く抱きしめて耳元でささやいてきた。
「仕方がないわねぇ~ 全く。私があなたの代わりにドアを開けてあげるわ。
その代わり、大人になったら酒場の二階の部屋にお姉さんと遊びに行くって約束して?ね?ね?ね?」
部屋の中では楽しそうに遊んでいたお姉さんなのに外に出ると
何事もなかったかのように淡々と手続きを始めてくれた。
ボクたちも満足のいく鑑定結果を貰ってギルドを後にした。
大人になるまで誰にも話しちゃいけないって決りの遊びらしいけど。
話すにしたって、なんて名前の遊びかわからないや
勇者様や転移者様たちにあやかりたいと、俺が生まれたときに農民のジョブの両親がトシユキと付けてくれた。
父方はそういう名前を付ける家系でもあるらしい。
ただ 農民の親からは農民の子が生まれると言うのが世の中の道理だろうと思っていた。
少し昔のある日、子供だったボクは父親に連れられて父・母・俺の三人でギルドに行くことになった。
昨日もボクのことで喧嘩をしていたみたいで 普段はとても仲がいい二人なのに
ボクが父方と母方のどちらのスキルを継承したのかということでケンカになったんだ。
ただ大事にされ過ぎているようにも思えるけど理由もあったりする。
ギルドへ向かう通りの道でボクの頭をクシャクシャと撫で回すのが好きな父さんは胸を張ってこういった。
「いいかトシユキ。農民というジョブをバカにしちゃいけないぞ。農民はなその昔、あの勇者様のパーティーに加えていただいたことがある由緒正しいジョブなのだ。誇りに思え!がははは」と農民にとっては勇者様は憧れの存在なんだ。
お母さんはボクを見守るように二歩下がって付いてきてくれる人で
ときどき 追いつかれて農民衣装のショールが触れてくすぐったい。
たまに本当にくすぐるために追いかけてきて ボクをおもちゃにするんだ。
バザーの通りまで差し掛かるとだいぶ賑やかになってきた。
ボクと同じ年くらいの女の子が一人で暑い日差しの中を働いているけど それはこの街ならそれほど珍しい事じゃない。よくある風景で買ってあげたいところだけど あっちは八百屋さんみたいだしどちらかと言えば、うちからお願いして買ってもらう方の立場だ。
街の広場にやってくるとギルドがあり重い開き戸を先に押すけどボクの力では動かなくて、両親に手伝ってもらってやっと開けることができた。
ギルドの中を見上げると クエストを探す冒険者たちや報酬を分け合いすでにお酒を飲んでいる冒険者がにぎやかにしている。
「うわ~ ここが ギルド・・」
子供の目の高さのボクには見上げるすべてが憧れのものに見える
丸いテーブルに何かの魔物の骨のオブジェの飾りや、杖をもった可愛いお姉さんや
受付のお胸の大きなお姉さん、防御力がゼロに近い不思議な鎧を着たお姉さんたちが楽しそうに話をしていた。
マタの背丈ぐらいしかないボクは人混みを進む父に付いて行くけど ついにお姉さん戦士の前で立ち止まってしまい上を見上げてしまうと、気が付いたお父さんは手を引いて進んでくれた。
受付のカウンターに着くと受付嬢はちょうど交代のタイミングだったようで新米の受付嬢と代わる。
お父さんは気にせずに、破れそうな服のポケットの中から料金ピッタリの鑑定料を取り出して「これで頼む・・」と手のひらを差し出した。
父の豆だらけのボロボロな手のひらは 武道家とも剣士とも違うが苦労の染みついた手。
家族思いの手のひらだった。
受付のお姉さんも 父の手のひらをわかってくれているようで眉間にシワが出来るほど見つめていた。
「あ。。。数えますのでコインをテーブルに置いていただけますか?・・うわぁ きたな・・はい ございますね。それではこちらへ・・」
水晶のある鑑定室は文字がよく見えるようにするためなのか少し薄暗くて水晶の光が広がる妖艶な雰囲気の部屋だけど 元気いっぱいの両親は「さあ 手を置くんだトシユキ」「頑張るのよ トシユキ」と期待をしている。
受付のお姉さんがそれでは手のひらを水晶玉においてくださいと言うので
大きな水晶の玉に 大人に負けないくらいに手のひらを大きく広げて乗せてみた。
だけど お姉さんには「確りおいてください。」といわれし 戸惑っていると「失敗したらイヤなので手の上に分厚い本を置かせてください。」とお姉さんがボクの手に上に置いてくれた。
ドン! ギュ!グリィ グリィ
「水晶玉:ピー・・サーチ 開始」
息をのむ父、両手を組んで祈る母を前に父と母の期待に応えてあげたいと渇いた喉にツバを飲み込む。
父の話では 農民というジョブは勇者様も重宝がられてくださったスキルを持っているらしく
捨て身の「体当たり」というスキルもあれば当たれば威力がすごい一撃になる「正拳突き」というのもあるらしい。
父方の「体当たり」
母方の「正拳突き」
どちらに似たのだろう???
水晶玉が眠りし力に光を当てる。
写し出された結果は・・
水晶玉:「体当たり」「正拳突き」・・。・・。・・。
両親は鑑定中にもかかわらず 俺をギュっと抱きしめてくれた。
「でかした トシユキ!!体当たりだ」
「すごいわ おじいちゃんの正拳突きを受け継いでくれたのね・・」
俺は 農民だったら通常は一つしか継承できないスキルを二つも継承していた。
よかった 両親がこんなに喜んでくれるんだからきっと いいことをしたんだな。
おっほん!ん!んんん!!
咳払いをする受付嬢は 盛り上がっている俺達を見て眉間にシワを作って眺めていた。
近所のよく吠えてくるワンコみたいだ。
「盛り上がっているところですが、サーチはこれで終わりにしましょう。
これ以上やっても無駄ですので。それにしても
スキルを二つも継承していてよかったですね。
命中率がほぼゼロの当たらない「正拳突き」に
体力の半分以上を持っていかれる「体当たり」。
クスクス。ふふふふ。血気多感な勇者様なら死ぬまで重宝してくださるでしょうね。死ぬまでね。ふふふ」
サーチは続いていたようで水晶玉が 突然まぶしく光り出した!!
水晶玉:「体当たり」「正拳突き」・・。・・。「召喚」
・・・。
・・並べ替え・・
・・
水晶玉:「召喚」SS、「体当たり」S、「正拳突き」A・・。サーチ終了
両親と受付嬢はポカンとしているけど何が起きたのだろう?
「3つ目のスキルなのか? 農民は二つしかスキルがないはずだ。何のスキルだ?」と驚く父
「あの 受付嬢さんすみませんが、私たちはあまり文字が読めないのです。何と書かれているのでしょうか?」と受付嬢にすがる母
そして 顔をひきつらせた受付嬢。
「し・・し・・ショウカン(召喚)よ! ウソでしょ? こんな田舎の街から召喚士が生まれるなんて信じられないわ!!」
歓喜の両親の声とともに俺の右手を父のゴツゴツした手が握り、
左手を擦り傷だらけの母の手が握ってくれた。
両親の眼差しは まるで教会で祈りを捧げているようなそんな眼差しだった。
俺は 神様にでもなった気分だった。
何かを思い出したように受付嬢は服装を整えてから、遮るように両親の間に入るとニッコリと俺に微笑んで
「はいはいはい ちょっと待ってね。まだ 書いてもらう書類があったのよ。ねえ、トシユキちゃん?お姉ちゃんとあっちの部屋に行こうか?ね?ね?ね?」と半ば強引に手を引いて重い木製の扉の部屋に連れていかれた。
内側から扉のカギをかけた受付嬢は整えたはずの制服を再び整えて「私の名前はリーシャ、受付のリーシャよ。安心してすぐに返してあげるから。でもね お姉ちゃんと約束してくれたら、そしたら出て行ってもいいわよ」といって胸元にカギを沈めた。
子供の目線の高さにかがんだ受付嬢はやさしさとは違う視線を向けて
「出たいんでしょ? ほ~ら カギを取って自分で開けるのよ。それくらいできるでしょ?」なんて事をいってくる。
ボクと遊びたいのかな?用事も済んだみたいだったし お姉さんも胸元を突き出して早くカギを取ってほしそうなのでドアを開けてあげることにした。
でも 手を伸ばすと
キャ!
いやぁ~ん
とはしゃげるようにコソコソと動くお姉さんは、とっても年上の人がする目線で軽く軽蔑したように
「今触ろうとしたわよね?女の子のお胸を触ったら結婚しなくちゃいけないんだからね。わかったわね?ふふふ さて、もう一度よ」と言いながら続けるように胸を促した。
胸に触らないように何度かカギを取ろうとしたけど
「ほら もう一度よ ふふふ」・・もう一度・・もう一度・・いやぁ~ん もう。
軽やかにはしゃぐのでカギを取ることはできなかった。
だけど そのうちお姉さんの方から「捕まえた」といってお姉さんは俺をギューっと強く抱きしめて耳元でささやいてきた。
「仕方がないわねぇ~ 全く。私があなたの代わりにドアを開けてあげるわ。
その代わり、大人になったら酒場の二階の部屋にお姉さんと遊びに行くって約束して?ね?ね?ね?」
部屋の中では楽しそうに遊んでいたお姉さんなのに外に出ると
何事もなかったかのように淡々と手続きを始めてくれた。
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