グッド!スメル【過労が溜まっていたらしく死神が来ちゃったけど、昔何気なく助けた動物に恩返しされて異世界で暮らすことになりました。】

モルモット

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酔った勢いでジャンバル様

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「・・・村も安泰だろう。 今は療養所にいるヨーゼン。そして××・○○・セレネ・・
そして紹介しよう!! この方がセレネ達を助けてくれたオーレンス殿だ。拍手!パチパチ」
村長の挨拶で俺は村の物資を運んだばかりか、村に寄付をくれた人だと紹介されて
大盛り上がりになり村の人たちがお酒を注ぎに何人も来てくれた。
ほろ酔いになったころにセレネが来てセレネに母親のサウレを紹介された。

「紹介するわ、私の母のサウレよ。昔は都で魔女をやってたらしいけど
今はただの世話好きで話好きなおばちゃんよ。」
「初めまして オーレンスさん。
娘を助けていただいたそうでありがとうございました。
私は魔女をやっていたといっても、一体の精霊や魔獣と契約する魔女ではなくて
薬草学や呪術学や歴史のほうに興味がありましてそれで歴史の眠るこの村に・・・・
あら イヤだ。私ったら難しい話はお嫌いですよね。
私の作った料理も紹介したいので一緒に飲みませんか?」

地球の書物にも書かれていたけど 異世界人は美人ばっかりだ。
セレネの母親のサウレは 子供がいる年なのに20代に見えるし
案外、魔女は歳をとらないのかもしれないな。
だけど 人生経験は積んでいるせいなのか頭痛を抱えてそうな魔女っ子に見えた。
それに 片方の耳に付けている大きなイヤリングはアクセサリーにしては大きいな。
きっと魔道具的なものなのだろう。
サウレに見とれているとセレネが
「私は 村娘として踊りの使命を果たしてくるわね。またね オーレンス」
と手を小刻みにバイバイと振ってから焚火のところへ駆けだしていった。
ヒャッホーイ!みんな~! 私も使命にまぜてぇ!!
サウレと二人きりになると サウレはニッコリと微笑んで「飲みましょうか?」と
お酒を注いでくれた。

そして娘を助けたことでお礼を言われてから、
お酌をしたり、されたり、大人の世界の始まりだ。
セレネの母のサウレが半年前に作ったという濃厚な味の保存食。
これは木の実を使っているけどクリーミィーな深い味がする。
お酒が進む、飲まされる味だった。
「コクがありますね チーズのようです」
「チーズですか? 異国の食べ物のようですね?話をもっと聞かせていただけませんか?」
と話が盛り上がった。

宴に並んでいるご馳走は一口サイズの物が多くて、おつまみ感覚で食べられるものが多いな。
サウレに「色とりどりで楽しい料理ですね」と話すと「この村ではお弁当対決がありますからね」
と言いながらクスクスと笑っていたけどお弁当大会ってなんだろう?
それよりも そろそろ話も終わりそうだし魔法について聞いてみようと思った。

「魔法ですか?この村ではみんなが知っている話なのですが
うちの娘が魔法の片りんに目覚めたときの話をしてあげましょう。
実は 娘のセレネが魔法に目覚めた気かけはお漏らしだったんです。クスクス」

魔法について聞いてみると セレネの小さい頃の話を聞かせてくれた。
セレネは魔女の娘となるべく修行の日々だったらしく、母親はセレネに「水の使い手」という
二つ名まで用意していたそうなんだけど、
セレネは魔物を前にするとどうしてもお漏らしをしてしまうのだとか。
そんなこともあって、結局魔女になれる機会を逃してしまい。
消極的な子になってしまったらしい。

でも ある日。ベッドの下の床までベショベショになっていたことがあって「また 魔物の夢を見たの?」と
聞くと セレネは強気な口調で「おねしょじゃないもん。水だもん!!」と言ったのだとか。
それからは セレネは強気な子になって村長の娘のジェフラとも
張り合ったりケンカをするようになって、
ジェフラに対抗するために水魔法も覚えたりと、たくましい村娘にそだったのだという。
お漏らしで水魔法取得とか恥ずかしいかもしれないな。
でもハムスターに人生相談をし過ぎて精神年齢を抜かれてしまうような、
口下手な俺といい勝負か?

「あら オーレンス。オーレンスも後で一緒に踊らない?」

偶然なのか?何かを感じ取ったのか?
セレネがこっちに駆け寄って来て踊りに誘ってきた。
この元気いっぱいの子が昔は消極的だったなんて信じられないな。
サウレに目を合わせると 済ました感じに「そうなのよ」っと目くばせで返事を返してきた。
そして「それでは私は儀式の支度をしますので着替えに行ってきますと去ってしまった。」

セレネは旅をした帰りなのに笑った表情がとっても元気だ。
きっと 元気な子なんだろう。
でも 何か話さなくっちゃ・・・
「その像さ。 あの像ってジャンバル様って言うんだろ?」
「ああ この像の顔、面白いでしょ ふふふ。物語もちゃんとあるのよ。話してあげるわ」

「その昔、この村にはジャンバルという神様がいらっしゃいました。
シャンバル様は 村人たちに水の加護や様々な加護を与えてくださり
その加護のおかげでヤギや羊・牛が育ち、農耕が行えるようになりました。
しかし平和に暮らしていた人々でしたが、欲を出した村人たちは邪神を村に連れてきてしまったのです。
邪神は暴れ出しました。
それを悲しんだジャンバル様は村人だけでも守りたいとその命を引き換えに村を守り
一つの知恵を残して眠りについたと言われています。それがこの石像らしいわ」

そして、この村にはここ最近になっておかしな病気が流行っているらしい。
身体が衰弱していき、その命が尽きたときに一瞬で体が土の姿に変わってしまうのだとか。
土になっちゃう病気とかやばいだろう。怖すぎるだろ。
帰ったら、うがいしなくちゃな。
それにしても酔いが回ってきたぞ。
セレネが二人に見えそうなくらい目が回る・・。
そうか、、異世界の酒は蒸留とかの関係もあって悪酔い・・うっ・・
「オーレンス 確り・・確りしてよ」
だれかが 背中をなでてくれている・・
優しい気持ちが流れ込んでくるように気持ちいいな・・
でも目の前が暗くなってきた。眠い ねむい・・
闇に落ちると音がよく聞こえてくる・・

「カンパ~イ うん???」
「ひック! おまぇ~ いつの間にいたんだ?」
「ずっと 隣にいたじゃありませんかぁ~」

「おい 俺の隣に座ったやつわぁ 飲まなきゃダメだ!! ダメだぞ! 飲ませてやるよ!うりゃぁぁぁ!」
「私はある理由でお酒は飲めないのです・・ グビィ、グビィ、グビィ・・・うぇ・・」
「飲めるじゃね~かよ がははは」
「おい お前 まさかスニークに飲ませたんじゃないだろうな?」
「スニークだって? あれ?ほんとだ 酔ってて気づかなかったわ これはマズイ」
「もう・・遅い・・もう自分が制御で・・・ うぅぁぁぁぁ ぐはぁ!!」
・・。
・。
「頭が3つの蛇の化け物だぁ!!」「スニークが酔っぱらって暴れ出したぞ!!」
「やれ! やれ! 殴れ殴れぇぇ!!スニークは簡単には止まらんぞ がははは」

「ケンカをする男たちってカッコいいわぁ~惚れ惚れしちゃう」
「ジェフラ何言ってるのよ! あなたたちも、いい加減、飲みすぎなのよ!」

「アハハ!我が名はヨハン!獣人よ!
大賢者ヨハン様が覚えたての呪文で倒してやろう!
くらぇえぇ 爆裂系魔法!!コガル!」

「うぁ しまった!」「どこに撃ってるんだよ!!」

「きゃーー セレネ、セレネがあぶないぃぃぃ!」
・・
・・・・・時が止まった・・・
「仕方がない奴らじゃ ガハハ。だが みんなワシの可愛い家族なのじゃ。
のう、そこの旅のニーマン使いよ。
すまぬが少しだけその体を貸してはもらえぬか?・・がははは」
・・・・・
夢か。
・・。
・。
「オーレンス?オーレンスてば!! よかった気が付いたのね。
それにしてもあなた凄かったわ。カッコよかった」

セレネの声か?
目を覚ますと俺はジャンバルの像の台座にもたれかかる様に座っていて
セレネが体を支えてくれていた。
「酔って意識がなかったんだ」と話すと「ふふふ 何言ってるのよ」と
勝ち誇った顔をして俺が圧倒的な力でケンカの仲裁に入って
ケンカを止めてくれたことと。
喧嘩を仲裁してからは焚火のところへ行って
三週ほど完璧なジャンバル踊りを踊っていたのだという話をしてくれた。
でも全く覚えていない・・何があったのかわからないぞ。
そうだ ニーマンたちは知っているかもしれない、
と意識を集中してみたけど・・どうやら眠っているようだった。


ジャンバル踊りを披露したおかげで知らないうちに村の人たちと
フレンドリーな関係になれていたので異世界でどうしても探したいものの一つでもある
コーヒーについても話を聞いてみた。
コーヒー自体はなかったとしても 似たものはきっとあるはずだから。

そしたらこの村ではココルカという香りのいい飲み物があるらしい 
大工の親方の娘の「スーちゃん」という子が詳しいというので話を聞いてみると
「お母さんが妹を生むから私がみんなの休憩のココルカを入れているのよ」
と日本茶の急須の先のようなネックレスを見せてくれた。

そして親方にも話を聞いてみた。
「ところで親方。 休憩中に香りがよくて苦い飲み物を飲まれているそうですね」
「ああ ココルカの事か?毎日飲んでるぜ!!
大工の仕事は頭を使うんだ。だから甘い物は欠かせないのだが、
でも甘い物を食べた後はだらけちまっていけねぇ。
そこで ココルカさ。一杯のんでスッキリすることでいい仕事ができるってわけよ。
明日は木こりの仕事をしに行く、木を倒すんだ。大木を倒して、一緒にココルカを飲もうぜ」
フレンドリーな親方だった。しかも 飲んだらスッキリするなんてコーヒーに間違いないだろう。
酔っていたこともあって仕事をすると二つ返事で引き受けることになった。

「オーレンス殿が 大工を手伝ってくださるそうだ!!」
「おお!! パチパチ」

村の人たちの仲間になれたような気分だな。少し仕事も頑張ってみるか。

焚火の火も大人しくなってきて宴も終わろうとしていたときに、村長の挨拶が始まった。
豊作と安全を願う言葉を述べてから大工の親方の家ではもうじき子供が生まれるから
レインボーアホー鳥の卵を取りに行く祭事を復活させたいけど 勇者はいないか?
と問いかけられたけど誰も名乗り出なかった。
その後は賢者スデーモ様がジャンバルの像を欲しがっていて多額のお金で買いたがっているらしく
売らずに石のジャンバルのままでいくのか?
建て替えて銅のジャンバルにするのかで年よりと若者の間で議論が繰り広げられていた。

けど 旅人の俺には関係のない話だ。
今日の夜食を少し探そうと食べ残しを探していると
「あれ ツボがまた置いてあるぅ~」宴の料理のところに
あの腐った玉ねぎの入ったツボが置いてあった。
また 腐った玉ねぎか?こんなツボはさっきはなかったと思うけど
まさか、この玉ねぎって食べられるのか?
なんだか 焦げた臭いがコーヒーに似てなくもない・・
イヤイヤ 異世界人ならともかく俺が食べたらお腹壊すだろ。

でもニーマンたちの好物だったよな。
俺はドームにこっそりと腐った玉ねぎを入れた。
ニーマンたちは美味しそうにムシャムシャと食べてくれた。これでよし。

最後に 衣装を身にまとったセレネの母のサウレが現れた。
さっきは持っていなかったが おしゃれな杖を持っている。
そして杖を使って焚火の灰に文字を書いた。
すると炎が立ち上がり炎に質感が出てきた、そしてなんとその炎にも文字を書き始めると
炎はどんどん大きくなって形を変えて
浮かび上がるらせん状階段のような炎は 舞を踊り
動物の形になり さらに自然にある生き物の姿になってから
空のかなたへと飛んでいった。
こちらの世界の花火なのだろうか?美しい。

空高く去っていく炎を見ていると切なさを感じた。
そして地面には 真っ赤に燃える灰が文字となって残っており、
「育った木々は灰となり、そしてまた芽吹く」みたいなことが書かれた文字が光り続けていた。



「お休み ジャンバル!」

俺もジャンバルに声をかけて部屋に帰ろうとした。
ひょうきんなお面を被ったOO部族って感じでデカい顔は確かに欲しくなるくらいユニークだ。

「村を、守って、くれ・・ツボを倒すの・・じゃ」
羽音のような音で聞き取れないけどツボがなんだって?
あれ?声が聞こえなくなった。たぶん気のせいだろう・・・。

おお あれは!
俺に部屋を案内してくれた村人のヨハンがいたので大賢者になれそうか聞いてみた。
「ヨハン!大賢者の道はどうだった?」
「はぁ オーレンスさんじゃないですか?先ほどは酔っていたとは言えありがとうございました。
スニークも反省してツボの中に入って眠っています。
私は大賢者になれると思っていたのですが、、先ほどの事で気が変わりました。
料理人のほうが転職のようです。また明日から頑張りますよ。
まあでも せっかく調べてもらったのに「獣使い」と言われて、、
ショックで倒れちゃった人もいますからね。天職があってよかったですよ。ははは・・。
 
それにしても こっちの世界の獣使いってどんなスキルなのか?
聞いてみるとレアなスキルだという。
ただ 動物に好かれるという特殊能力を得る代わりに魔法の類はほとんど使えなくなってしまうらしい。
貴重なわりには大トカゲや大ウサギの世話をする仕事になりやすいのだとか。

冒険者でもパーティーメンバーに恵まれさえすれば
一発逆転のあるスキルとも言われているけど、実際は冒険の終わりにはキズや
疲労に耐えながら移動用の動物の世話をすることになるらしい。
考えただけでもブルブルしてきたぞ。

ただ 羊飼いで獣使いを持っている人は羊飼いの間では神と呼ばれるらしいけど
「まあ 羊飼いは元々、体力に自信がないとできない仕事ですから、
「獣使い」を持っているなら普通は好き好んでやったりしない仕事ですね。」ということだった。
羊飼いはもっと過酷な職業のようだった。



部屋に帰って少し休んでから眠ろうと布団に入ると
水を用意する間もなくそのまま眠りに落ちてしまった。

「オーレンス・・」
夢の中のはずなのに 声が聞こえたので目を開けた。
すると俺は 世界樹のドームの中にいた。
真っ黒な仲間たちがいて、俺の体まで真っ黒だった。
「オーレンス 世界樹の木を見るでチュ」

世界樹の木を見ると 見上げるのがやっとの巨木が生えていた。
そして なんだろう?? 実のようなものが生っている。まだ まだ青い実だな。
なんでかわからないけど この実はこの村にいる間には実らない気がする。
「世界樹の実か、食べたら何かいいことがありそうだ・・・」
俺の意識は再び消えていった。

次の日。

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